第四話「危機」
「ルイ、ス……?」
リオは現実を把握するのにしばし時間を要した。
探していた友人を旅に出て早々見つけることができたのだ。
(運いいな俺……)
リオは状況も忘れて胸を撫でおろした。
「久しぶりだな……ルイス……!」
リオがそう声をかけると、ルイスがこちらを見た。
大きく目を見開く。
「君は……」
「俺だ、俺。リオだ」
「驚いた……こんなところで会うとは」
そう言うと、こちらに向き直る。
「ルイス……あの日以来だな」
「ルイス……そう呼ばれるのはいつ振りだろうね」
静かな声でルイスはそう言った。
「君は僕を追ってきたのかい?」
「ああ……お前にもう一度会って、なんで秘宝を盗んだのか聞きたかったんだ……」
「なるほど。君の意図は理解した」
そう言うと、立ち止まる。そして、おもむろに右手を横に伸ばした。
「力を」
ルイスがそう言葉を放つと、急に辺りが冷えた気がした。先ほどの騒動で辺りはまだ火が燃え続けているというのに。すると、パリパリという氷が弾けるような音がしたと思うと、ルイスの手に氷の剣が現れ、彼はそれを握りしめた。
「お、おい……なんだよそれ……」
「僕は君と対話する意志はない。僕の過去を知るものがこの国にいると困るんだ」
「え……?」
氷の剣を構え、こちらに駆けてくるルイス。
状況が理解できず、リオは立ち尽くす。
ルイスと目が合う。その目はこちらをなんとも思っていない冷たい目。
自分が探していた友はこんなにも冷たい目をしていただろうか。
いや、違う。リオが知るルイスはもっと柔和で、優しい目をした少年だった。
「リオさん……!」
ライアンの叫び声で我に返る。
すべてゆっくりに見える世界で、三歩手前までルイスは迫っていた。
氷の剣はすぐ目の前まで迫っている。
リオの心臓は早鐘を打つ。
「まったくどうなってるのよ」
すると、アンナの声が聞こえた。
そして次の瞬間、風のような速さでリオの目前にアンナが現れ、ルイスの攻撃を彼女は剣で弾いた。
「君は……」
「あんたは……もしかして……」
ルイスとアンナはつばぜり合いになる。
顔を見合わせ、お互い驚いた表情をしていた。
氷の力が込められたルイスの剣から放たれる魔力が強まる。すると、アンナが握っている剣が風を纏い始めた。
「なるほど……」
ルイスはそう呟くと、剣を引き後方へ跳躍した。
そして、剣を手放す。すると氷で出来た剣は微細な氷の粒になって砕け、跡形もなく消え去った。
「ヴァンス、退こう。騒ぎを起こし過ぎた」
「はいよ、ボス」
ルイスは踵を返す。
「待ちなさい!」
慌ててアンナがルイスを追いかけようとするが、ヴァンスが炎を放ち行く手を阻まれる。
「町の人間の救助が君の仕事だろう」
最後にルイスはそう言い残して、姿を消した。




