第7話 Z11準決勝第1試合
ショー「それじゃあ警備会社の負担が増えて警備料金が上がるから、窃盗犯程度になら勝てる様な奴は自力で犯人捕まえるべきだろ。それに、警察やアジャ連邦軍の活動資金は税金だから、治安維持は無料じゃないぞ」
この後も2人は何かを言っていたようだが、テグラは見やすい席に座りたい為その場を後にし、出場選手用観客席エリアヘ向かう。
選手用観客席エリア最前列の席に座ろうとすると…
ルミエ「テグラ、あそこでチェプ使えば勝てただろ」
テグラ「くそ!何やってんだ俺は!」
ルミエ「なんで無奇力の2世選手なのに魔球の使い方を知らないんだよ」
テグラ「俺の父さんは『誰かに教えてもらおうなんて考えがそもそも甘い。自分で考えろ』と言ってなにも教えなかったんだよ」
ルミエ「ナハナハ王国の人はそういう考え方なのか」
テグラ「ナハナハ王国は移民が多いから人によって競技に対する考え方の差がかなりある」
エクア「ルミエ、話の途中で悪いけど、さっきの準々決勝、グローブ外さなければ勝てたよね」
ルミエ「手が熱くなったから仕方ないでしょ!」
エクア「それならグローブにアクア系かコー系の魔球を使えばいいの」
ルミエ「あー、何で思いつかないんだよ」
エクア「冷静に考えればいいだけ」
ルミエ「分かったよ」
テグラ「あ、そういえば前から気になってたんだけど、ルミエが姓を非公表にしてるのはどうしてなんだ?」
ルミエ「お前と似たような理由だよ!それにルミエって名は偽名だ」
テグラ「じゃあ本当の名は?」
ルミエ「他の人に言いふらさないなら教えてやる」
テグラ「分かった」
ルミエ「私の本当の名は、ルミエールだ」
テグラ「え、本名の後ろを外しただけの偽名かよ」
ルミエール「それしか思いつかなかったんだよ」
エクア「あ!もう二人が闘場にでてるよ。早くあれをつけないと」
ここで3人の会話は終わる。
準決勝第1試合はANEIMvsショー・ドシマ。試合開始時に持つ魔球はANEIMがアルバヒとテレポヒを選択。ショーは奇力で飛行可能な為魔球は持てない。そして装備は両者共に内反外装型グローブと全装魔型の靴を選択。そして19時9分に試合が始まった。ショーはすぐに後転しながら後方に跳びイエローゾーンへ移動するが、後転した瞬間に左右の靴が外れて真上に飛んで行ってしまいさらに着地で転ぶ。ANEIMはテレポヒを使いショーが試合開始時にいた開始円付近に現れ、ショーがいるところに向かって走りながら後方にアルバヒの魔球を投げる。ショーは立ち上がろうとするがなぜかゆっくりと立ち上がる。だが立ち上がった瞬間にANEIMが投げたアルバヒが奇力封印装置を押しショーは奇力を封じられてしまい、さらにANEIMの尻尾に腕ごと体を巻き付かれてしまう。そしてショーはANEIMのパンチを次々と受け劣勢になっていくが、 試合開始直後の後転の時に外れたショーの右靴が落ちてきて奇力封印装置を押し、さらに左靴も落ちてきて奇力封印装置を押しショーは奇力を使える状態に戻る。これを見た選手達は、
テグラ「あ…あんな押し方あるのかよ」
ルミエール「最初からこれを狙ってたのか」
ムゲンゾウ「俺にできねえ事しやがって」
ビリー「外れた靴で押すなんて僕には無理」
エクア「これも想定内ね」
????「1位ならこれくらいやってもおかしくないな」
という。ANEIMは奇力封印装置を押された事に気付かずパンチを打ち続ける。そして力が溜まったところでショーはANEIMの尻尾を怪力で解き、強烈な右アッパーをANEIMに当て、ANEIMは後方に高く吹っ飛んで溝に落ち溝底接触となり、準決勝第1試合はショーが勝利した。すると、
エクア「この試合をみて疑問に思った事は何かある?」
テグラ「なんでANEIMは奇力を使わなかったんだ?」
エクア「魔球と体を透明にしてもショーは魔感で動きを見抜いて更に魔球の動きまで見抜くから無駄」
テグラ「じゃあショーが奇力封印装置を押せなければANEIMは勝てた?」
エクア「ショーの魔殻なら床を蹴るだけで抜け出せる。そしたらグリーンゾーンに入って、等級Cの魔球とビエンヒを出して、等級Cの魔球は奇力封印装置を押すためにロック解除せずに投げて、ビエンヒはグローブに自装使して、グリーンゾーンを飛行しながら、ANEIMに奇力封印装置が見えない様に蹴りを打ち合う打撃戦をしながら、もう一回奇力封印装置を押すために、新たに出した魔球をロック解除せずに蹴る。そして奇力封印装置を押せたら、後は蹴ってKOするだけ」
テグラ「ショーはそんな事まで出来るのかよ。そもそもなんで魔法の使い方が上手いんだ?」
エクア「あ…悪いけど私は決勝戦の準備があるから後はルミエに聞いて」
ここでエクアは自身の控室へ戻る。
そして次はルミエールが話し始める。
第8話へ続く