表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神との戦争  作者: たにどおり
【グランソフィア防衛戦】
31/64

第31話 VS執行者ベルセリオン

来週は忙しいのでできるだけ更新します。


「大尉が近接戦なんて珍しいですね、だからこそお付き合いしてますが!!」


 持ち弾が減り、遂にCQC(近接戦闘術)へ持ち込んだ315大隊は、紅蓮の神装を纏いし神を相手に僅かながら主導権を握っていた。


「少佐の生霊に取り憑かれたようでな! 毎日の訓練はバカにしたものじゃないと実感するよ!!」


 中、遠距離の銃弾はもとより弾き返されるのだ。ならばと詰め寄った我々は、しかし意外な突破点を見出すに至っていた。


「ヒットアンドアウェイだ! 深追いせず、後ろの者と交代しろ!!」


 まだ銃という便利な武器が存在せず、剣や槍で戦っていた時代の戦術。

 前衛が叩いては後衛と交代し、また叩いては入れ替わる、数で圧倒した際の正攻法。


 魔法の火力こそ恐れるに値するが、23対1という数的有利をもって波状攻撃を展開。大規模魔法の発現を許さず、永遠こちらのターンと言わんばかりに殴り掛かっていた。


 そして――。


「神の傀儡がッ!!」


「国家の操り人形めッ!!」


 屋根上で神の人間離れした剣舞に対抗するは、帝国最精鋭を謳う魔装化兵士。吹き荒れる炎剣、炎槍をかいくぐりぶつかるは神器と兵器。


「貴様ら人間は滅されるべき存在と何故分からん!! 自己中心的、己が虐殺行為を主の意志と都合よく解釈する! これ以上――――この世界を壊してくれるな!!!」


「それがお前の意志ならば尊重し認めよう! だが主の意向とやらなら今一度考え直せ!! 意志を示したければ、俺達の信念を打ち破って見せろ!!」


「戯言をッ!!」


 刃が交差した瞬間に交代。白刃煌めく剣でテオがつばぜり合いへ持ち込んだ。

 火花が散り、魔力と魔力が激しく干渉しあう。


「お前も同じ口か!? 裏切り者テオ・エクシリアよ! 貴様の身勝手な振る舞いに主は悲しまれておられる! まだヤツらを庇うか!!」


「違う!! 神であればたとえ1パーセントの可能性でも尊重せよと私は主に教わった! だから、私は彼らの可能性を信じて疑わない!」


「希望と憶測だけでものを語るな!! これ以上巨悪の種を撒く前に消してくれる!!」


 テオを突き放し、距離を置いての詠唱。俺は部下に魔法の回避を命じると同時、テオの後ろへ立つ。


「天駆ける光は浄化の調べ、悪の権化(ごんげ)を殲滅せん!『イグニス・ストラトスアロー』!!」


 意志を吐き出すように唱えられたそれは、灼熱の弓矢として具現化。砲弾にも勝る一撃が一直線に走った。


「ッ――だああああああああぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」


 剣を押し出したテオが、グランドクロスで断ち切るように受け止める。

 その後ろから、俺とナスタチウム中尉が魔導ブーストを発動しながら全力で支えとして踏み込んだ。


「ッ!? バカな!!」


 驚愕するベルセリオン。


「エルド!! エミリア!! 踏ん張って!!!」


「当たり前だ! 魔力全開だっつーの!!」


「あのわからず屋の一撃防いで、ウチらの意志を見せつけたろやないか!! 口だけじゃないこと証明したれえ!!!」


 神よ、バカだと罵りたければそうしろ、理解できぬなら全能の目に焼き付けろ! 俺達人間は自らの意志で選択し、バカげた答えすら選ぶ信念の権化であると!!


 衝撃と共に四散する矢、魔法を相殺したグランドクロスが木っ端微塵に砕け散るも、テオはもう一つの神器を発動した。


「『開放(オープン)』!!」


 剣に変わり、神器(コローナ)から飛び出したのは戦闘前にテオへ渡していた《84ミリ無反動砲》。

 人間が作り、人間が扱う兵器、ベルセリオンにこれを予測するのは不可能だ。


 驚かせてやれ、神にだって使えるんだと。


「発射用意――――発射ッ!!」


 俺とエミリアがテオの背後から逸れた。

 直後にカウンターマスが吹き出し、爆音を伴わせながら対戦車榴弾を発射する。


 超高速で飛翔した弾体は盾に命中し炸裂、主力戦車すら撃破する爆発がベルセリオンを包んだ。


「ぐッ――ああッ!?」


 転落した彼女の武装は火の粉となり消え、髪も元の黒色に戻る。


「......そんな、こんなことが」


 屋根上から降りた俺とナスタチウム中尉が、最後の弾倉(マガジン)を押し込んだ銃を、横たわる執行者へ突き付けた。


「終わりだ、ベルセリオン」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ