第9話
まずはこの世界について説明したいと思う。
この世界では強くなるためには魔物を倒してlvアップするしかない(一部例外もあるが)。なので、駆け出しはどうやってlv1から抜け出すのが鍵となる。そしてlv10になると一人前となる。
lvはその人がどれだけ強いかの指標なので、lvが高ければ高いほど尊敬されるし社会的地位も向上するというわけだ。
ちなみに勇者はlv30、セイとシダはlv20である。勇者にとっては足手まといになるというのは正論だし、俺に関してはバカにしてると言われてもおかしくない。
そんなことを現実逃避しながら考えていたらようやく俺たちは落ち着くことができた。
勇者は既にいなかった。どこへ行ったんだ?
「勇者サマならドラゴン退治に行ったんじゃないか?」
シダがニヤニヤしながら言っている。さっきまで固まってた癖に回復の早いやつだ。
ふむ、ドラゴン退治か。確か昨日の陛下との謁見で話してたことか。
「そうだよー。それが私たちが冒険の旅に行ける条件だからねー」
セイは元のニコニコ顔に戻っている。
それにしても、ドラゴンか。陛下も無茶な注文をしたもんだ。
ドラゴンとはこの王国が誕生する前から近くの山に住んでいる魔物だ。このドラゴンは基本的には王国に興味がないので無害なのだが年に一回、暇潰しとばかりに王国を襲撃するのだ。
そしてドラゴンの襲撃には俺らが対応してたため、留守にするにはドラゴンをどうにかしてからとなったわけだ。
だが、王国よりも長生きな魔物をどうにかできるんだろうか。俺はため息をつきながら勇者が去った方向を見つめた。