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Mr.ドワーフ!  作者: はには
ドワーフの村にて
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ドワーフと魔法 後編

次の日、俺はセリーと村に出た。


お手てを繋いでお出かけだ。

最近俺は背が結構伸びた。80センチぐらいだ。

前世に比べて早いのか遅いのかと言われればわからない。

だって俺高校生だったし、2歳の子の身長なんてわかんねぇよ。


ちなみにセリーは140センチぐらい。

ドワーフ女性の平均ぐらいだろう。


男のドワーフの平均は150センチをちょっと超えたくらい。

俺のイメージよりは少しデカイ。


「んー、いい天気。ジオ、魔法使えるようになるといいね。でも、使えなくても落ち込んじゃダメよ?魔法なんて使えなくても立派に冒険者やってる人なんていっぱいいるんだから。」


「うむ、わかったのじゃ!だが、何処へいくのじゃ?」


セリーは昨日からそんなことをちょくちょくと言ってくる。そんなに昨日俺は落ち込んでいたのだろうか?

いや、落ち込んでいた気がする。


だって、なぁ、わかるだろ?

ファンタジー世界来て魔法使えないって………。


「ほら、そろそろ見えてきたわよ。教会。そこでジオのこと色々と調べてくれるわよ。」



ほう、教会ね。

………めっちゃ嫌な気がする。

それはもうバリバリする。



「いらっしゃい。………あら?セリーじゃない?どうしたの?」


これまた可愛いらしいシスターが迎えてくれた。


いや、よそう。


最近俺はなんとなくだがドワーフの年齢の区別がついてきている。


なんとも言えないが何となしにわかる。


恐らくは50近いだろう。


詐欺◯リだ。


詐欺◯リでぺったんこだ。


ヒュォ、とシスターから冷気が流れた。


「こんにちは、シスターマルフィア。今日はこの子のギフト判定と神聖魔法の授与を授かりに参りました。あら?どうされたのですか?」


「いえ、なにかその子から要らぬ視線をかんじたもので。いえ、気のせいよね。まだ小さいし。」


………うん。これで確定だ。

ドワーフの女は確実にサイズを気にする。しかも、ものっすごく敏感にそういう感情を察知する。


今はまだ幼いからいいが大人になってからはマズイ。

二度と考えまい。

そう、硬く決意した。


「えぇ、それでギフト判定と神聖魔法の授与でしたっけ?うーん。少し早く無いかしら?耐えられる年齢には見え無いのだけれど?」


うん?なんだ?何か危険の有るようなことなのか?

ちょっとそれは遠慮したい。

というか、無理だろ。2歳よ俺。


「いえ、ジオなら大丈夫ですわ。よろしくお願いします。」


「うーん、わかったわ。ジオ君此方にいらっしゃい。」


そう言われて俺は祭壇の近くに連れて行かれる。

え?ちょっと待って!まだ、心の準備が。


セリーも何この子なら大丈夫です。とか言っちゃってんの?


抗議の声をあげる間も無く俺は祈る様な姿勢で座らされる。


「いい?この姿勢で30分ぐらい目を閉じてじっとしていなさい。そして、神聖魔法をどうかお授け下さいって祈るのよ。出来るかしら?ちょっと辛いかも知れないけど我慢してね。」



あーね。


そういうことね。確かに2歳の子供には辛いかもしんない。


30分同じ姿勢で面白くもないんだもんね。

ともあれ流石に俺も今年で精神年齢20歳。

30分ぐらいならまぁ、なんとかなる。



そのままじっとしながら、神様。神聖魔法をどうかお授け下さい。

と、祈り続ける。すると30分ぐらいして背中がピリッとした。


それと共に声が頭の中に聞こえる。



「やだー。」



…………………。



やっぱりな!お前かよバーコード!

薄々感ずいてたよ!


神聖とか祭壇にバーコードの像があった辺りからな!


「お、おま、またバーコードっていったな!!この罰当たりが!お前になんて絶対授けてやんないから!あとベットの下に隠してたやつちゃんと机の上に出しといたからな!お前の母親微妙な顔してたぞ。」



ちょっ、ひでぇ、色々酷いぞ、このツルっぱげ!!

なんてことしやがんだ。贔屓してんじゃねぇ!さっさと神聖魔法寄越しやがれ!


「してませーん。まだツルっとはしてませーん!!これからもしませーん。神の毛根の根性舐めんなよ!」


うるせぇ、今の状況からすでにお前の毛根の根性なんてたかが知れてんだよ!


「なんだとこの野郎!これは始めからなんだよ!それから一本たりとも抜け落ちてはないわ!我が毛根管理能力を甘くみるな!!」


管理出来てる時点で大した本数じゃねぇんだよ!見ろよ俺を2歳にしてフッサフサだろが!羨ましいかこの野郎!!


「な、何をー!」


なんだよ!


「…………。」


…………。




やめよう。こんな争い。

いや、俺も悪かった。

もともとアンタと喧嘩したいわけじゃない。考えてたことが分かるなんて思ってなかっただけだ。


「う、うむ。我も最初にお主に考えてることが分かると伝えなかったしの。…よかろう、今回のことはすべて水に流そうでは無いか。」


あぁ、ありがとう。

それで神聖魔法は授けてくれねぇのか?

ファンタジーな世界で魔法が着火とか飲み水ちょっと作るとかは流石にさみしいんだが。


「ん?あぁ、お主ドワーフに産まれたのか。それは魔法は使えんであろうな。………しかしな、神聖魔法とはスキルの様なものでな。お主にそれを扱う才能はない。残念じゃが無理だ。」


おいおい、神様だろ。

それくらい何とでもなるんじゃないのか?

頼むよ。まだ、根に持ってんのか?


「無理じゃ。お主にはランダムではあるが、すでに一つのギフトを授けておる。これ以上の贔屓は神としてできん。」


いいじゃねぇか。

神様なんだろ?好き放題じゃねぇか。

ちょっとぐらいさぁー。


「ダメじゃと言って居ろうが。だいたい我はこの神聖魔法授与とギフト判定以外でこの世界に顕現せんし、干渉もせん。上に怒られる。出来たらとっくにお主をゴブリンとかに再転生させて天罰で殺しとったわ。」


ち、ちくしょう!

俺の魔法人生が。


……お前神としては下っ端なんだな。

てか、神って複数いるんだな。


「ち、ちがわい!我は複数の世界を管理する上級神じゃ!そこらの1つの世界に何人みたいな下級神じゃないぞ。さらに上がおるだけじゃ!」


わかったわかった。

ヒートアップはやめよう。

神の仕組みは置いておいて落ち着こう。


じゃあ、ギフトはどうだ?

俺の転生ボーナスなんだから有るには有るんだろ?


「あ、あぁ、そうだな。ちょっと待て…………ふーむ、どうやらお主のギフトは『怪力』らしいな。ランダムの癖に良いもんを当てたものだ。」


『怪力』って……。

なんかパッとしねぇな。

もっとこう超回復とかさ、絶対剣術とさ。

そういうのが良かったのに。


「まぁ、そういうのも有るんだがな。だが、ギフト持ちっていうのは滅多にはいないんだぞ。それに、『怪力』は『強力』と『超力』の上にある上級ギフトだ。下級や中級のギフトと違いお主の成長に合わせてその力も桁違いに上がっていく。この世界で生きていくにはかなりの助けになるだろう。」


でもなぁー、というかギフト持ちってどれ位の割合でいるもんなんだ?


「うむ、生まれる割合なら下級のギフトなら5千人に1人、中級なら5万人に1人、上級なら50万人に1人といったところか。だいたいだがな。この世界では小さい頃に死んだりもするし、もっと少ないかも知れん。」


おぉ、そう聞くと凄いな!

この世界に何人人がいるかわからないし何人上級ギフトを持ってるかは分からないけど。


「その辺は我も教える訳にはいかん。今の情報だけでも教えるのはよくないことだしな。では、この辺で我の仕事も終わりだ。次に会うのはお主が死んだときであろう。ではな。」


ちょっとまて、最後に聞きたいことがある。お前もうこの世界とか俺に干渉しないんだよな?


「あぁ、そんな事はせん!というか、これ以外では出来ん。この世界が爆発するとかの特例以外ではな。もともと、この宗教も神聖魔法授与とギフト判定のために作られたものだしな。今は勝手に神の示す道とか宗教色全開だかな。ぶっちゃけた話、我は人が一億人死のうが干渉せん。魂管理の方が仕事なのでな。………っと、そろそろ本格的に時間切れじゃ、顕現が解ける。……今度こそさらばだ。」



あぁ、それだけ分かれば十分だ。



あばよ!ツルっぱげ!!!



「あ、!き、貴様ぁぁぁー!!!」



そう言ってバーコードは消えさった。




ふっ、俺のバイブルを机に置いたお前の罪は許されるものでは無い。


ふははははっ。せいぜいハゲるがいいわ。













注)この話は決して一部の身体的特徴を馬鹿にしているわけではありません。


そして、恐らく二度と神は出てきません。

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