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15 れおくんの行く場所(1)

 その日は、日曜日だった。


 亮太は、やることもなく手持ち無沙汰で、学校の最寄駅まで散歩に出た。


 駅の周りは、繁華街になっている。

 若者向けの洋服屋、ファーストフード、カラオケ、ゲームセンターなどが連なる。


 駅の中にある小さい本屋にでも行こうと、改札を出たところだった。


 ……あれ?


 見知った横顔を見た気がした。


 天パでくりくりした黒髪。

 細身の眼鏡。


 あいつ……?


 けど、雰囲気が……。


 真っ黒なパーカー。

 黒のパンツ。


 真っ黒ずくめのその人物は、あのなよなよとした優しげなイメージとは違う。


 別人?

 いや……。


 別人かと思うほどの外見。

 けど。


 その背丈や髪型は、ただの勘違いとして通り過ぎてしまうには、知っているものとあまりにも似過ぎていた。


 思わず、後をつける。


 どこ、行くんだよ。


 いつもとは違う、少しだるそうだけれど、はっきりとした足取り。

 繁華街の裏手の方へと向かう。

 ……買い物、ではないようだけれど。


 ……だったら?


 気付かれないように、見失わないように、距離を取った。

 俺だって、この辺りは知らないわけじゃない。

 見失ってたまるか。


 繁華街の裏手と言っても、人がいないわけじゃない。

 ゲームセンターや飲食店なんかがポツポツと並ぶ。


 その礼央らしき人物は、小さなゲームセンターへと入って行った。

 そこで見えた横顔は、やはりいつもの礼央の顔そのものだ。

 中の見えない自動ドア。

 騒がしい店内。


 …………?

 ゲームセンター?

 あいつ、一人でゲームなんて……。


 と思ったところで、はたと気付く。


 亮太は知らなかった。

 礼央が一人でゲームセンターに入るかどうかなんて。

 ゲームをするかどうかすら知らない。

 そもそも、他の事に関しても、知っている事なんてたかが知れていた。


 出会ってから数日。

 好かれているような気がすることで、どんな人間なのか、なんとなく知ったつもりでいたけれど、たった数日しか一緒にはいなかったわけで。


 一人でゲームするかどうかなんて……知らないんだよな。


 普段着がどんなかなんて。


 学校以外で、どんな交友関係があるのかなんて。


「…………」


 そのゲームセンターの中に入ってみる。

 中も見た目通りで、それほど大きな店ではない。

 けれど、レトロなものから最新機種まで店長が厳選に厳選を重ねた筐体が置いてあるとか、定期的に大会が開催されるとかで、この辺りでは人気のゲームセンターだ。

 亮太も、何度か足を運んだことがある。


 中は、今日も何かの大会が行われているらしく、思った以上に人でいっぱいだった。

 全国大会が行われるようなものや、全国大会へ出場するための店代表のチームを作るための大会、もしくは店だけの大会など種類も色々だ。

 今日はどうやら、人気のFPSの店長主催の店の大会のようだった。


 ……黒い奴なんて結構居るし、これは見つけるの大変かもしれないな。

冷めた顔のれおくんも、かわいいはずです。

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