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動物街  作者: 焔ゆたか
3/5

狐たちの問題

ニコニコ生放送第6回、第7回執筆作品。

http://com.nicovideo.jp/community/co2312022

コミュニティです。書いてるだけ、たまに雑談です。

 狼がいなくなった後で、法を守る獣、守らない獣が別れてしまった。守る獣は自分たちが守っているのに、守らない獣によって、生活が脅かされていると感じている。一方で、守らない獣は人間らしい生活など馬鹿げていると老狸を批判した。法を守らない急先鋒は狐だった。狐たちは鶏を殺め、好き勝手に喰らった。鶏たちは、老狸に抗議した。

「このままでは、我々は皆狐たちによって食べられてしまう。そうならないための法だったのではないか。確かに、このところ、食料は少なくなった。だが、まだあるし、農場は一定の成果をあげている。何故、狐たちは我々を食べるのか。それを聞いてくれないか。もし、狐たちが、山と同じような生活をするならば、我々は自衛しなければならない。老狸よ。あなたは、どちらの味方なのだ」

 老狸は弱い獣たちを救わなければならないと決意した。まず、老狸は狐たちのもとを訪ねた。狐は全部で3匹。最も、年をとったドグマと呼ばれる赤い狐。唯一の雌で、食欲旺盛なセリム。一番若く体力のあるソウ。3匹は老狸を快く迎え入れた。

「老狸。良く来たね。あなたは狼を一緒に閉じこめた仲間だ。二度と、あのような横暴を許してはいけない。狼は危険な獣なんだ。彼らは私たちとは違ったのだ」

 ドグマは落ち着いた声で語る。一方で、ソウは老狸を馬鹿にしている。

「ドグマさん。こんな奴に何ができるんですか。放っておきましょう。狼のいない今、僕たちが一番強いのです」

 老狸はため息をついて、言った。

「狼を閉じこめたのは、肉を手に入れるめどが立たなかったからだ。もし肉が手に入れば、狼たちも解放する。そのために、食料だってちゃんとあげるよう、頼んでいる」

 セリムは持ち前のお転婆ぶりを発揮して、狼たちをけなす。

「老狸さん。あなたは狼の恐ろしさをしらない。飼いならされるくらいなら死を選ぶやつらよ。すぐ、食べ物を与えずに、餓死させてしまうべきよ」

 老狸は首を横に振った。

「狼は困った時に、きっと力になってくれる。私はそのことを強く信じている」

「老狸。あなたは自分が正義を働いているつもりかもしれないが、実は一番残酷なことをしているのではないか?狼は弱っていくだろう。もって一週間ぐらいか。人間に飼われるのではなく、獣に飼われるとは、何と皮肉なことか」

 ドグマは自嘲気味に言うと、もう鶏には手を出さないことを誓って、老狸を追い返した。

 3匹の狐たちは、住み家を転々としながら、食料を求めて、街中を走り回る。しばらく、平穏は続いた。三日間の平穏だ。


 静かな三日間が過ぎた。一羽の鶏の死体が発見された。何者かに喰われた後だった。老狸は狐を疑った。年長の狐、ドグマは疑われるのは心外だといった様子で、老狸の呼びかけにも応じなかった。次第に、弱い獣たちを中心に、狐を非難する声があがりだす。鹿は特に怒っていた。

「俺たちは広い家もある、食料もある。なのに、これ以上何が必要だというのか。狐は人間のように貪欲だ。彼らは限度を知らない。むしろ、信頼関係を基にして、狐たちは鶏たちを無雑作に殺めて、食っている。狼の次は彼らを隔離すべきだ。これ以上、犠牲者は出せない」

 鹿、狸、亀、鶏たちは狐を仲間とはみなさない、と決めた。

 その晩、ドグマが一匹釈明にやってきた。

「今回の件は、セリムとソウがやったと白状した。彼らに何なりと罰を下すがいい。ただし、命まではとらないでくれ。これは同じ狐として、二匹を思うだけでなく、必然的に、法に対する罰はなかったからだ。人間の書物を少し読んだ。法律はさかのぼって適用することはできない。そうだろう?老狸?」

 老狸は確かに、罰については何も決めていなかった。鶏たちは厳しい罰を要求した。鶏にしてみれば、家族であり、仲間である鶏が食べられたのだ。当然といえば、当然である。老狸は罰として、破った者は街を去るべきだと大声で怒鳴る。老体に無茶をして、亀に心配される有様だった。仕方なく、ドグマはセリムとソウを山に戻すことに決めた。山は静まりかえり、恐ろしい者は、どこかに隠れているのかもしれない。ドグマは山を見ながら、二匹の若い狐たちの行く末を心配した。老狸は食料がなくなった後、山に帰ることも検討しなければいけないのに気づいている。今回、二匹が帰ってこなければ、山に調査隊を送ろうと決めた。

 山は不気味にソウとセリムを待ち構えている。


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