不器用なカタルシス
「ねぇ。何処行くの」
連れ出され暫く歩いた。もう2kmくらいか、学校とは随分離れた街中に出た。小さなショッピングモールだけど。
「何処って別にー。ね、あたしお腹すいちゃった」
「私、携帯しか持ってない。お金なんて」
「おごるよー。ねっ、いいでしょ?」
岸谷薗香もだけど…こいつも随分と強引な所があるんだった。結局近くのファーストフード店で食事する事になった。梨華はよく分からない無駄にデカいボリュームのあるなんたらバーガーを注文していたけど、私はポテトとナゲットを単品で頼んだ。そんなに食べられないし、正直ハンバーガーが美味しいとは思わない。食わず嫌いなだけだけど。小さい頃に子供用の小さなチーズバーガーを食べて以来食べてない。
大きなハンバーガーを随分とおいしそうに食べる梨華が、仏頂面でポテトをもそもそ食べる私に言った。
「レイってさぁ、相変わらず小食だよねー。そんだけでお腹空かない? そんなだからいつまでも細いんだよ。白いし。もやしみたい」
「お腹すかないんだもの、仕方ないでしょ」
「一口食べる? おいしいよー」
梨華がなんたらバーガーを差し出してくる。それは細かく言うと…分厚いハンバーグとレタスにチーズにハム、トマトも入ったもので。俗に言う、メガサイズのものだった。
「……ありがと」
今日は朝ご飯あんまり食べてないし。梨華の食べかけを一口食べてみる。分厚くて口を大きく開けないといけなくて、少し食べにくかった。
「どーよ」
「……おいしい」
「でしょ?」
ショッピングモール全体をぐるりと回って、脚が疲れてきた頃にはもう午後の3時になっていた。私は自分の体力の限界を感じ、梨華と共に学校に帰ることにした。
「脚痛い…あんた、よくもこんな遠いとこまで引っ張ったね」
「ごめんごめん。もー、レイ体力ないんだから」
そういや梨華は、どうして私をいきなり連れ出したんだろう。
「でもレイ、ちょっとは楽しかったでしょ?」
あぁ、多分、
しかめっ面だった私を見て、
それで連れ出したんだろうな。
自販機の前で梨華に会ったのは、果たし状を受け取った直後だった。
高校生活3日目。
果たし状が下駄箱に放り込まれていたが友達が元気づけてくれた。