表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が僕を好きなことを知ってる  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/101

40 緊張なんて忘れてしまえ(3)

「シューーーーーーーート!」


 2組のシュートが決まる。


 ケントの声に合わせて、わっと勝利を祝う言葉が、観客席を飛び交う。


 なんだ、これ……。


 こんな……高揚感…………。


 そっか。


 みんなを楽しませられなかったらどうしようって、ずっと思ってたけど……そうじゃないな。

 みんなと楽しむんだ。

 俺が。


 礼央と二人、舞台でゲームをしたことを思い出す。


 あれも楽しかった。


 まず自分が楽しまないと、みんなが楽しめない。


 俺は、楽しんでいいんだ。

 そう、普通で。


「2年2組に2ポイントー!これは幸先いいゾロ目ですね」

「そうですね。1組には空気に呑まれず頑張ってほしいところです」


「さて、またボールを取ったのは、1組、パティシエ田中だー!」


 ケントが言うと、その声に合わせて「きゃー」という黄色い声援が上がった。

 田中先輩にはもうファンがついたらしい。


「またもや鋭いパス!的確にパスで繋いでいきますが、ここで!」

「また新田先輩ですね」

「巨体サックス!巨体サックスが来ました!」

「ちょ……っ、ケント、それもう名前入ってない」


 ツッコむと、観客席から笑いが起こった。


「新田先輩だから。俺らシメられる前に名前入れて、名前」

「おう!」

 いい返事だったにも関わらず、

「巨体サックス先輩!巨体サックス先輩が取っ……」

「先輩付ければいいってもんじゃないぞ」


 再度ツッコんで笑いが起こったところで。


「…………っ!」


 ケントが、息を呑む。


「!!」


 目の前で、新田先輩の巨体から、ボールを叩き落とす姿が見えた。


「1組、ボール取ったああああああ!あれは、名塚先輩だ!」

「バド部の名塚先輩です」


 そこからは、まるで時間が止まったみたいだった。


 コートの丁度真ん中の辺り。

 キュッとしゃがみ込んだ名塚先輩は、そのままその場で飛び上がって、ボールを投げた。


 ザンッ!


 まるでそれ以外の軌道なんて無いというように、弧を描いたボールは、ゴールの中へ落ちた。


「きゃああああああああああ」


 周りの歓声でハッとしたケントが、観客と一緒になって叫ぶ。


「すっげえええええええええ!」


 亮太も、解説として実況を取り戻さないとなんて思うこともなく、


「うわああああああああああ」


 すっかり夢中になって叫んでいた。


 二人同時にハッとする。

 最初に声を出したのはケントだった。

「3ポイントシュート決まったぁぁぁぁぁ!」


「今のは驚きましたね!!観客席もすごい歓声でした!!」

「まるで絵画を見ているようでした!世界がすろぉぉぉぉぉもーしょん!!!!」

「バド部の1年達からも一目置かれているという話でした。なんでもシャトルが上からビシィっと降って来るとか」


 そして最後にケントがため息を吐くような声で、


「ほんと、すげぇ……」


 と感嘆の声を上げた。

バド部の名塚先輩……イケメンに違いない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ