第51話 ボイス販売大成功!
僕のボイスがとにかく売れた。
売れて売れて売れて売れて売れた!
なんでだ。
でも、そのお金で花咲里さんがアバターを作れたそうで良かった良かった。
そしてそのアバターを使って、早速行ったダンジョンが女体化ダンジョン……。
なんでだー!?
ちゃんと男の子の姿のまま戻ってきたので、まあよし。
僕の体が女の子になってしまったら、大変なところだった……。
お互い、元の体に戻るのが最終目標なんだから、管理をちゃんとやってもらいたい……!
「あれ? 明日奈が難しい顔をしてる!」
学校で考え事をしていたら、ファノリーさんに覗き込まれてしまった。
光のギャルって感じの人だ。
だけど実は人間じゃないんだよなあ。
世の中は分からない!
「僕も色々考えることがありまして……」
「そうなんだ? でもほら、大きい心配事は一つ片付いたでしょ? ボイスも超売れてるし、ここはなんか、パーッと明るくなるようなコトやっちゃったらどう?」
「明るくなること……? 例えば……」
「うちとショッピング行って、帰りにカラオケ行く!」
「ショッピングまではよく一緒に行ってると思う! カラオケ……カラオケかあ……。そう言えば生まれてから一度も行ったことがない……」
「マジでー!? ああそっか、あっちに入ってる明日奈の魂は行ったことあるけど、こっちの明日奈は行ったことがないのね。あー、苦労したんだねえ」
僕の頭をなでなでするファノリーさんなのだった。
ということで、本日の放課後はファノリーさんとショッピング。
まあ、無駄遣いは良くないのでほぼウインドウショッピングだけど!
で、彼女お薦めのメイクとかネイルとか、小物を見て回り……。
その後にカラオケボックスに行った。
「明日奈はアニメとかボイロとか知ってる?」
「あんまり知らないかも知れない……」
「そっかそっか、そうなんだー。カザトモとしては、そう言う知識があると雑談配信もできるようになると助言するぞー! ってことで、うちが色々歌ってみるから、知るきっかけにして欲しい!」
「な、なるほどー! ファノリーさんは僕の配信者としての幅を広げるために! いつもありがとうねえ」
「それは言わない約束だよーん! んん~! 中身が変わった明日奈がやたらとかわいい……。ふっくらしてきたし、抱き心地が良くなってる……」
「あーっ、いけませんファノリーさん、あーれー」
ファノリーさんは僕より背が高く、肉付きもしっかりしているので、抱きしめられると包みこまれるような感じになる。
ぬくもりを感じる~!
「あっと、歌が始まったわ」
「あっはい」
彼女が歌うのを、横においてあったマラカスなんかを振って盛り上げる。
ほうほう……。
勉強のために見た他の配信者の、歌枠とか言うので聞いたことがあるような……。
定番曲っていうのがあるんだねえ。
勉強になる~。
「明日奈はほら、運と才能だけで配信やってるから。今はいいけどきっと後から大変になるよー。でも今の明日奈は、真っ白なキャンパス! 何だって描けるしどんな色にだって染まる! ってことで、うちが明日奈の明日を作るお手伝いをしてるってわけ!」
「うわーっ! 嬉しいー! なんで僕のためにそんなにたくさんやってくれるの?」
「二代目だからってのもあるけどー。うちとしては……友達だから!」
「友達って……最高……!」
「でしょー!」
二人で盛り上がっていたら、飲み物が運ばれてきた。
乾杯してごくごく飲む。
その後、ファノリーさんの指導を受けながら、ボイスロイド(ボイロと略すらしい)楽曲の有名どころを練習などする。
あー、これこれ!
歌枠で聞いた曲!
定番曲なんだね?
「明日奈の歌は変なクセがついてなくて、素直でいいねー。発声の基礎みたいなのを体が理解してるから、声もバッチリ出てる! ま、うちはそっち、素人なんだけどさ。これからコンサートとかするかもじゃん? レベルアップしていって損はないよねえ」
「コンサート!? 僕が!? ひえー」
とんでもない規模感に、クラクラする。
日陰で、ひいひい言いながら弱い妖物を叩くのがせいぜいだった僕が!
たくさんの登録者に支えられて、スポットライトが当たるコンサートの場に出てくる……!?
運命は僕をどこに運んでいこうと言うのだ~!!
「ちょ、ちょっとトイレに……」
「いってらっさーい」
頭を冷やすため、お手洗いに向かった。
スッキリして出てくると、隣の男子トイレから、メガネの男の人が出てくるところだった。
年頃は僕と同じくらいだろうか。
彼はハンカチで手を拭いながら、ふと僕に視線を向けた。
「!? か……かざりん……!!」
「!? えっ!? ええーっ!? ち、ち、違いますよ!?」
リスナーだーっ!
慌てて誤魔化す僕。
だけど、ちょっと前まで素顔で出てたしなあー!
制服の時はメイクもしてないから、分かんないと思ったんだけど……。
「い、いや、俺は大声で騒ぐつもりはない。かざりん、いつも応援している。中身が入れ替わってからのにわかファンだが……。ゲテモノを見るつもりでチャンネルを開いたら心を射抜かれた。俺、あんたのファンだからな。覚えておいてくれ。いや、覚えなくてもいい……。いや、覚えていてくれたら嬉しい……。うむむ……」
一見してクールそうな男子なのに、なんだか耳が赤い。
なんだなんだ。
「そっか! ありがとうー。もしかして配信でもコメントしてくれてますか?」
「ああ。魔法少女アクアって名前で……」
「あー! スパチャありがとうございます! ちゃんと覚えてます!」
「ほんとか!? うお……うおおおお! 応援してる! 応援してるからな!」
なんか彼はテンションが上がったみたいで、去っていく僕に向かって大きく両手を振っているのだった。
熱烈なファンだなー。
僕はあそこまで、カザトモのみんなに応援されてるんだ。
これは……頑張らなくちゃ!
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