第29話 なかなかいいコンビネーションじゃん?
「……降魔の太刀……!」
糸目が呟くと、何も無いところから柄が出てきた。
そいつを掴んで引っこ抜く。
刀だ。
ギラギラ輝くヤバそうな刀……!
『ゴルアアアアアアッ!!』
火車が吠える。
空気が震える……!
『ぶるああああああ!!』
なんかフレアの横に浮かんでる本が吠える。
なんだなんだ!?
「イグナイトがやる気になってるじゃん。ま、ここは私一人で十分なんだけど……。人間は殺しちゃうと後々面倒だから、あんたに任せた!」
「あたしに!?」
「あたし……?」
「お、俺に!?」
※『このサンダーマスク、実は今日サバゲー配信してたきら星かざりちゃんと中身が入れ替わっていて、ラーテル花咲里御本人であるという情報が』
「ええいコメント、やめろやめろ! BANすんぞ!!」
おっと、嫌な緊張が吹っ飛んだ。
「私の前で、おかしな茶番をする余裕があるとは……偉くなったものだな、上鳴明……!!」
糸目がちょっとだけ目を開いて睨みつけてくる。
誰だ……!?
「誰だ……!?」
いけない!!
思ったことをそのまま喋っていた!!
糸目のこめかみに青筋が浮かぶ!
「怒ってる! いやごめんって!」
「この場で……誅殺する!! 行け、火車!」
『おおおおおーっ!!』
火車が俺めがけて飛び込んでくる!
糸目も太刀を構えて、こっちに向かって加速した。
ヤバい!
だが!
「勝手なことすんなって! ファイアナックル!!」
真横から現れたフレアが、飛び上がりながら火車をぶん殴る!
『ウグワーッ!?』
炎に包まれたフレアの拳は直径30センチくらいになっていて、それで殴られた火車が真横に吹っ飛んだ!
教室の壁をぶち抜いて行く火車。
「ぐおおおーっ! 魔女め! ガキの分際でなぜそこまでの強さを……」
「生まれた時から魔導書と触れ合ってるんだから、あんたとは積み重ねが違うわけよ。おわかり? じゃ、あのデーモンぶっ倒すから」
「させるか!!」
振るわれる太刀!
だが、俺はそこにヒット判定が見えていた。
真横から太刀をぶっ叩く!
PERFECT!
「ぬおっ!?」
よろける糸目!
俺も拳にびりびりと衝撃が来た。
あの太刀、とんでもない業物では?
まともに受けたら即死だぞ!?
※『お互いの相手を横合いからぶん殴る!』『ナイスコンビネーション!』『こんな戦闘的な男の中身が元アイドルってマジ!?』
ええい、マジだよ!!
自分でもなんでこんなに動きやすいのか全くわかんないけど!!
「上鳴ぅっ!!」
太刀を突き立ててくる糸目!
あたしはほんの僅かなヒット判定を見切って、的確に叩く!
「おらぁっ!」
「ぬおおっ! なんのーっ! 私は! 上席の! 御堂勝景だぞーっ!!」
「その名前! 全国デビューしてるからなーっ!!」
太刀の連打を、ギリギリで見切りながらひたすら弾く弾く弾く!
うおーっ!!
あたし今、絶対にゾーンに入ってる!!
あの音ゲーの最難関ステージ並じゃんかーっ!!
それを初見で打ち返すの、やばーい!!
そして!
Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent!
『条件を達成しました』
レアだったあたしの武器が、ランクアップする!
レアリティ、SR!
「じゃっ!!」
「なんのーっ!」
振るわれた太刀を!
ペンライトでガッチリ受け止める!
拮抗!!
「な……なにぃーっ!? 降魔の太刀を!?」
「今のペンライトは、すっごいペンライトなんだよね!! SRならあんたと拮抗できるって分かったわ!!」
「そんな馬鹿な……!? そうなるはずがない……!!」
※『なっとるやろがい!』『なっとるやろがい!』『なっとるやろがい!』
うおーっ!
コメント欄がツッコミ一色に染まる!
あたしのペンライトが、それと同時に猛烈にギラギラ光りだした。
ゲーミングペンライトだーっ!!
『フィーバータイム発生!』
「な、なんだそりゃーっ!! だがやるぜーっ! おらおらおらーっ!!」
ナックルダスターを外した右手にペンライトを持ち替えて、振り回す!
光の軌跡が闇の中に生じ……。
「こんなもの……な、なにぃーっ!? 光に! 太刀が弾かれる!」
「あ、つまりこれ、あたしの法術と同接が一気に乗ったのか!? それでフィーバータイム!? なるほどーっ!!」
ガンガン突き進む!
何せ、振り回した後に残った光の軌跡もあたしの武器になるのだ。
手数が!
圧倒的に違う!
しかもあたしからは、太刀のヒット判定が見える!
光の軌跡で弾かれた太刀を、さらにこっちから追撃して評価を稼ぐのだ!
もちろん、こちらからベストタイミングで殴ってるから……。
PERFECT! PERFECT! PERFECT!
「ぬおおおおおおーっ!? そんな! そんな馬鹿なーっ!! 私の剣戟は! 音の速度に迫るというのに! なぜこんなことにーっ!!」
『条件を満たしました』
ペンライトの輝きが、一気に数十倍に膨れ上がった!
「SSR! いっけーっ!!」
策も何もなく突き出したペンライト!
それを防ごうと差し出された太刀が、触れた瞬間にパリーンと砕け散った。
「ごっ……降魔の太刀が!? ウグワーッ!!」
太刀は何の守りにもならず、ペンライトは糸目の胴体をぶち抜いた!
そいつはぐるぐる回転しながら、廊下のずっと先へとぶっ飛んでいく。
もう一方では、火車が校舎の外までぶっ飛ばされ、空中に浮かんでいるところだった。
横目で見えたのは、魔法少女フレアが炎をまとって飛び上がったところ。
「炎で私に歯向かうのはあーっ! 百世紀早いんだよぉーっ!! ファイヤーチョーップ!!」
一気に加速する。
炎に包まれたフレアのチョップが、火車に炸裂!
頭から股間まで、真っ二つに切り裂き……同時に大炎上!
『ウグワーッ!!』
火車が絶叫とともに大爆発するのだった。
派手~!!
※『いやあ、いいもの見れたわ』『サンダーマスク、これから要注目だな』『戦い方おもしれー』『ちょっと今度いい曲探してくるわ』『これで収益化してないのマ?』
おおーっ!
フレアだけじゃなく、あたしのことを評価してくれている人が多い!
うれしー!!
思わずぴょんぴょん飛び跳ねてしまうあたしなのだった。
「何乙女みたいな動きしてんの?」
それを、フレアが呆れながら眺めているのだった。
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