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虐げられた魔法植物師の家出先は、聖騎士様の腕の中(旧題:裏方令嬢と過保護な聖騎士の結婚~自由になるための契約婚が溺愛婚に変わるまで~)  作者: 当麻月菜
傷口に触れて愛を知る

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本日はテルミィが去った後のロスティーニ家のお話です。

※胸糞悪い表現があります。

 申し訳ありません(。ŏ﹏ŏ)

 テルミィがロスティーニ家を去っても、ロスティーニ家は何も変わらなかった。ただし、表面上はと前置きがつくが──


 今日も、ロスティーニ家当主ヒューバート・ロスティーニの執務机の上には、夜会の招待状と魔法植物の依頼書が山になっている。


 それだけではない。ドレスや宝石、狩猟大会の為に新調した武器や服、付き合いで嵩んだ交際費などの請求書も置かれているので、隙間がほとんどない。


 夕食を終え、執務室に入るなり見たくも無いものを目にしたヒューバードは、忌々し気に請求書の束を掴むと、力任せに床に叩きつけた。


──こんなもの……三ヶ月前には、私の手元に届く前に処理できていたのに。


 いつ没落してもおかしくないロスティーニ家は、過去の話のはずだった。溢れんばかりの財で、これからもずっと裕福な暮らしが続いていくと思っていた。


 息子レオシュには、身分も美貌も申し分ない妻を与え、娘プラジェナは懇意にしてくれている第二王子から縁談をむしり取り、二度と没落寸前などと言わせない強固な基盤を作るつもりだった。


「くそっ……テルミィめ。恩を忘れやがって」


 妻スティリアはテルミィがお腹に身ごもった時、体形がこれ以上崩れるのを嫌がり堕胎薬を飲もうとした。


 それを止めたのは、他でもない自分だ。金で爵位を買った准貴族の妻の実家から援助を断られるのを恐れた行動ではあったけれど、とにかく堕胎を止めたのは自分である。


 あの時はスティリアから耳をふさぎたくなるような暴言を吐かれ、どうして自分がこんな思いをしなければならないのかと悔しさから壁を蹴り倒したけれど、あの行動は間違いでは無かった。


 子供を産ませた結果、到底自分の代では返済できないと思っていた多額の借金を清算し、王都にあるタウンハウスを建て替え、息子を名門貴族御用達のアカデミーに通わせ、娘にはどの貴族にもまけない高価なドレスと宝石を用意し完璧なデビュタントを飾らせることができたのだ。


 それもこれも全て、あの日の自分の勇気ある行動がなければ達成できなかったこと。


 なのにどうして自分は、請求書に胃を痛めるような暮らしに逆戻りしなければならないのか。


 自分が身体を張って守ってやったテルミィは、どうしてこんな心優しい父を苦しめるのか。


 この世に生まれることができたことを涙を流して感謝して、生涯かけて恩を返すのが当然のことなのに。こういう自分勝手で他人を思いやることができない所は、間違いなく妻に似ているのだろう。


「……まぁいい。連れ戻したら、私自ら教育をしてやる」


 命の恩人の命令に逆らうことが罪だということ。命じられたことをやるのが当たり前。本来なら、命じられる前に行動しなければならないこと。


 朝を迎える毎に、床に跪いて自分に感謝を伝えること。


 それらを一から教えるのは、それなりに労力が必要だが致し方ない。これも当主に課せられた使命なのだから。


 己の考えが利己的で、大いに間違っていることにヒューバートは全く気付いていない。


 一度味わってしまった贅沢な生活が恋しくて、今の暮らしが嫌で嫌でたまらないのだ。


 そのためには、テルミィを何としてでも探し出さなければならない。幸いなことに、少し前に他領地で警護に特化した新種の魔法植物を見たという報告を受けている。間違いなくテルミィの仕業だろう。


 ヒューバートは床に散らばる請求書を踏みつけながら、一人掛けのソファに乱暴に座ると近くにあるローテーブルを乱暴に蹴った。


 ローテーブルは派手な音を立て倒れ、その上に乗っていた空の酒瓶が床に転がった。


 ただでさえ請求書が床に散らばっているのに、酒瓶や倒れたローテーブルが加われば、執務室は酷い有様だ。


「ったく、あの植物の代金はどこに流れたんだ」


 呻くヒューバートの目には、部屋の惨状は全く映っていない。


 今、彼を支配しているのは、枯れてしまった魔法植物をどうするかと、新種の魔法植物の販売権をどう手に入れるかだ。依頼は毎日届くが、もうこの屋敷には魔法植物は一つもない。


「それにしても犯罪者を捕縛する魔法植物など……なぜそんなくだらないものを作ったんだ。野蛮な植物など、貴族は欲しいと思わないだろう。ちっ……きっと安価で取引されたはずだ」


 それでもその代金が我が家に入ってきていれば、幾つか支払いができたというのに。ああ、そうだ。見栄えを良くすれば、値を吊り上げられる。


 ヒューバートが見たことも無い魔法植物の価格を勝手に決めようとしたその時、執務室の扉が開いた。


「……お父様、ご報告があります」 


 まるで盗賊にでも入られたかのような部屋の状態に頬を引きつらせながらヒューバートの前に近付いたのは、息子レオシュだった。

胸糞悪いロスティーニ家のお話ですが、次回も続きます_( _´ω`)_ペショ


申し訳ありません!

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