表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が僕を好きなことを知ってる  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/101

70 静かな夜(1)

 夜。

 二人で部屋に入る。


 礼央が異様にキラキラとした目をあちらこちらに向けた。

 ……いや、そんな目で見ても面白いものなんて何も無いからな!?


 確かに礼央を部屋に入れるのは初めてだけれど。実際、亮太の部屋には何があるわけでもない。

 入れるのが嫌とかではなく、実際何もないし4人だと狭いから使わなかっただけだ。

 勉強に使う為に買ってもらったノートPCや、ゲームはそこそこ持っているけれどそれくらいで、他に趣味らしい趣味はない。

 本棚はあるけれどそれほど本を読む方ではない。

 デスクはあるけれど、それほど勉強熱心というわけでもないし。

 ベッドも普通のシングルサイズだ。


 まだ8時にもなってないし、流石にこのまま寝るのは無理があるだろう。

 早すぎる。


 ケントなら、床でもベッドでも好きなところでゴロゴロしているのが常なので、どこに転がしておいてもいいのだけれど。

 さて……、れおくんが相手だと、どうしよう。


 ベッド……は変な意味が付き纏わないだろうか。

 考えすぎか!?


 いや、それでもベッドは……。


 ベッドには出来るだけ近づかないようにしよう……。


 取りあえず、テーブルらしいテーブルはないけれど、座布団はあるのでそれを床に二つ置いた。


 そこへ、ちょこんと、礼央が座る。


 ……緊張し過ぎだろうか。

 いや、気を抜いちゃいけない。

 れおくんは、俺の事が好きなんだから……。


「あれ」

 と、礼央が声を上げ、ぴゃっと亮太が、飛び上がる。


「あれって、」


 あ……、ああ。部屋の話か。


 押し倒されるのかと思った!

 いや、れおくんに限ってそんな……無理矢理なことはないだろうけど!


 けど、気を抜き過ぎるのはどうかと思うんだ。


 相手は男だし。

 俺の事好きだし。

 ……俺も男だけど。


「ギター?」


「え?」


 くるりと振り向く。


 そうだった。

 小学生の時に買ってもらった、子供向けの少し小さめのアコースティックギター。


 もうずっと弾いていなくて、存在ももうすっかり忘れていた。


「そう。あれが、弾くのやめちゃったギター」


「触っていい?」


「うん」


 布製のギターケースからは、小さめのギターが出てきた。


「綺麗だね」


 礼央の、いかにも予想外だという言葉に、少し笑う。


「妹が時々持ち出してるみたいでさ。そんな弾けるわけじゃないと思うんだけど。弦の交換もしてくれてたのか」


「へぇ……」


 礼央が、見様見真似でギターを抱え、かき鳴らす。

 どうやらチューニングは合っていないらしく、変にビヨンビヨンした音がした。


「ははっ」

 二人で笑う。


 カバーの中に、チューニングの機械もある。

 取り出すと、なんとか使えるみたいだった。


「音、合わせるんだよ。緩んだりするとさ、音変わっちゃうから」


 そう言って、ギターを受け取った。

 久しぶりに触れるギター。

 ネックの収まり具合。

 弦の硬い感触。

 懐かしくて、少し、ドキドキする。

二人で向かい合って黙々と何かしてるのいいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ