表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/61

∞55【無意識的《無限チュートリアル》】

≈≈≈


≈≈≈


「このクソッタレがあ!!」


 よくない言葉で罵倒しながら、アゾロは目の前の相手に木刀を繰り出していく。


 『攻撃は最大の防御』を体現したかのようなアゾロの闘法は、その勢いだけで言えば、たとえスキル無しの状態でも並の傭兵四・五人を相手に十分渡り合えることだろう。


 しかし、今戦っている『その相手』は、アゾロの木刀の攻撃を軽々とかわしながら逃げ回り、アゾロの木刀の一撃を木剣による『切落し』で淡々と撃ち落としていく。


「……ッ!『切落し』は攻撃とちゃうんかい!!」


 罵声を浴びせながらも攻撃を続けるアゾロに対して、『その相手』は淡々と回避行動と、切落しの『防御』を繰り返している。



 現在、アゾロは眠りながら《無限チュートリアル》を起動させ、眠りながら心の中で『幻影の父』を相手に稽古(けいこ)をしている。


『“睡眠中”に《無限チュートリアル》を起動する』

 ……もしかしたら、出来るのでは?


 アゾロ自身そのくらいの発想で、今日初めてやってみたことだった。


 《無限チュートリアル》は、アゾロの心の中で起こっていることなので、眠る前に『強くイメージ』することによって睡眠中のチュートリアルも可能になるらしい。簡単にいうと、夢の中で行う『イメージトレーニング』のようなものだ。


 ただし、肉体への負荷を減らすように、アゾロなりの安全措置をとりながら実践している。


 現在行っているチュートリアルの設定は、

【VS父】

【武器有り∇木刀】

【範囲制限有り∇半径10メートル】

【ハンデ有り∇父:防御・回避のみ】

【痛覚無し】

 

 要は、『アゾロの全力攻撃は、“ひたすらけ続けるだけ”の父に当てられるのか?』という実戦的なイメージトレーニングだった。



「ちょこまかと逃げくさりやがって、このボケナスがぁ!!」


 どうやら父は、防御と回避だけに特化させた方が手強いらしい。逆に言えば手合わせの時の父は、アゾロに対して『かなり手加減していた』ことがよく分かる。


 幻影の父は、アゾロの攻撃を巧みに躱しつつも、たまに切落しでアゾロの木刀のみねもしくは横面(しのぎ)を打ち、アゾロの攻撃が止まった隙に距離を取る、という行動を繰り返している。


 このチュートリアル中、アゾロが気付いたことは、“待ち”に徹した父に攻撃を当てることは至難のわざということ。

 そして、父の得意な『戦闘スタイル』。


「……エミルと同じ『カウンタータイプ』な訳ね、父は!だったら、だったで!」


 叫びながら、アゾロは幻影の父にさらに挑みかかる。すでにアゾロは、父の『木剣による切落し』の間合いを体で覚えつつあった。


「やったらぁ!父に一撃くれたらぁ!!」


 己の夢の中で力強く咆えるアゾロ。



≈≈≈


 夢という無意識下で行う《無限チュートリアル》は、アゾロの肉体と精神に強い影響力を及ぼす。


 つまり、夢の中でアゾロが叫んだことは、全て眠っているアゾロの『寝言』として、その口から無意識的に発されていた。


 眠りが深いタイプのエミルはともかくとして、父と母の二人は、眠りながらやたらはっきりとした寝言を叫ぶ娘を心配しながら不安な朝を迎えた。



 特に、父は、

(……なんか『逃げ回るオレ』を追いかけながら一撃くれてやる夢見てるっぽいけど。……もしかしてオレ娘に嫌われてる?)

 と、いつもの無表情のまま暗い天井を見つめ、少しだけ心を痛めたのだった。




…To Be Continued.

⇒Next Episode.

≈≈≈


≈≈≈

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ