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君が僕を好きなことを知ってる  作者: 大天使ミコエル


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56 なんだかそっけないな

 あっという間に脚本は完成し、練習が始まった。

 まだ、脚本見ながらやってみてるだけだけど、これは難しいな……。


 バスケの時と違って、マイクばかりには頼れない。

 バスケの時とは違って、セリフが決まっている。

 それも、バスケの時とは違って、俺が注目される場だ。


 これは絶対、放送部の活動とは違うし、俺を選んで後悔されるやつだよな、なんて思う。


 けど、一度引き受けたからには、断るわけにもいかず。

 それを考えてしまうと、頭が真っ白になって何も出来なくなってしまいそうだから、出来るだけ考えないようにしないとな。


 目を細める。


「あれ?」

 一緒に帰ろうと思っていた礼央が居ないので、キョロキョロと辺りを探す。

「大道具班は?」


 礼央は大道具班だった。

 役者をお勧めされたけれど、『役者は柄じゃないから』と微笑む礼央に、女子達は引き下がった。

 なので、サクといっしょに大道具班へ入った。

 大道具班は、力仕事だからと男子が固まって入っており、少しばかり人数は過剰で、のんびりと男同士の交流を楽しんでいるみたいだった。


「さっき帰ったよ」

「……そうなんだ」


 待っててくれるかもなんて、ちょっと期待しすぎたのかもしれない。

 サクと一緒だったからかもしれない。

 ……そういう事も、あったって不思議じゃない。


 けど、そんな日は何日も続いた。


 少しだけでも話そうかと、授業終わりに後ろを振り返ると、もうあのくしゃくしゃ頭は後ろを向いていた。


 男同士で楽しくなっちゃったんだろうか。

 なんなら俺だって、そっちがよかったんですけど。


 セリフ覚えるのとか、手伝ってもらいたかったんだけど。


 昼に会えるかと思った事もあったけれど、練習はお昼休みにまで浸食して、役者班は役者班で、大道具班は大道具班でそのまま食べてしまう事が多かった。


「サク」

 体育の時間。

 隣に立ったサクに話しかける。

「ん?」

「れおくん、元気?」

「え?ああ。別に普通だけど?」

「そっか」

「何?あんま話せてない感じ?」

「うん、なんていうか……全然?」

「う〜ん、主役だからなぁ。落ち着いてきたらまた昼とか、一緒できると思うし」

 サクが、その頭をくしゃくしゃといじる。

「だよな」


 けどなんていうか。

 かなりの時間同じ空間に居て、目も合わないっていうのは、やっぱり違和感があった。


 友達なら、挨拶くらいしてもいいんじゃないかって思う。

 ……好きなら目が合うくらいはあってもいいんじゃないかって思う。


 これほど、視線も合わないなんて、……なんか、避けられてるみたいじゃん。

思わず避けちゃう事もあるよね〜。

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