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13 幼なじみ

 3日もすれば、もうすっかり、礼央が3人と一緒に食事をとることが、当たり前になった。


 晴れた日の昼食は、ほぼ屋上で決まりだ。


「りょーくぅん」

 ふざけた甘い声を出しながら、ケントが亮太の背中に覆いかぶさってくる。


「…………」


 瞬間、無表情になった礼央の箸から、卵焼きが落ちた。


「りょーくん、取っ替えて」


「やだ」


 亮太はケントの“お願い”を一蹴し、パンを袋から取り出す。

 ケントは、まだ白い紙袋に入ったままの惣菜パンを亮太の目の前にぶら下げた。


「こっちのBLTあげるから!今日は辛辛フィッシュの気分なの!」

「なんて言ってもやらねーよ?」

「こっちの方が高いよ〜?」


 ケントに構わず辛辛フィッシュを口にすると、

「あ〜〜〜〜!」

 と、耳元で大声を出された。


「何やって……」

 呆れた声を出すと、ケントは辛辛フィッシュに口を出してきた。


「あっ!こらっ」


 ケントが亮太が持っている辛辛フィッシュにかぶりつく。


「なっ……」

 礼央がそこで声を上げた。

 無表情……というかむしろ顔面蒼白状態に、亮太が気付いたのはその時だ。


「仲、いいんだね」


 笑おうとしたのか、口元がピクつく。


 え、なんだこれ。


「ま、俺らはなぁ〜」

 ケントがウィンクをした。

 そんないい顔する前にパン代を払え。


「小1から一緒だかんね」


「へぇ……、そんな昔から……」


 二人が話している間に、亮太はすかさずケントのBLTサンドを取り上げ、食事にした。

 辛辛フィッシュはケントの口に押し付ける。


 それにしてもなんか……、れおくん棒読みじゃね?


「じゃあもしかして…………、家も近いんだ?」


「それほどでもないかな。歩いて10分ってとこ」


「へぇ………………」


 え?


 亮太は、ケントの重みを感じながら、ふと、思いついてしまう。


 もしかして…………嫉妬?


「…………」


 いやいやいやいや。

 ケントなんかに嫉妬するとかないない。

 むしろそんな風に見られるの気持ち悪いんだが……。


 背中で器用にも辛辛フィッシュを食べるケントについて、亮太は唐突に思い出した。

「あ、そうだケント。母さんが会いたいって」

「あー。受験で1年以上会ってないからなぁ」

「今度来なよ」

「おうおう」


 ケントと話していると、礼央がふるふるとした手で、ご飯を食べるフリをしているのが目に入った。


 ………………ほ、本当に嫉妬してるかもしれない…………?


「ふ、二人も来る?」


 なんだか、フォローしないといけない気がして、そう言葉にしていた。


「いいな。俺は部活の後とかになるかもしれんけど」


「れおくんは?」


 真っ直ぐに、顔を見た。


 何もやましい事はないと言い訳しているとか、そんなんじゃないけど!


「う、うん。……もちろん行くよ」


 れおくんはなんだか少し申し訳なさそうな顔で、それでも少し嬉しそうに笑った。

ケントは愛されキャラです。みんな友達みたいな接し方するタイプ。

サクは雰囲気はいいですが、あまりにもそっけないので、ファンは多いけど友達は少ないタイプ。

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