プロローグ
「キキーッ!!ドン!!」
車が何かにぶつかる音が耳元で聞こえた。
「あぁ、終わったな。」
最後に出てきた言葉は言葉にすらなっていたかは怪しい。
だが、せめてあの子だけは生き残って欲しい。
そう、俺は不注意に道路に飛びだした少女を救うべく迫りくる車の前に飛びだし、少女を突き飛ばしたのだ。
結果として俺は車に轢き殺されのだか視界の端に映る風船をもった少女に満足げに微笑んだ。
「ママー!あの人グチャってなったぁー!」
「き、きゃー!!エリちゃん見ちゃダメ!だ、誰かー、救急車!!」
………はい、嘘です。
たまに河原に落ちてる聖書を拾いに行くため今週発売の週刊誌を読みながら信号も見ずに道路を渡っているところを轢かれました。
見えないけど多分これ身体がグロいことなってる。
い、嫌だー!
まだ女の子とお付き合いしたことも無いのに!!
河原で拾った俺の年齢で買えないものが主にベットの下に隠してあるのを処分できないまま死ぬのなんてやだー!!
あっ、ヤバイ。意識が遠のいてきた。
遠くで救急車の音を聞きながらそのまま俺は意識を手放した。
「おぉ、汝。あの様に死んでしまうとは情けない。……いや、マジで!」
目が覚めるとそこは真っ白な空間。寝そべっている俺の横に後光の差す白い大きな鳥の様な羽を持ちギリシャ神話の神の様な衣を羽織った人が立っていた。
恐らく、恐らくだが神であろう。そう納得させる何かを確かに彼は持っていた。
………頭がバーコードでなければの話だが。
「私は神。……残念ですが、貴方は死んでしまったのです。……中々理解はできないでしょう。しかし、事実です。どうか混乱すること無く私の話をお聞きなさい。」
ボケーっと自分を見つめる俺を混乱していると思ったのだろうバーコードのオッサンは優しく微笑みかける。
「貴方はここで転生をします。本来なら地球に転生するところなのですが、少し困ったことに今は非常に地球は混雑してまして……他のところに転生となってしまうんです。」
俺は頭を何とか回転させバーコードの話を聞く。つまり異世界に行くと言うことか?
「え、えぇ。そういうことです。本来なら貴方はあと4回ほど地球に生まれる予定だったんですが、部下が定期的に行っている魂の入れ替えの量を間違ったみたいで、どうです?行ってみませんか?もちろん一つ貴方に神からのプレゼントもあります。……てか断れないんですけどね。」
………ん?どういうことだ?つまりこのバーコードが言うには俺はもう地球には戻れないってことか?
そして、チートをひとつ貰って異世界に旅だたなきゃいけないと?
「くっ!…そういうことです。行く世界は剣と魔法、魔物の有るファンタジーな世界です。ギフト……貴方の言うところのチートはなんでも構いません。何か欲しいものはありますか?」
バーコードはちょっと渋い顔をしながら話を進める。
おいおい、ちょっと待てよバーコード。俺だっていきなり色々言われて混乱してんだ。
ちょっとは時間をくれよ。
まぁ、死んだのとベットの下のを処分できなかったのはショックだが、それ以外には両親に申し訳ないと思うくらいだ。
感覚が麻痺してるのか、それとも現実として受け止めれていないのかわからないが、これといって取り乱してもいないし、異世界に行ってみてもいい。
それに生前?憧れていた剣と魔法の世界なら是非行ってみたいという思いもある。
しかもチート持ち。ひょっとしたらチート無双も出来るかもしれない。
このバーコードが言うには自分でチートを選べるみたいだしな。
「この!………ええ、ありがとうございます。それではギフトを決めて下さい。」
バーコードはものすごく渋い顔でそう言った。
うーん、どうしようかな?
やっぱり、異世界物って言ったら魔法だしな。魔法で無双してキャーキャー言われてハーレムとか作っちゃったり!
でも、剣も捨て難いんだよな。凄い剣術で敵を切り裂く凄腕冒険者とかも憧れるしな!
いっそ魔法剣士になろうか?
魔法も剣も超一流で敵には化け物めとか、味方には彼奴は天才だ(キリッ!)とか言われてみたりして。
ぐふふっ。
でへへ。
でも、そんなギフトあんのかな?
バーコードに聞いてみようかな。
そんなことを考えているとバーコードがいきなりブチ切れた。
「っっあぁあぁぁあぁあ!てめぇぇ!何回人の頭けなせば気がすむんだ!!お前に分かるか?!生まれたときからバーコードな俺の気持ちが!」
……えっ?…ひょっとしてさっきまで色々考えてたことってバーコードに聞こえてたの?
そういえば会話成立してたもんな。
「また、言いやがったなこの野郎!そうだよ聞こえてるよ!神だからな!」
ご、ごめん、いや聞こえてるとは思わなくて。………ほら、別にね髪が全てじゃないからね。その髪型良く似合ってるぜ!
「うるせぇぇ!そんな慰めいらねぇんだよ!さっさとギフト選べってんだ!!」
なんだよぅ、怒るなよぅ。
そんなんだからハゲ………っと。
ギフトね!やっぱ、魔法と剣術が合わさったやつ欲しいんだけどどうかな?ある?
それと、俺さ。生前小さかっただろ?だから出来たらイケメンで背の高い種族にして欲しいんだ。エルフとかの。
「お、おま、遂にハゲって言ったな。俺はまだハゲてません!これは立派なヘアースタイルです!
大体、週刊誌読んで車に轢かれる今時滅多に落ちてもないエロ本を探しに河原まで学校さぼって行くようなやつに言われたくねぇんだよ!!」
あっ、おま、カチンときた。
上等だよこの野郎。こちとら健全な高校生だっつうんだよ。仕方ねぇだろ!
いつまでも醜い髪に囚われやがって。
レジに持ってって、ピッ!ってしてやろうか?
ニーキュッパって言わせてやろうか?あっ?
「誰が特売セールス品だっ!!それにな健全な高校生だって?誰がだっ?あんなマニアックな趣味しやがって!お前の机の上に出しといてやるからな!」
あっ!てめぇ。その散らかった頭でなんてこと考えやがる!
数少ない残りの毛根の寿命ここで終わらせてやろうか!?
「貴様ぁ!罪無き我が毛根になんてことを!そ、それに……こ、このスタイルが今は天界で流行ってんだよ!大体俺は神だし!その気になれば姿なんて余裕で変えれるし!」
はい、ダウトー。
どこの国でバーコードなんか流行るか。
どうせ、天界でもイジメられてんだろ。
姿変えてもそれってカツラみたいなもんだしな!
「ほ、ほんとだしー!地球みたいな遅れたところでは理解できないかもしんないけどホントだしー。今これがトレンドだしー!!」
はいはい、言ってろ言ってろ!
どうせ部下にも言われてんだぜ。
えぇー、あれダサくない?いつまでも未練がましいよねぇ。とかな!!
「うっ、うぁぁぁぁ!………も、もう知らん!!貴様なんぞサッサと行ってしまえ!」
俺が言い返していると遂にバーコードは実力行使に出た。
足元に穴のような空間が空き俺はそこに引きずりこまれる。
ギ、ギャー!!このハゲ。卑怯じゃねぇか!チートはどうなるんだ!?
「ハ、ハゲって言うな!全世界の髪が心許ない人々に謝れ!!ギフトは知らん!ランダムだ。種族もな!後悔するがいいわ!!」
バーコードはそう言いながら高らかに笑い俺を強制的に送りだした。
くそぅ!ふざけんなよ!
お前も悪口言ってきたじゃねえか!おあいこだろ。
ちょっと傷抉られたぐらいでぇー!!
ぜってぇ、仕返ししてやっからなー!
こうして、俺と神との骨肉の争いが始まった。
どうも初めましてでございます。
初めての連載。
右も左も前後もわからん未熟者ではございますが、見ていただけたら幸いと思っております。
どうぞよろしく。