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6 もし君が僕を好きなら(2)

「体側伸ばす〜」


 先生の言葉で、手を繋いで引っ張り合うのに、一瞬、亮太は躊躇した。


 手。


 手、なんて繋いだら……。


 礼央も、躊躇したみたいだった。

 けど、こんなことで躊躇するなんて、それはおかしなことだから。


 大人しく、手を繋ぐ。


 ……いいのかな、なんて。

 思う方が馬鹿らしい。


 繋いだ手を意識されるんじゃないか、なんて。

 今、れおくんはドキドキしてるんじゃないか、なんて。

 ……ぎゅっと握られでもしたらどうしよう、なんて。


 そんなつまんないことばっかり考えて。


 けど、繋がれた手がぎゅっと握られることも、必要以上に照れられることもなかった。


 その後、背中合わせで上体を伸ばすのに、ぐいっと礼央を背負ったけれど、小さく、

「うわっ」

 と言っただけで、それ以上のことはなかった。


 背中、くっついてんのに……。


 ……てっきり、なんかもっと触られるのかと思った……。


 いやでも、普通、なんだよな。


 すぐそばで、ケントとサクがわぁわぁ言いながら背中合わせで引っ張り合うのが見えた。

「ほいせー!」

「いや、上がってないし」

「身長差ぁ!!」

「じゃ、次こっちな〜」

「うっわぁぁぁ!サク、背ぇたけぇ!こえぇ!」

「うるせぇ」


 ……そう、これは変なことじゃないから。

 やって当然なわけで。


「案外、背、高いのな」


 話しかけると、一瞬、「え」という顔をしたけれど、

「あ、うん。なんかよく、背、低そうって言われる」

 礼央は普通に返答した。


 実際、礼央は亮太よりも幾分か背が高いようだった。

 ほんとに、ほんのちょっとだけど。


 やっぱり、勘違いだったんじゃん。


 好きかも、なんて。


 男同士であるわけないじゃん。




「じゃあ、そのまま4対4いくぞー」

 先生の声が響く。


「え、5でも3でもなく!?」

「それだと今ペア組んでんのに余るだろうが」

「せんせー、試合で済まそうなんて手抜きじゃん」


「おー!黙れー!いくぞー」


 自然と、ケントとサクと、亮太と礼央と。

 4人でチームを組むことになる。


 試合が始まると、サクのシュートで、体育館が沸いた。

 とはいえ、最終的に、うちのチームが2点取った後、3点シュートを決められ、早々に敗退した。


「ごめん、僕、手出せなかった」

 礼央が申し訳なさそうに言う。

「そんなことないって。ケントよかディフェンスしてたじゃん」

 サクがからっと笑った。

「俺だって〜〜〜、目ぇ付けられてなかったら活躍できたって」

 ケントが口を尖らす。


 その会話を聞いて、亮太は「ふっ」と笑った。

「みんな頑張ってたよ」


「みかみはいいパスくれたしな」

 サクがまた笑った。


「疲れたし、打ち上げしよっぜー」


 普通に、れおくんの隣を歩けた。

 変な反応とかもない。


 なんだ。

 やっぱ、勘違いだったんじゃん。

主役二人より隣の二人の方がイチャついてたりして。

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