彼と朝食とダージリン
この2人が異性か同性かの判断は、読者様にお任せします。
広いリビングダイニングに、大きな窓から朝日が射し込んでいる。
寝室の遮光カーテンは開かない為、リビングダイニングに降りて来なければ天候が分からない。
知らなくても構わないのだが。
「おはようございます」
彼は朝から機嫌が良い。
早起きの出来る人は尊敬に値する。
「おはよう」
彼が差し出すカップを受け取る。
中身は薄いダージリン。
渋い味が苦手なのにアッサムやオレンジペコーは飲まずに断固としてダージリンにこだわる自分に、彼は眉一つしかめずに付き合ってくれている。
「もうすぐ出来ますから待ってて下さいね」
今日の朝食はオムレツとコンソメスープとコールスロー。パンは食パンではなくバターロール。
プランターで育てたミニトマトが皿の端に乗っている。
料理の上手い彼は、植物を育てるのも上手い。プランターにはミニトマトの他にバジルやミント、苺やほうれん草が育っている。これから、庭を耕して本格的に家庭菜園を始めるつもりでいるようだ。
彼が楽しいなら、何だって良い。
俗説だが、料理上手は床上手らしい。
確かにそうかもしれない。
うっかり昨夜の情事を思い出してしまい、赤面する。
それをダージリンが熱いからだと言う事にして、彼の背後に忍び寄った。
「どうしました?」
彼の頬に、唇で触れる。
「いつもしてくれるだろ?」
今日はまだだよ。
「そうでした」
優しく微笑んで、彼は唇にキスをくれた。
「食事の後で甘えても良い?」
「喜んで」
天気の好い日の朝の出来事。
―――了―――
某賞に投稿した小説の後日談のつもりで書きました。
良い結果が出る事を期待しています。
…プチトマトとミニトマト。
どちらが正しいのでしょうか。
今回はミニトマトの方を起用しましたが。
ご意見、お待ちしています。