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無重力高校生。  作者: メイ
4月編
8/25

不器用なカタルシス

「ねぇ。何処行くの」

 連れ出され暫く歩いた。もう2kmくらいか、学校とは随分離れた街中に出た。小さなショッピングモールだけど。

「何処って別にー。ね、あたしお腹すいちゃった」

「私、携帯しか持ってない。お金なんて」

「おごるよー。ねっ、いいでしょ?」

 岸谷薗香もだけど…こいつも随分と強引な所があるんだった。結局近くのファーストフード店で食事する事になった。梨華はよく分からない無駄にデカいボリュームのあるなんたらバーガーを注文していたけど、私はポテトとナゲットを単品で頼んだ。そんなに食べられないし、正直ハンバーガーが美味しいとは思わない。食わず嫌いなだけだけど。小さい頃に子供用の小さなチーズバーガーを食べて以来食べてない。

 大きなハンバーガーを随分とおいしそうに食べる梨華が、仏頂面でポテトをもそもそ食べる私に言った。

「レイってさぁ、相変わらず小食だよねー。そんだけでお腹空かない? そんなだからいつまでも細いんだよ。白いし。もやしみたい」

「お腹すかないんだもの、仕方ないでしょ」

「一口食べる? おいしいよー」

 梨華がなんたらバーガーを差し出してくる。それは細かく言うと…分厚いハンバーグとレタスにチーズにハム、トマトも入ったもので。俗に言う、メガサイズのものだった。

「……ありがと」

 今日は朝ご飯あんまり食べてないし。梨華の食べかけを一口食べてみる。分厚くて口を大きく開けないといけなくて、少し食べにくかった。

「どーよ」

「……おいしい」

「でしょ?」

 ショッピングモール全体をぐるりと回って、脚が疲れてきた頃にはもう午後の3時になっていた。私は自分の体力の限界を感じ、梨華と共に学校に帰ることにした。

「脚痛い…あんた、よくもこんな遠いとこまで引っ張ったね」

「ごめんごめん。もー、レイ体力ないんだから」


 そういや梨華は、どうして私をいきなり連れ出したんだろう。

「でもレイ、ちょっとは楽しかったでしょ?」


 あぁ、多分、

 しかめっ面だった私を見て、

 それで連れ出したんだろうな。


 自販機の前で梨華に会ったのは、果たし状を受け取った直後だった。



 高校生活3日目。

 果たし状が下駄箱に放り込まれていたが友達が元気づけてくれた。

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