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君が僕を好きなことを知ってる  作者: 大天使ミコエル


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35 自分だけの舞台(6)

 ダンダンダンダンダン!


 周りからの、銃を撃つ音が響く。

 みんな、上手いんだろうな。


 観客の、「おぉ〜……」なんていう声が聞こえる。

 視線が刺さる。


 頭が、余計な思考に占領される。


 こんなこと考えてる場合じゃないのに。


 ゾンビが、溢れる。


 ガシュン、ガシュン。


 あ、しまった、リロードしないと……っ。


 ダンッ……。


 あ、頭、外した……っ。


 頭が一番点数が高い。

 点数争いのこの場において、何処に弾を当てるかは、かなり重要なのだ。


 どうしよう……!


 段々と、自分が混乱していくのが解る。


 そこで、大量のゾンビがワラワラと出て来た。


「……っ」


 そこで、

 タンタンタンタンタン!

 と、テンポのいい隣からの発砲に、ゾンビ達が倒れていく。

 あっという間にヘッドショットで全てのゾンビを倒してしまう。


「…………」


 目の前に何も居なくなった一瞬で、自分を取り戻した。


 そうだ。

 俺は、一人じゃない。

 隣に、れおくんの存在を感じる。


 そこからは、安定した戦いが出来た。

 礼央も、自分のほうがうまいからと自分ばかりが動くわけでもなく、かといって任せきりにするわけでもなく、安定したショットを見せていた。


 他のペアが、脱落して行く声を聞く。

 結果、最後まで残ったのはこのタテガミだけとなった。


「決勝進出は、タ〜テ〜ガ〜ミ〜!」

 店長の声が響く。


 わあっと観客の声がした。


 こんな人の中で……。

 俺、少しは成長出来てるのかな。




 それにしても、勝ててほっとした。

 違うゲームとはいえ、この店の大会優勝者を抱えているのだから。


「れおくんのおかげだよ」

 一旦店を出て、ファーストフードの店に入った。

 大きな紙カップに入ったレモネードをぐいぐい飲む。

 やっぱ、緊張してたみたいだ。


「みかみくんも、初めての大会なのに、よくがんばったね」

 いつものほわほわとした笑顔。


「決勝もがんばろう」

 亮太がぐーを突き出すと、礼央は少し照れながら、自分の手をぐーにして、こつん、と合わせてきた。




 やれる。

 そんな気がしてきた。


 けど、亮太の決意は、決勝の頭から、すでに折れそうになっていた。


 なんか……人、増えてないか?


 午後も過ぎた決勝戦。

 元々午後の方が客が入る店なのもあって、観客は増えていた。

 どうやら、前回のFPSの大会で優勝したれおくんと、このゲームのソロ大会の優勝者が戦うとかで、観戦者が増えたのだ。


「タテガミのお二人!一言ずつどうぞ」


 ひと……こと……?


 ここで、一言……!?


 混乱の隣でれおくんが、


「あ、僕はただやるだけなので」


 なんていう煽ってるんだか煽ってないんだかわからないようなセリフを、いつもの冷めた顔で言ってのけるものだから。


 うわああああああ。


 なんて言う?

 顔は!?

 れおくんはなんでこんなに突然謎オーラ発せられるわけ!?


「が、がんばります……っ」


 声は、裏返った。

れおくん、腰が細くて立ち姿がいいんでしょうね。

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