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メイドさん、どちらが本性なんですか?

完全、現実無視してます!シリアスチックです。コメディは難しいですな……奥が深いですよ。

完全に油断していたと言われたら、そうなるか?


外へ飛び出したオレに、メイドは後ろからタックルかましやがって


「うぎゃっ 」


見事に地面にダイビングした。オレは痛みと衝撃におかしな呻きをあげる


お前、オレのこの奇麗な顔に一生残る傷が付いたらどーすんのさ!!お婿に行けないでショ!……と、虚しい冗談を言ってる場合じゃなかった、痛みに感傷してる暇はないんだよ!


(しまったあぁっ!捕まった!!……ん?)


腰に…


メイドはオレに跨がり、柔らかい尻の感触が腰に!


「(ひいぃっ)ドコ乗っかってんのっ あんた!」


馬乗りにされて、慌てるのがオレってのもどーよ。つーか、男としてこの状況は嬉しいはずなのに、今は逃げる方が重大で。動揺しまくるオレは情けないやら滑稽やらである


背中に乗っかるメイドの姿は見えないが、何やら腕を振り回している


「(ハンマー?!ハンマーを打ち振る用意か!?準備OKなのか?!)ちょっ… 待て!!!」


姿が見えない事で恐怖心が更に深くなる


オレはジタバタ必死に藻掻いて、うつ伏せの状態から何とか仰向けになる。

これで敵に背中を見せる…という状況からは脱退出来た、が正面になっただけで何ら状況は変わってないのさ☆(泣)


辺りはすっかり日が暮れて真っ暗になっている。

考えてみたら、家の中での攻防戦は余裕が無かったせいもあり、電気を点けない暗い中で行われていたわけで…

逃げるのが精一杯だったんだよ!悪ぃーか!!


メイドの服は、定番の白エプロンに黒のワンピースのツートーンカラー。だからこそ彼女の白い肌だけが夜の闇にボンヤリ浮かび上がり、やけに妖艶な色っぽさを醸し出して、一瞬だけその存在感に息を呑んだ


自分を見下ろす無感情な視線は何を映しているのか?オレか?…でも、明らかにさっき迄の彼女の雰囲気とは別人に思えたんだ


今までで一番冷めた美しい瞳に目を奪われてしまったのは、彼女の本質を垣間見たからか?


 ――…まるで別人


何度も繰り返す中、別の所へ注意が逸れたのは、彼女を見つめる中でその背景が移り込んだから


この時のオレ、上に跨るメイドの位置が仰向けになったオレの部位にジャストフィット(←殴)だとか、その感触を堪能しようとか……そんな事はどうでも良くなるくらいに意識が一つに集中していた


彼女が持っているはずのハンマーは何時の間にやら、当初に見た、あの黒い竹箒が握られていた


オレに跨り片手で勇ましく箒を振り仰ぐメイド……異様だ。変だよ、オレじゃなくてもツッコミたくなるぞ


美人だから許されているんだろうか?

いや、美人でもなんでも変態行為に良いも悪いもあるか!!

先ず、オレに乗ってる時点で間違いを正さねば!




ポタッ


そんなくだらない事を真剣に考えていたとき、上から顔に冷たい雫が滴れてきた


(何か…落ちて……)




ポタ ポタ ポタ…



「?」


よく見れば、ソレは見下ろす彼女の顔から顎を伝って落ちているようだ


小さい顔だけに細い顎だな……


(?……汗?)


その雫の在処を訝しみながらも視線は落ち着き無く、辺りを廻っていた


オレの中では無意識に興味深かったのか、視線は箒で止まる


上から下まで漆黒の珍しい竹箒。掃け留めに赤い大きめの鈴がついている


(鈴…だよな?)


自分に確認してしまったのは、見た目は確かに鈴なのに、一度も鳴らないのだ。特有な澄んだ音色が未だ聞こえてこない


そう思うと更に箒への興味が深まって、マジマジと見つめた


(あ、れ…?その箒……何か変じゃありません?)


ずっと持っていた違和感。ソレが何なのか判らないでいたが今になって解けてくる


(やっぱ変だよ、アレ…不必要に黒光りしてて、特に箒の先なんて……まるで‥‥‥まるで、鋭利な針千本?!アイスピックの先がイッパイみたいなんですがぁ‥‥‥あんなんでゴミは集められないよね☆ネ?)


現実逃避したくなるオレの気持ちも考えてくれよ!


だって最初見た時は確かに黒くて変な箒だなって思いはしたけど、あんなんじゃなかったって!ただの竹箒だったよ!


それに…‥‥‥先端(サキ)っぽに何か刺さってるし…


掃くどころか、アレは突き刺さるんだ!!怖ッ


オレは恐怖しながらも、箒にブッ刺された物体を見つめる


(白い…何だろ?フワフワしてるっぽいし……それにだんだん赤く…――!?)


オレは絶句した


暗かった辺りにも目が慣れたのと、月の明かりで色の判別が出来るようになったんだが、ソレによってもたらされた現実


突き刺さっている白い物が何なのかは判らないが、それが生き物で赤く染まっていく原因が『ソレ』から流れる血液であること理解した


同時に、彼女からオレの顔に落ちてきていた雫が『何なのか』を知った



恐る恐る右手で自分の顔に付いた液体に触れ、改めてソレの正体を確認した。色など無ければ良いのに、と祈るような気持ちで見たが、見事に打ち砕かれた


「滴れてくるほどって…」


オレは半ば呆れた様に呟くがメイドは反応しなかった


こんな淡々としているオレだったが、この時はもう既に限界だったんだ




彼女は怪我をしている様子はなく、なのに美しい顔は赤く穢れていた


それでも本能が一生懸命否定する


「おい。」


「はい?」


無機質な返事。メイドは未だ人形のように無表情だ。むしろ、人形の方がどれほどマシか


思わず溜め息


話したくもないが、ここは聞かなくちゃならない


「お前、怪我してんのか?」


「いいえ。どこも……光栄です。ご主人様」


お前の心配じゃねー!!オレ自身の為じゃー!それに目が笑ってねーし!それが益々怖ぇーし。

ホントに光栄なんて思ってんのか、疑いたくなった


「(怪我をしているんじゃなかったならやっぱりアレは‥‥‥『返り血』)‥‥‥‥‥ッッッ!」


自覚すると感情は一気に膨れ上がり覚醒する


止めようもない沸き上がる恐怖は全身を駆け巡り、堪らず絶叫へと変わる


「うっ… っ…わあぁ…‥んっ ぐっ …ふ!?」


しかし、ソレが響き渡る事はなかった


代わりに与えられたフワリとした甘い香りと柔らかくふっくらとした味わったことのない唇への感覚。

塞がれた所から漏れるのは吐息のみ、悲鳴は喉の奥に引っ込んでいた


ソレを自覚する頃、彼女の唇はオレから離れていた


キス……された?


メイドは茫然としているオレを見下ろし、先程までの表情が幻であったかのように再び笑顔だった


「‥‥‥(戻って… )」


上半身を起こすメイドは改めて微笑むと、スッと目を細め人差し指をオレの口元へ押し当てて囁く


「急に外へ飛び出してはいけません、危ないですよ」


いや、家の中にいたほうが数段危険だった気が……


メイドはオレの言い分を知ってか知らずか、説教らしき事を続ける


「…そして、外で騒いではご近所迷惑です。ご主人様?」


誰のせいだ!迷惑の根源に言われたくない


そう言った彼女の顔には…赤い血飛沫が整った彼女の表情を更に蠱惑的に魅せつける


その表情は人を惹き付けると同時に、惑わせ狂わせてもおかしくないと思った。それほどにオレは彼女に…










 …――『脅えていた』









「ご主人様?」


あぁ……声が遠くなる

なんか、マジで疲れた……


「……主人様ッ …ご主人様!!」


すっげー眠い。全部夢なら良いのに



ホント、とんだ誕生日だ




暗転―――……

結局どうなる?!主人公の運命。……永遠に名無しなんですか?オレ‥‥‥

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