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パミィ②

 この章では現在のシーン(宇宙暦500年)と回想シーン(宇宙暦499年)が混在します。

「台詞の位置は同じですが」、

 現在のシーンでは←このように段落のはじめが一文字分開いていますが、

回想シーンでは←それがありません。


宇宙暦499年2月

ワープアウトした<フロンティア号>の前に青とオレンジの二つの惑星が見える。

青い方がキキイ星。オレンジがラライ星。二つとも地球より少し小さい。地球からの距離1万6000光年。キキイ星はネコ型異星人ハット&ラーの故郷だ。目的地はラライ星だが、ひとまずハット達に会うためにキキイ星へ。

「そこで俺たちは大歓迎を受けた」

「?」

 明が美理に説明する。

「ハレーGPはキキイ星でも生中継されていて、地球の危機を救った<フロンティア号>は英雄扱いだ。知らぬ間に玩具化もされていて・・しかも(ネコ型)ロボットに変形するんだぜ」

「ぱちもん」

「そゆこと。マーチンがいたら大変だった。・・でもキキイ星で俺たちは逮捕された」

「?」

「ヨキの奴がおみやげにマタタビを持っていたから。マタタビはキキイ星人には麻薬のようなもので、所持しているだけで逮捕される。で留置場へ」

「今みたいに?」

「そーだよ!」

 笑いころげる美理を見ながら明は話を続ける。

「留置場から俺たちを出してくれたのが、ESPの師匠のパミィだった。 ここでクイズ。パミィはどんな姿をしていたでしょう?」

「えーと・キキイ星人がネコだから・・ワンちゃん?」

「残念。クマさんでした」


キキイ星の牢屋は球状の部屋。透明な膜状のバリアーで覆われており、そのままゴロゴロ(取調室などに)転がして移動していく事も可能だ。トイレは不透明な牢内別室エリアになっている(キキイ星人は風呂嫌いだから風呂は無い)。

「はあ」明は深いため息をつく。

「ごめんよー」ヨキは何度謝ったか数え切れない。

「やれやれだぜ」+ 低い男の声。

「だからごめんよー」

「言ったの俺じゃないぞ」

ピンニョも「ボクも何も言ってないよ」

「・・・・」

「まったく何やってるんだ」

「!」 「!?」 「ひえっ」

「誰?」

「わしじゃ」

誰もいない。

「下の方よく見ろ」

「!」 「え?」

身長30㎝程の二足歩行する白いクマ。四頭身?頭がでかい。子熊のぬいぐるみみたい?動いている。かかわいい。

「わしがパミィじゃ。出してやるからちょっと下がれ」しゃべった。

パミィは両手を前に出す。かざすのではなく”前にならえ”だ。

次の瞬間、明たちは牢の外にいた。

『ふぎゃーあーあーあーあー』

猫の唸り声のような警報音が留置場に鳴り響く。

「バリアー破りの極意はあとで教えてやる。飛ぶぞ」

短いしっぽがくるくる回る。

「!」

テレポート先は宇宙港の<フロンティア号>コクピット。

船にもテレポート防止のセキュリティシステムがあったはずだが。

「発進しろ。目的地は・・」

パミィに言われるまま、明はエンジンを始動、垂直上昇する。

ドギャーン。メインエンジン噴射。宇宙港を後にする。

「ラーから連絡をもらって駆けつけた。これでお前らはこの星ではお尋ね者じゃ」

「えー」

「仕方なかろう。マタタビ持ちこんだ者は一生猫じゃらしの刑じゃ」

それイヤかも。でももっと平和的解決できなかったのだろうか?

<フロンティア号>は大気圏を離脱。隣のラライ星へと向かう。

よく見ると両者の中間に小さな星がある。

「あの星は?」

「共通の衛星リリイじゃ。構成成分はほぼH2O、でかい氷のかたまりじゃ。彗星がいくつも二連星の重力に捕まって衛星になったと考えられておる」

ラライ星が近づく。

キキイ星が地球に似た海のある水の惑星なのに対し、ラライ星は金星に似た見た目は美しいが、中身は温室効果ガスによる灼熱地獄だ。

「表面温度417℃。バリアー異常なし」ピンニョがデータを読む。

「降下続行」

「大気成分・二酸化炭素92%、硫化水素5%・・うへ。あ、ごめんなさい」

「構わん。生物が住めない環境なのは事実じゃ。地獄があればこんな所かもしれん」

「地獄?・・師匠は地球語がお上手なんですね」

「わしは地球の古い文献が好きでな。読んでいるうちに覚えた」

「文献?」

「見えてきた。あれがパラルじゃ」

ラライ星人たちのほとんどはキキイ星に移住したが、南極にドームに囲まれた唯一の街パラルが存在する。<フロンティア号>はパラルに着陸する。

「停めたら出かける。あ駐機料金はそっち持ちじゃぞ」

「・・・」誰かに似ている。


次の瞬間、一行は夜の草原にいた。

「キキイ星?テレポート?双子星とはいえ惑星間を?」ヨキはコーフンしっぱなし。

少し肌寒い。高度があるのか空気が薄い気がする。曇っていて星は見えない。

見ればパミィは風呂敷を背負っている。

「<フロンティア号>を隠すためにいったんラライ星に」

「そゆことにしといてくれ」

土で作られたドーム状の家に入る。中は昔の遊牧民のテントのような佇まいだ。

「最初に言っておく。わしは心を読む。それでもいいか?」

「え?」三人は顔を見合わせ、「はあ。構いませんが」

「言ったな。読むぞ。・・おーかわいい!なになに・流美理?え?啓三の娘なの?マジ?奥さんどんだけ美人なの?山岡麗子?こっちもいい!いかんぞオカズにしちゃ」

「・・・(かなり嫌かも)」

「わしは金髪好きだから、シャーロットさんかクリスさんがえーのう。ところでお前たち食料は持って来たか?」

「え?いえ・・船には非常用携帯食がありましたが」

「これか?」風呂敷いっぱいの携帯食。

「い、いつの間に」

「もって一月ってとこか。あとは現地調達じゃな。今日はもう寝ろ」


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