第43話 なぜか地元を襲撃することに!?
「えっと、ということで、先日襲撃してきた退魔師が妖怪を囲っているということですので、これはもうダンジョンでしょということで、関東の拠点を突撃攻略していこうと思います。……ほんとにいいのかなあ」
※モチョチョ『うおおおおVS退魔師!』回転『退魔師って、ダンジョンほどじゃない霊的現象を解決してくれる職能集団だろ? この間襲撃してきた連中を見て、危ない奴らだという印象が強まったわ』今川『妖怪も退魔師が!? 危険でおじゃ!』
チャット欄はみんな疑問を感じてない……?
退魔師の印象ってあんまりないみたいだから、良くも悪くも行動を見て決められちゃうんだろうなあ。
みんな、なんで襲撃なんかしたんだ~!
僕は社長の車に揺られて、退魔師の関東拠点に到着。
事前にちゃんとアポイントを入れておいたんだけど……。
あ、みんなで僕をお出迎えだ……!
緊張する~!
「かざりちゃん、本当にアポ入れて良かったの!? 相手に備えさせることにならない!?」
「だ、だってお邪魔する時は連絡するものでしょ!? ひいー、勢揃いでお出迎えだ……!」
退魔師の拠点は、都内にある大きな宗教施設。
この中心に本尊が置かれ、これが退魔師を霊的に守護していると言われている。
密教系から派生した武闘集団が退魔師なので、広い意味での宗教団体なんだよね。
「社長! もうかざりちゃんを信じるしかないですよ! ほら、同接もたくさん集まってますし……あら、登録者十万人になった」
「えーっ!!」
リーシュさんがタブレット見てボソッと凄いことを言った。
こ、ここでーっ!?
※『おめでとうございます!』『十万人おめでとうございます!』『おめでとー!』『銀盾だー!!』
ワーッと祝辞が流れてくる!
それと同時に、なんか僕の体にむわーっと流れ込んでくるパワー!
こ、これが同接パワー!?
『マスター、準備は整いました』
「分かったよ風神号。じゃあ、あの、みんなー! 十万人ありがとうー! みんなのお陰だよー!」
僕はエコバッグをぶら下げつつ、車から飛び出した。
ちょうど車に襲いかかろうとしていた退魔師たちが、僕にぶつかって弾け飛ぶ!
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
全員顔を知ってる人なんだけど……!
誰もが僕より強かったはずなのに、もう、ちょっとぶつかっただけでぶっ飛んでいく!
なんでーっ!?
まだエコバッグから何も野菜を抜いてないのに!
「き、気をつけろ! こいつとんでもなく強いぞ!」「アポイントなんて舐めた真似してくれると思ったら、強さがゆえの余裕だったか!」
そ、そんなことないんです~!!
※モチョチョ『うおおおおー! かざりん大活躍だーっ!!』御座候『確か前世を考えると凱旋という形になるでござるな』『前世の話とかマナー違反だろ!』『アーカイブに前世と中身が入れ替わる配信があるんだなあ……』『マジかよ、そんなアーカイブ残ってるのおかしいだろ』『なんでもいいからスパチャだ!』
「うわわーっ! スパチャがどんどん流れてくる! えーと、地の眷属Aさんありがとうございます! 魔法少女アクアさんありがとうございます! 太古の眠りより目覚めたもんじゃさんありがとうございます!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
僕がスパチャのお礼をしながら駆け抜けると、それを邪魔しようとした退魔師がまとめて吹っ飛んだ。
な、なんでーっ!?
コツンッと当たっただけじゃん!
こ、これが同接パワー……!?
下の方でリーシュさんがはしゃいでる。
「社長! 同接二万人ですよー! 凄い凄い!」
「すご……! と、とんでもないことになってる……! スパチャはアワチューブにピンハネされるから美味しくないんだけど、それでもこれだけあると凄いことになるぞ! 配信が終わったら我が社みんなで焼き肉だ!」
「やったー!」
「あ、僕も焼き肉楽しみです!」
振り向いた僕。
ぶら下げたエコバッグがぶんと振り回されて、そこに突き出された法具とぶつかりあった。
パリーン!!
砕け散る法具!!
「ば、ばかな……ウグワーッ!?」
ここは階段だったので、エコバッグに当たった退魔師はごろごろ転げ落ちていった。
※『すげえスペクタクルだ』『かざりん、まだ何も得物を抜いちゃいないぜ』『そもそもまだメインウェポン決まってないんだっけ?』『あえて言うならあのエコバッグがメイン武器だな』『今日はなんの野菜が出てくるんだ?』『果物かも知れない』『Aフォンのストレージに格納しないの新鮮だよな』『なんか生鮮食品をスマホにしまってくのが嫌って理由だったぞ』『かわいい』
いやあ、僕の感覚が古いだけかも知れないんですけど……。
こんな小さなAフォンに物がしまえちゃうというのは、なんか納得できなくって!
なので、男だった時から使っている愛用のエコバッグを持ってきているのだ。
ええと、今日の野菜は……。
もちろん、使った後の野菜は夕飯に食べています。
※モチョチョ『出るぞ! 今日の野菜!』『なんだなんだ!?』『エコバッグから顔が出てないということは……』
「我ら退魔師に戦を仕掛けるなど、愚の骨頂! 配信者とかいうイカサマ術師め! 身の程を知るがいい!! 喰らえ! 上席にも手が届こうという我が降霊術式!! 霊装百鬼! はああーっ!!」
「あっ! 吾妻さん危ない! そこ立ってると抜いた野菜が!」
僕が抜き放ったのは、1/4にカットされた白菜。
今まさに降霊術式で武装した吾妻さん……顔見知りの退魔師に、ごつーんとぶつかってしまった!
砕け散る礼装百鬼!
「ウグワーッ!? わ、我が法術がカット白菜に~っ!!」
※『最強白菜きたー!!』『1/4でこれなら、フルの白菜ならどうなっちまうんだ……!!』
「大きくて手に持てないですね……!」
僕は白目を剥いて倒れている吾妻さんに手を合わせた後、拠点に突入するのだった。
ちなみにそろそろ、花咲里さんも入り込んでるはずだけど……。
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