激闘!⑤
インパルス両翼に光の刃が出現。
「レベル1・・レベル2・・レベル3!」光が伸びる。
<ドプラス>回転砲のビームが来る。
明は船体を傾ける。
<ドプラス>のビームとインパルス左翼のウィングサーベルが交わる。
衝撃が船体に伝わる。被害はない。相殺できている。
<ドプラス>は射角を変えて鍔迫り合いを外そうとするが、明は逃がさない。
「今だ!攻撃をたたきこめ!」
主砲弾が<ドプラス>へ次々と命中する。
下部回転砲塔が沈黙する。
「やった」
「このままウィングサーベルで斬り込め!」
「了解・!」ズズーン
その瞬間船体に衝撃。第三サブエンジン被弾。
後方からトスーゴ艦隊が攻撃して来る。集中砲火。
「第三サブ(エンジン)緊急停止!」ニコライが機関室へ命令。
『もうやってます!』マーチンの声。
明から笑みが漏れる。仲間が頑張っている。励みになる。
「!!」
前方の<ドプラス>はその巨体を上下に回転させる。
こちらを向いた上部回転砲が火を噴く。
明は右翼のウィングサーベルで受け止める。
<ドプラス>が大型砲を発射。
主砲発射。
第一格納庫に直撃。<スペースコンドル>は殆ど出撃中のため被害は少ない。
主砲弾は大型砲に命中。破壊。だが<ドプラス>の大型砲はあと七つある。
攻撃の応酬。
ウィングサーベルが消える。9分が限界だった。
明は直ちに回避を図るが、エンジン出力が上がらない。
クリスが「バリアーもちません!」
防ぎきれず、ビームが直撃!第4サブブリッジが大破!
「何をやっとるかあ!」ニコライがマイクに怒鳴る。
機関室。
機関室員が慌てふためく中、マーチンがパチンとバイパス回路のスイッチを入れる。
エンジンの力強い咆哮と共に速度が増す。
<ドプラス>の“剣”から逃れる。
それも束の間、艦隊の砲撃が第十砲塔に命中する。
さらに大型砲がインパルスの右翼を貫く。
「くそお!」
その時後方のトスーゴ艦隊が次々と爆発する。
『艦隊は任せてください』リュウからの通信。
<スペースコンドル>だけではない。エスザレーヌの船とその護衛艦隊が攻撃していた。
「アラン、もう一度ウィングサーベルを使えるまで何分かかる?」
「あと2分です」
「明、避け続けられるか?」
操縦桿を必死に動かす明はうなずくので精一杯だ。
流は前を指さし「奴以外は目もくれるな!」
奇跡と思える操艦で明は<ドプラス>の攻撃を避け続ける。
「・・・」
サライは”フィードバック”から回復したが、高難易度の操艦に手を出せないでいた。
「しまった!」
大型砲の光弾がメインブリッジへ迫る。
両者の間に割って入る船影。
明の脳裏に浮かんだのは啓作の救命艇の最後だ。また自分のせいで誰かが・・
「!!」
帆船型の宇宙船。命中したはずなのに無傷だ。
「エスザレーヌ!!」
エスザレーヌから通信が入る。
『私の船<エスメラルダ>にはエネルギー吸収システムがあります。盾になりますから反撃を!』
敵艦隊を友軍に任せて単艦で突出して来たようだ。
<ドプラス>の攻撃は帆船の帆に吸収され、インパルスに届かない。特殊金属ラミルコンの威力だ。
「ウィングサーベルを出せ!」
「左翼しか使えません」
「構わん!」
二艦で<ドプラス>に接近。
先頭の<エスメラルダ>が防御。
後続の<スペースインパルス>が攻撃。
光の翼が<ドプラス>の船体を斬り裂く。さらに主砲が次々と命中する。
回転砲塔が止まる。大型砲三つを破壊する。
そのすれ違いざま・・明は気づく。
中央にそびえる艦橋と思しき場所に人影が!
《タスケテ》 声?
「!!・・・サライ航行長!操縦をお願いします!」
「な、何?」
かき消すように明の姿が消える。テレポーテーション!
メインブリッジの誰もが驚く。サライは操縦桿に飛びつく。