エピソード3「力こそパワー」
物語の流れでは、12歳で私は王子と見合いを兼ねたお茶会をする。
王子は帝王学を学び、情緒面も安定してはいるが、他者に対する興味が薄い。これは彼が常に大人であることを強いられた結果のことである。
その彼が「真実の愛に目覚めた」のは、まことにめでたいことなのだと思う(いや、うん……もちろん、私には良い面の皮だけどね)。
実はこの見合いの席で、事件が起こる。
それは腹違いの皇太子の母、皇后によって彼が暗殺されかけるという場面だ。
彼女は息子の脅威になりそうな勢力を排除することに余念がない。
物語内での私……ルイーゼは刺客にビビり散らかしてその場から逃げ出してしまう。
……まあ、しょうがなし。子供だしね。
刺客は王子の近侍を襲い、いよいよ彼に刃が届くかという時に近衛騎士によって間一髪助けられる。
ただ、私がここで一目散に逃げ出したことが、のちの関係を冷え込ませる原因にもなっていた。
ここが最初の分岐点だ。
中身がアラサーとしては、恋とか愛とかどうでもいいのよ。がちで。
だから婚約破棄になるのはよしとして、その後の身の振り方くらいは考えておかないといけないわ。
王子が円満に『真実の愛』のヒロインと結ばれるよう上手ーくレールを敷きつつ、私は私で老後までの人生を無事に全うできる支度を整えておく必要がある。
ただ大人の思惑が動いている以上、見合いをしないという選択は難しい。
見合いをする以上は、王子と『友人』くらいの関係は築いておきたいところ。
だったらまず、分岐点で『逃げ出さない』ことが肝要か。
「……近衛騎士が到着するまで、なんとか私がその場をもたせるしかない」
よし、習うか。剣を。
切り開くのよ、自分の未来を。主に、物理のパワーで。




