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俺が中身でも美少女だ!  作者: 夜々ぎん
1/2

1【リア充爆発しろ】


ぼちぼち書いていきます

「ね…キス…しよ」

目の前に近づく男の顔。

吐息が俺の顔にかかる。

絶体絶命の気持ち悪い状況。

「…や、やめてっ」

俺はとっさに相手を突き飛ばす。

「…っ」

傷ついたような相手の表情に、心が少しチクッと痛む。

相手と俺の体の人は確かに付き合っているのだから…申し訳ない。

だが、今はこうするしかない。

彼女と俺の心が入れ替わってしまった今…。

彼女の体であるとしても、心が俺な限り…男とキスなんてできるわけがない。

ていうか生理的に無理!






〜二日前〜






小雪こゆきと昨日デートしたんだけど、もう可愛すぎて俺死にそうだわ」

中学三年生の中間テストが無事終わり、俺の親友である深月みつきが早々に話しかけてくる。

日本人とイギリス?のハーフの深月は、ブロンドの短髪に黒い瞳、異常に整った顔立ち…という、いかにもモテそう(笑)な容姿だ。

正直、リア充爆発しろ。

と、それはいいとして、先程から深月が目を輝かせて語るご自慢の彼女、小雪ちゃん。

彼女はこの学校の超のつく有名人だ。

今じゃあ、この学校では『容姿端麗、文武両道の才兼美女』それが彼女を表す言葉になっている。

文武両道かは知らないが、長い黒髪と青みがかった黒い瞳が印象的な、the日本の美女だったと俺は記憶している。

「…あ〜よかったな、うん」

正直羨ましいので、皮肉たっぷりに返してやる。

まあ、深月に皮肉は通じないのだが。

黒木くろきも彼女作らないと…もうすぐ夏休みになっちゃうぞ〜?」

にやけ顔でこちらを見てくる深月。

「うるせー」

俺は深月の鼻をつまんでから頬杖をつく。

俺だって彼女が欲しいとか、彼女作んなきゃとか…頭では理解してるんだ!

だけど、俺は生まれて此の方もてた試しがない。

黒目黒髪、黒縁メガネ。

これが俺を表す言葉であり、モテ要素が一つもない。

深月に叶うことといえば勉強くらいだし…ああもう、神様って理不尽だ!

「深月くん…!」

ほうけていた俺の耳に、唐突に可愛らしい声が響く。

「お、小雪じゃん…!どうしたんだよ〜」

気持ち悪いくらい笑顔でかけよっていく深月を見ながら、俺はげんなりとする。

噂をすればなんとやら…。

とりあえず、恥を捨てて会話に耳をすませる。

「あのね、お弁当作ってきたの…!今日はテストが終わっても、午後は授業でしょ?」

「うわ!まじか、もうすぐ昼飯の時間だからすっげー嬉しい」

「あ、味は保証できない…ですよー?」

「いやいや、絶対うまいって!黒木にも分けてやらないとな〜こんなあるんだし!」

「うんうん、お友達と食べてね…!じゃあまた後で」

「おう!後でな」

リア充が。

聞いておいて俺は腹が立つ。

だけど、お弁当を分けてもらえるらしいので何も言わないでおこう。

「黒木〜、弁当もらったから、くおーぜ!」

「ありがたく頂きます」

箸を構えた俺の前で弁当のフタが次々に開けられていく。

なんだ…この美味そうな弁当は…!

なぜかキラキラしているように見える。

定番の卵焼きや唐揚げ、たこさんウインナー…家庭感あふれる肉じゃがや金平ごぼう…そしてデザートにはフルーツまで切ってある。

「い、いただきます」

「おう、くえくえっ」

何の躊躇もなくパクパクと頬張る深月に対して、俺はなぜか緊張しつつ一口……。

「うまい!!」

そして感動した。

見た目だけじゃない…!なんてうまい味付けなんだ。

これが中三女子の作った産物なのか!?

どうなってんだよ、小雪ちゃん!

心の中で俺は猛烈に叫びつつ、小雪弁当を完食した。






*****





「じゃあ、ちょっと俺、先生に呼ばれてるから。小雪が来たら待つように言っといてくれな!」

「ほいほい」

放課後の教室。

夕焼けのせいでどこかロマンチックな教室。

そこで俺は一人、親友の彼女のために待ちぼうけする。

することもなかったので、俺は机の上に腰をかけると、一人ブラブラと足を揺らす。

「…あの…」

いつに間にいたのだろうか。

気づけば教室の入口に、小雪ちゃんが立っていた。

「あ、深月なら先生と今話してるから、ここで待ってろって言ってたよ」

「あ!そうですか、ありがとうございます!」

「うん、じゃあ俺は帰るね。あ、お弁当美味しかったよ、ごちそうさま」

「…!よかった!」

俺と出会ってから初めて見せる笑顔。

少し遠慮がちに微笑む顔に、キュンとしてしまう。

多分、健全な男子なら誰でも。

「あっ、じゃ、じゃあ帰るね」

俺は少し焦りつつ、教室を出かけて…手を掴まれた。

「あっ…!すいません。深月くんが来るまで暇なので…よかったらお話でも、と思いまして…!」

意外な積極性というのだろうか?

多分、こういうのがモテる要素なんだろう。

「うん、いいよ」

俺は内心少し喜びつつ、頷く。

ここで断るわけがない。

「あ、私は冬野小雪ふゆのこゆき。B組です」

「俺は黒木星夜くろきせいや。見てのとおりC組」

「セイヤってどのような字なんですか…?」

「星に夜って書いて星夜って言うんだ。ちょっと、かっこつけた名前でしょ?」

「いえ…!綺麗なお名前です…!」

本心から言っているんだと…そう思えるような優しい表情に、俺はまたときめいてしまう。

よく考えれば、こんな綺麗な子と二人きりなんて、早々ないことだろう。

「小雪って名前、俺結構好きだけどね。そういえば…小雪ってなんか大人っぽ…ん」

小雪ってなんか大人っぽいよね。

そう言おうと、振り向きながら言った言葉は…彼女の唇によって遮られた。

え…………?

「ん…ちょっ、ちょっと何するんだよ!?」

俺は激しく動揺して、を突き飛ばした。

「え…?」

そこで、俺は更なる動揺におちいる。

「な、なんで俺が目の前に……」

後ずさって尻餅をついた俺に、自分の体が目に入る。

制服の上からでもわかる膨らんだ胸部、スカートから覗く白い細い足…。

「お、おんな…!?」

そう叫んだ声すらも、透き通るような女声になっている。

そこで、目に前にいる俺は申し訳なさそうに頭を下げて言った。

「ごめんなさい。これから星夜さん…あなたの体を使わせていただきます…。事情は…まだ言えません」

「な、なんだよそれっ」

叫ぶ俺から逃げるように、俺の体は教室を出ていってしまう。

俺はといえば腰が抜けたまま、ただただヘタリこむことしかできなかった。

突然のことすぎて、頭がついていけていない。

「……やだ…返してよ…」

声を押し殺すように、俺は泣いた。

フラッシュバックするのはキスシーン。

そして、あの魅力的なキス。

だが、その全てが…混乱に打ち消された。




ちなみに、作者はくりぼっちらしいです


※くりぼっち=クリスマスぼっち=クリスマス一人=寂しいやつ

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