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断罪の剣  作者:
序章・反攻作戦編
4/8

4、騎士団を使うわけ

本当に短い説明が終わった後、お互いに自己紹介をした。

おそらく、長々と話をするよりも、これから命を預けて戦う者同士、交流を深めておく方が何倍も大事だと考えたフェリク将軍の気遣いなのだと誰もが感じていた。


フェリク将軍が簡潔な説明を終えてこの場を立ち去ったので、この場には、「賢者」ルーク、「剣帝」ゲオルグ、「レイピア使いの騎士」アンリ、「槍使いの騎士」ガイウス、「回復魔法のスペシャリスト」ナタリア、「伝説級の弓の名手」エルベ、「自称最強の剣士」アルフォンスの他に後3人いた。


火の魔法の使い手ロイ、氷の魔法の使い手エリィ、特殊魔法である「空間魔法」の使い手のアッシュである。

ロイとエリィは、血の繋がった兄妹だ。

まだ15歳と14歳という年齢ながら、それぞれの属性魔法使いの中で最強といわれており、二人が揃うと、そのコンビネーションは強力な魔物ですら簡単に撃破してしまうほどだった。

もし同じ時代にルークが生まれていなければ、この二人が、「賢者」の称号を手にしていたことだろう。


アッシュは、火、水、風、雷、土、氷、光、闇という8大属性にあたらない特殊魔法を使う事が出来た。

ルークも賢者と呼ばれ、普通は多くても使える属性は3つが限度とされているこの世界において、8つ全てを使いこなすという、化け物じみた能力を有していたが、特殊魔法だけは使うことが出来なかった。

特殊魔法というのは、生まれ持った才能が全てで、後天的に得ることが出来ないものだったからだ。

年は16歳でルークと同い年であった。


ルークに対し、子供扱いしていたゲオルグだったが、いざ集まってみると20歳にも満たない者達ばかりで、自分が年長者のほうに部類されていることに、少なからずショックを受けていた。

余談だが、初めてゲオルグに会ったルークは、30歳後半くらいかなと思っていたが、実は27歳とまだ30にも届いていないのだった。


・・・若干老け顔のゲオルグさんなのでした。


自己紹介も終わり、それぞれが、もうすぐ始まる過酷な任務に向かうため緊張感を高めていた。

ルークも、自らの腰に下げている剣を座りながら手入れしていた。

魔法使いとはいえ、魔力が切れれば何も出来なくなるのでは駄目だと幼い頃より剣の修行も欠かしたことはなかった。


「あの、ルークさん?」


そう声をかけられ顔を上げると、そこにはロイとエリィの兄妹が立っていた。

どうやらエリィに声をかけられたようだ。


(ほんとに仲がいいな、さっきからずっと一緒にいるよ。

 僕にもこんな可愛い彼女がいたらな・・・。

 はぁ・・・)


そう思うほど、エリィは可愛らしかった。

アンリに比べると、まだまだ子供っぽかったが、これから数年後には美人になることは間違いないと思えた。

ロイの方も美男子で、二人が揃っているとまるで、一枚の絵のようだった。


「・・・何?」

「教えてほしい事があるんです」


そう答えるエリィ。

普段は子供扱いされて頼られることが少ないルークは、頼られているこの状況に戸惑いと、歓喜をおぼえた。


「ぼ、僕に聞きたいこと?

 な、何?」


・・・慣れない状況にかみまくった。

そんなルークに少し不審な顔をしたが、気にせず話を続けた。


「疑問なんですけど、どうして魔族領に行くのに、わざわざ軍を動かすんですか?

 私達だけでこっそり入り込めば、犠牲になる方も減ると思うんですけど・・・。

 お兄様も知らないみたいで・・・」


(あー、そのことか、確証はないんだけどな・・・)

 

どう説明しようか迷っていると、


「僕にも教えてほしいな。

 どうしてここまでする必要があったのか」


そう言いながら、アッシュも話しに加わってきた。


(あれ、この話はあまり有名じゃないのかな?)


そう結論付けたルークは知っていることを全て話すことにした。


「うーん、魔族領が瘴気に包まれていることは知っているよね?

 今までも何度も魔族領には潜入を試みているんだ。

 瘴気病の事もあるし、魔族領の事を何も知らないまま戦うことは出来ないからね。

 でも、そのことごとくが失敗したんだ。

 なぜか、魔族領に侵入した直後に襲われ、全滅してしまう。

 その事から、魔族領に進入した人間を感知してるんじゃないかと結論付けたんだ。」

「でもそれなら、私達もすぐに見つかって殺されてしまうんですね・・・」

「エリィの言うとおりだ!!!

 俺達は捨て駒か!!!」

「そうだよね、僕達が行っても無駄と言うことだよね・・・。」


3人から悲観的な意見が出た。

此処までなら、それも当然だ。


「でも成功した例もあるんだ。

 それが複数の地点から進入を試みた時なんだ。

 つまり、魔族は魔族領にいる人間が分かるわけじゃない。

 進入された場所だけ分かるんじゃないかと結論付けたわけ」

「つまり、こういうこと?

 いろんな場所から進入すれば、魔族領の奥深くまで行ける可能性があると・・・?」

「そういうこと。

 まあ、ギャンブルみたいなものだけどね・・・。

 それほどまでに人間は追い詰められてるんだよ・・・。」




ずーんと重たい空気が4人に流れた。




しかし、その空気を破るかのように息を切らせながら現れた伝令が告げた。


「作戦開始です!!!すぐに魔族領に向かってください!!!」


唐突に作戦は開始されたのだ。

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