第28話 ファイヤー・アンド・ライトニング
「つーかあんた! あんた知ってるぞ! 私がせっかく踏破した学校の中のダンジョン、また掘り返して踏破し直したやつでしょ! あれ、アクアにめちゃくちゃいじられたんだからね!!」
「お、おう……って、俺の動画見てくれてたの!? ほんとに!? うれしー!!」
※『有名人に認知されていたサンダー!』『これはひょっとするとひょっとするぞ』『もしかしてリトルウィッチ・デュオの配信にもサンダーが映ってんの?』
「はあー!? 何あんた喜んでるのよ!! 私は! あんたのお陰で詰めが甘いって相方に散々言われたんだからね! あの根暗めーっ! 弟が姉に意見してるんじゃねえーっ!」
いやいや、あたしのあれを、天下のリトルウィッチ・デュオが見ていたなんて。
これは……あたしにも追い風が吹いてきたんじゃないか?
「おいお前ぇ! 上鳴! あと入ってきたやつ! 俺等を無視すんなあ!!」
パーカーが吠えて、他の退魔師達も慌てて戦闘態勢になった。
主にリトルウィッチ・デュオのフレアを囲む形で……。
一見すると、小学校中学年くらいの女の子が大人に囲まれている事案みたいな光景なんだけど、あたしは知ってる。
フレアは変身したことであの見た目になってるだけで、多分中身はあたしと同い年くらいの女の子なのだ。
「ふふん」
フレアが鼻を鳴らした。
「有象無象がどれだけ集まっても、全然怖くないねーっ。イグナイト!」
『ぶるぁぁぁ! おうよぉーっ!! からっからに乾いた薪が集まってるようなもんだぁーっ!! ファイヤーリング!』
突然野太い男の声がしたと思ったら、赤とオレンジ色の表紙をした本が飛び出してきて、フレアの周りに燃え上がるリングを作り出した。
「な、なんだこりゃあ!?」「構うな! やっちまえ!」「相手はたった一人のガキだ!」
「おじさんたちさあ……。時代は変わってんのよ。ちゃんと調べな! っていうか……私の魔法は、あんたたちの術より全然歴史が古いんだけど! スプリット!」
フレア腕を高く掲げて、フィンガースナップをする!
そうすると、広がった炎のリングが弾け飛び、襲いかかろうとしていた退魔師に炎の雨となって降り注いだ。
「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」
火だるまになって倒れ込む退魔師達。
全然、相手にもなってないじゃん。
「やれやれ……。魔法とやらを使う、魔女かね。ここは日本だよ。外様が好き勝手にやるのは良くないなあ」
糸目の男の声がした。
火車の背後から姿を現す。
「いけ」
『おおおおおお!!』
火車が飛び上がり、フレアに襲いかかる!
そして糸目は「何をぼーっとしている。裏切り者を始末しろ」
周囲の退魔師にも命令を下した。
「当然、楽させてもらえないってわけね。だけど助かった! あの火車ってのを相手にするの、今だとちょっときついからさー」
「うおおー!」
警棒で殴りかかってくる退魔師を、ペンライトで受け止め!
パワーアップしたペンライトは、一撃で警棒をへし折った。
さらにあたしは振り返りながら、右手のナックルダスターで連打!
「おららぁっ!!」
「ウグワワーッ!!」
またヒットが繋がり始める。
コツコツコンボを作ってかないと。
それに音楽も終わっちゃってるし……。
下手な曲は色々問題ありそうだし……。
「あっ、戦闘中に掛けていい曲、教えてくれーっ! それ、募集します! 後でアーカイブ見るから、コメントで書き込んで……!」
※『了解!』『なるほど、音楽に乗って戦うスタイル……』『音ゲーだもんな』『あ、また一人ボコった!』『ステゴロはくっそ強い』『殴り掛かられたらその殴った武器を攻撃して跳ね返すんだもんな』
ついにパーカーがやって来て、あたしと向かい合う。
「この閉鎖空間じゃあ、反射するカマイタチは捉えられないぜーっ!! 死ね、上鳴!!」
「死なねーって!!」
壁を、天井を、床を、目に見えない何かが擦りながら駆け回る音がする。
パーカーの周囲から螺旋を描きながら、一瞬であたしに到達し……。
見えた、ヒット判定!!
あたしは即座にナックルダスターで防御!
同時に左!?
ペンライトで防御!
さらに上!
あたしはバク宙しながら蹴り足で、こいつを防御!
コンボ成立!
「バカなーっ!!」
「カマイタチ、あたしと同格っぽいな! 見える、見えるぞーっ!! 直前のヒット判定が見える!」
※『こっちにもヒット判定が共有されているの驚き!』『この配信、新体験だな!?』『戦闘の配信なのにリズミカルだから作業用BGMにもいいぞ!』
「まぐれだ! こんなのはまぐれに決まってる!」
吠えるパーカー。
そして後ろから糸目が、
「いつまで遊んでいるんだね? そいつはまともに法術も使えない落ちこぼれだったのだろう? あまりに手こずるようなら、もろともに私が潰してやろう……」
糸目が動き出す。
や、ヤバい気配がする!
だがここで……。
「ファイヤー・パトリオット!!」
ミサイル状に変化した、ぶっとい炎の塊が飛んでいった。
その先に火車がくっついている。
『ウグワーッ!?』
『ぶるあああ! たかだか数百年の若造デーモンがぁーっ! こちとらぁ、二千年超えてるんだよぉぉぉぉ!!』
「あっはっはっはっは!! いいぞイグナイトー!! 口ほどにもない! そんなもんか日本妖怪~!!」
フレアがやって来る!
「なん……だと……!?」
糸目の動きが止まった。
「えっ!?」
パーカーも一瞬、唖然として止まる。
チャンス過ぎる!
「おらっ! おらららららっ!!」
カマイタチを連続で弾き飛ばし!
その流れで、あたしの拳がパーカーのみぞおちに突き刺さった!
「ウグワーッ!?」
前のめりになるパーカー。
カマイタチの狙いがデタラメになる。
「おららららら!! おーらっ!!」
そこを殴って殴って殴って殴って、ペンライトのフルスイングでぶっ飛ばした!
「ウーグーワーッ!!」
パーカーが吹っ飛んでいって、床でバウンド。
気絶したみたいだ。
で、その辺りにはぶっ倒れた退魔師達。
全部、フレアが蹴散らしたのか?
リトルウィッチ・デュオのフレア、間近で見るととんでもない強さだ……!!
あたしも早く、そこまで追いつきてー!
「やるじゃん」
横に並んだフレアが、あたしを見てニヤッと笑った。
「うちのリスナーが褒めてたよ。なんか音に乗って戦うらしいじゃん、面白そう」
「そいつはどーも。魔法が使えねえから、こっちは地道にやんないといけないんでね!」
そんな俺達の前に、糸目が立っている。
吹っ飛んだはずの火車も戻ってきた。
「参ったね……。露骨な挑発を叩き潰してやろうと、上席の私がわざわざ出てきてやったのに……。こんな有り様では帰ることができない」
『ぐるるるるるる』
「潰させてもらうよ、裏切り者。そして魔女」
「おう! かかってこいやーっ!!」
「フレアが遊んであげるわよ」
俺と魔法少女フレアの即席タッグで、退魔師の上席?とやらと戦うぞ!
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




