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無重力高校生。  作者: メイ
4月編
7/25

疾走、失踪

 胸糞悪い。不愉快だ。いつもの仏頂面を更にしかめながら、外へ向かった。果たし状もどきは全力で握り潰して、もう開けない位に固めた。腹が立った。セーラー服の上から羽織った長袖のセーターのポケットの中の携帯電話を取り出すと、電池残量を確認する。腕時計に目をやると、もう休み時間は終わりに近づいていた。

 校門を出てすぐの自販機付近のベンチに腰掛ける。お腹、少し痛い。そろそろ生理かも…と、とにかくイラついていたが、頭上に降ってきた声に私は顔を上げた。

「レイだー。おはよ」

 先客。梨華である。

「今日は一段と機嫌悪そうだねぇ」

 にこーっと笑う目の前の友人に、胸の奥のドロドロとしたものが溶けていくのを感じた。

「だったら話し掛けないでくれる? 今日も楽しそうだね、あんた」

「楽しいよー。あ、何か飲む? おごるけど」

「ありがとう。ホットレモン飲みたい」

「了解」

 手際良く自販機に小銭を入れて私にホットレモンを手渡すと、自分は緑茶を買って私の隣に座った。

「緑茶って。相変わらず趣味が渋い」

「えぇー、お茶おいしいじゃん」

 チャイムが鳴った。授業開始だった。

「あー、鳴っちゃったぁ」

「別にいいんじゃない。どうせ面倒なのばっかじゃん、入学後って」

「そうだねぇー。ねっレイ、クラスでどーお? うまくやってる?」

「やってるわけないでしょ……」

「話せる子はいないの?」

「今のところひとり」

「誰だれっ、かわいい?」

「篠原くん。かわいくない」

「うっそ男子? えっイケメン?」

「イケメン」

「マジでっ! ねぇどんな人? 優しい?」

 篠原くんに食いついた梨華は、飲み物を飲み終えると唐突に立ち上がって私の目の前に立った。

「……なに、」

 梨華は人懐っこいいつもの笑顔で、へへ、と笑った。

「学校抜け出してどっか行こーよ」

 私は目を丸くした。「…は?」

「いーから行くよ! 篠原くんの話も聞きたいし」

 私の手首を強引に掴むと、彼女は私をリードして走り始めた。


 何も考えてない、空っぽの頭の中で漠然と考えた。

 何もかも唐突だなぁと。

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