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1 平民の僕と令嬢が入れ替わっちゃった!?

☆この物語は純愛ラブコメです。

 追放・ザマァ・婚約破棄要素は含まれておりません。


挿絵(By みてみん)

 エウロパ国の国立の上級学校、セント・クレメンタイン学園。

 僕はジン。生徒の九割が貴族のこの学園において数少ない平民だ。


 孤児院出身の僕が貴族向けの名門学園に通えているのは、奨学金制度を使っているから。

 セント・クレメンタイン学園を卒業すると、王宮の官や貴族の秘書など高給の職につくことができる。

 入学から卒業まで、成績五位以内をキープすることが奨学生の条件。僕は入学以来、学年二位をキープしていた。




 次の授業に向かうために僕は校舎の中央階段を登っていた。


 学園の中央にあるこの大階段は、優雅な曲線を描く白大理石の階段で、校舎から食堂舎、訓練舎などの別棟に移動するとき必ず通ることになる。


「……ん?」


 ふと、上から微かに悲鳴が聞こえた。


 見上げると、階段の上段にいた少女が、大きくバランスを崩して落ちてきた。



「助けなきゃ……!!」


 僕は咄嗟に手を伸ばした。

 支えることは叶わず、強い衝撃とともに、階段の下へと転げ落ちる。


 そして――



 唇に、柔らかい感触が触れた。



 周りの生徒から悲鳴があがる。





 目を覚ますと、僕は医務室のベッドの上にいた。


 白い天井、窓の外から差し込む昼の光、漂う薬草の香り。どうやら、落ちた衝撃で気を失っていたらしい。


「……ぁあ、そうだ、あの子は無事か?」


 そう呟いた声が、僕の声ではなかった。まるで女の子のように、高い。


「は? ……え??」


 体を起こして視界に入ったのは、細く白い指と、肩にかかるふんわりとした赤毛だった。 制服の胸部分に膨らみがある。


「……は?」


 掛ふとんをめくると、制服がスカートだった。

 恐る恐る、医務室の鏡を覗き込んだ。


 そこに映っていたのは僕の顔ではなく


 僕が支えようとした生徒……伯爵令嬢フィーネ・エンデバーの姿だった。


「う、うわああああああああああ!?!?」


「うるさいですよ!!」


 怒鳴り声が聞こえ、もう一つのベッドのカーテンが勢いよく開かれる。


 そこにいたのは――僕。

 僕が目の前にいて、動いている。


「……は?」


「……は?」


 お互いに目を見開き、沈黙する。


 そして、同時に叫んだ。


「なんで僕が目の前にいるんだ!?」


「なんなんですこれは!? 私、男性になっているんですけどおおおお!?」


 二人の悲鳴が、医務室に響き渡った――。



しろねこ。さんからフィーネ(右上本人、左下inジン)いただきました! ありがとうございます!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
読書配信への思うしこみありがとうございます! さっそく階段落ちからの入れ替わり! 第一話からテンポのいいサクサク展開ですね(*'ω'*) ジンくんは奨学金をもらっていて成績二位ということで、平民ではあ…
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