05
自転車に乗って帰る途中、二人は近くのゲームショップへと立ち寄った。
美亜がゲームを二日でクリアしてしまった為、次に攻略する新しいゲームを探しに来たのだ。
「お前も本当、懲りねぇなぁ。しばらくゲームしないでいる、ってのは出来ねぇのかよ?」
棚を漁るように一つ一つゲームソフトを取り出している美亜に向かって、隣に立つ駿は呆れるように言った。対して美亜は、ソフトの裏面に記載されている内容を眺めながら答える。
「ん~出来ない。何か熱中出来るものが無いと、つまんないじゃん」
「他に熱中出来るものは無ぇのかよ」
「今あたしが熱中出来るものが、ゲームなの!」
そう口を尖らせながら言うと、小さく溜め息をつき、手に持っていたゲームソフトを棚へと戻した。
「う~ん、ダメだなぁ。もうやった事あるやつばっかだ。向こうの旧作のコーナー、見てこようかな」
(こいつ……どんだけやってんだよ……)
駿は呆れた溜め息を零しながらも、言葉を返す。
「じゃあ、俺はあっちでCDでも見てっから。決まったら声掛けろよ」
そう言い残すと駿はゲームコーナーとは逆にある、CDコーナーへと歩いて行った。
「ん。分かった~」
駿の方は見ず、背中を向けた美亜は手をヒラヒラと振ると、奥にある旧作コーナーへと足を向けた。
***
「う~ん、やっぱり惹かれるものがないなぁ。明日また、別の所に行ってみようかな」
旧作コーナーも一通り見終えてしまった美亜は一人呟くと、諦めて帰ろうとした。
その時、ふとコーナーの角に目が止まる。そこには安売りセールのワゴンがポツンと佇んでおり、“全て千円以下”との大きな表示が。
「こんなのあったっけ?」
不思議に思いながら近付いて行き、ワゴン内に幾つも折り重なっているゲームソフトを手に取って見る。それらのゲームは、今まで見た事の無い物ばかりだった。
「へぇ~こんなのあったんだ」
嬉しくなり、ワゴンの中を漁って選び始めると、奥の方に他のソフトとは少し異質な金色のパッケージを見付けた。
「何だこれ?」
取り出してみると、そのパッケージには何も書かれておらず、ただの金色の箱にしか見えない。しかし、隙間から中を覗いてみると、確かに中にはソフトが入っているようだった。
どこのメーカーとも解らないものだったが、何故か無性に気になり買うことにする。
「ま、どうせ千円以下だしね! つまらなかったら売ればいいし」
そう言ってそのソフトを持ち、美亜はレジへと向かった。