表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が僕を好きなことを知ってる  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/101

26 夕陽の中で(1)

 けれどふと、亮太は校舎の上を見上げた。


「ケント」

「ん?」

「バスケのルール確認するのに、俺ちょっと図書室寄ってくわ」

「おお。付き合おうか?」

「いや、先帰ってて」

「はいよ」


 図書室は、2階の真ん中にある。

 すでに静かになった階段を、とんとん、と鈍い上履きの音を立ててゆっくりと上がる。

 左手に持ったスマホで、時間を確認した。

 もう5時前だ。

 図書室って、開いてる時間決まってるんだっけ?

 勉強する奴もいるらしいから、それほど早いわけもないとは思うけれど。


 階段の踊り場を回ったところで、階段向こうの曲がり角に、人の気配がすることに気がついた。


 少し、どきりとする。


 あんまりこんな時間まで学校に居たことないからな……。


 誰もいない廊下。

 廊下の暗い陰に少し不安を感じ、踊り場で足を止める。

 見上げると、そこに人影が現れた。


 くりくりとした天パの黒髪。

 細身の眼鏡。


 瞬間、めちゃくちゃ安心している自分に気づく。

 いや、人間じゃないものが廊下歩いてるんじゃないか、なんて思ったわけじゃないけど。


 踊り場の上の方から差す夕陽の中で、礼央と目が合う。


 ……居た。


 そう思った。


 なんだよ。いるんじゃん。


 礼央が、パッと嬉しそうな顔になる。


 ……なんだよ、その顔。


 今日が久しぶりの部活だって知っている礼央は、けれどどうだったかなんて聞くわけでもなく、ただにっこりと笑った。


 ……だから、なんだよ、その顔。


「えっと……」

 自分を迎えに来たのか聞きたいような顔で、けれどそんなわけはないと心の中で否定しながら、礼央は少し言い淀む。


「図書室で、バスケのルール本、探そうかと思って」

 亮太がそう言うと、礼央の顔はパッと明るくなった。

 図書館はいわば礼央のホームだ。


「じゃあ早く行かないとね。もうすぐ閉めようかと思ってたから」

「ああ、急ぐよ」


 二人は、並んで少し早足で歩いた。


 なんだ。そっか。

 今日は図書室当番の日だったんだ。


「バスケ?」

「そ。ケントと、バスケの実況と解説することになってさ」

「そんなのするんだね。本格的だ」


「ああ。明日から練習、よろしくな」




 高校の図書室は、なかなかに広かった。


 こんなに広い図書室なんだっけか。

 図書室というものにあまり興味を持ったことがない。

 本なんて、いつ借りればいいのかわからないし、借りれば返さないといけないのが少々重苦しい。

 なので、亮太は学校の図書室に入ったのは、入学の時に学校探検した時以来だった。

 その時も、あまり眺める事はなかったはずだ。これほどの広さだということさえ、覚えていなかったのだから。


 図書室は、校舎の中だというのに、どこにそんなスペースがあったのかと思えるほどに広かった。

 小難しそうな本の他に、児童書や絵本、雑誌などもあるようだ。


 図書室に入ったすぐのところにある大きなカウンターには、一人の女生徒が座っていた。

 前に礼央を迎えに来た子だ。

 どうやら、図書室当番で礼央とペアになっている子のようだ。


「おかえり」

 とその子が言うと、

「ただいま」

 と礼央が返事をした。

れおくんとペアになっている女子生徒は佐々木さんといいます。おとなしい女の子で、れおくんとは仲良しです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ