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終わる世界と幻の世界  作者:
1章

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第四話「危機」

「ルイ、ス……?」

 リオは現実を把握するのにしばし時間を要した。

 探していた友人を旅に出て早々見つけることができたのだ。

(運いいな俺……)

 リオは状況も忘れて胸を撫でおろした。

「久しぶりだな……ルイス……!」

 リオがそう声をかけると、ルイスがこちらを見た。

 大きく目を見開く。

「君は……」

「俺だ、俺。リオだ」

「驚いた……こんなところで会うとは」

 そう言うと、こちらに向き直る。

「ルイス……あの日以来だな」

「ルイス……そう呼ばれるのはいつ振りだろうね」

 静かな声でルイスはそう言った。

「君は僕を追ってきたのかい?」

「ああ……お前にもう一度会って、なんで秘宝を盗んだのか聞きたかったんだ……」

「なるほど。君の意図は理解した」

 そう言うと、立ち止まる。そして、おもむろに右手を横に伸ばした。

「力を」

 ルイスがそう言葉を放つと、急に辺りが冷えた気がした。先ほどの騒動で辺りはまだ火が燃え続けているというのに。すると、パリパリという氷が弾けるような音がしたと思うと、ルイスの手に氷の剣が現れ、彼はそれを握りしめた。

「お、おい……なんだよそれ……」

「僕は君と対話する意志はない。僕の過去を知るものがこの国にいると困るんだ」

「え……?」

 氷の剣を構え、こちらに駆けてくるルイス。

 状況が理解できず、リオは立ち尽くす。

 ルイスと目が合う。その目はこちらをなんとも思っていない冷たい目。

 自分が探していた友はこんなにも冷たい目をしていただろうか。

 いや、違う。リオが知るルイスはもっと柔和で、優しい目をした少年だった。

「リオさん……!」

 ライアンの叫び声で我に返る。

 すべてゆっくりに見える世界で、三歩手前までルイスは迫っていた。

 氷の剣はすぐ目の前まで迫っている。

 リオの心臓は早鐘を打つ。


「まったくどうなってるのよ」

 

 すると、アンナの声が聞こえた。

 そして次の瞬間、風のような速さでリオの目前にアンナが現れ、ルイスの攻撃を彼女は剣で弾いた。

「君は……」

「あんたは……もしかして……」

 ルイスとアンナはつばぜり合いになる。

 顔を見合わせ、お互い驚いた表情をしていた。

 氷の力が込められたルイスの剣から放たれる魔力が強まる。すると、アンナが握っている剣が風を纏い始めた。

「なるほど……」

 ルイスはそう呟くと、剣を引き後方へ跳躍した。

 そして、剣を手放す。すると氷で出来た剣は微細な氷の粒になって砕け、跡形もなく消え去った。

「ヴァンス、退こう。騒ぎを起こし過ぎた」

「はいよ、ボス」

 ルイスは踵を返す。

「待ちなさい!」

 慌ててアンナがルイスを追いかけようとするが、ヴァンスが炎を放ち行く手を阻まれる。

「町の人間の救助が君の仕事だろう」

 最後にルイスはそう言い残して、姿を消した。


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