絶望との闘い③
<ドプラス>は“海“に突入する。ブラックホールの周囲に集まった高密度の星間物資の海だ。
呼応して格納庫内の敵戦闘艦が攻撃を開始する。
近すぎて主砲は使いづらい。ホーミングアローで応戦する。
「そーれ!」
マーチンの操る装甲兵が第五主砲に突き刺さったアンカーを引き抜く。
あと二つ。
「前を狙える主砲は出口の扉をぶち抜け!」ロイの命令。
「心中はごめんだぞ」リックがトリガーを引く。
主砲一斉発射!
その光弾は格納庫の隔壁を突き破る。だがインパルスが通れる大きさではない。
「艦首へバリアーBを集中!突撃しろ!」二重バリアーの内側がA外側がB。
ニコライが「機関最大戦速!明!回転も加える。艦をキープしろ!」
姿勢制御ノズルを噴射。インパルスはドリルのように回転しながら突き進む。
「総員衝撃に備えろ!」
明は操縦桿を握りしめる。壁が迫る。
光に包まれた艦首が壁に食い込む。
<ドプラス>の隔壁を貫く。
開いた穴から星間物質が水のように流れ込んで来る。
流石のインパルスも押し戻される。
「機関フルパワー!」ドヴァーンン
インパルスは開いた穴から脱出を図る。
予想よりもブラックホールに近い。
「危険だ。ブラックホールに近づきすぎたら脱出できなくなる」
アランが注意するが、そんな事は皆わかっている。
<ドプラス>から脱出したインパルスであったが、あと二つ残ったアンカーのせいで再びトラクタービームに捕まり、引き戻される。
こうなると格好の的だ。<ドプラス>は回転砲を発射。
明はウィングサーベルで対抗するが、トラクタービームのせいで上手く操縦できない。
「アンカー邪魔っ!」
「艦長、重力遮断シールドは?」
「今使っても効果は薄い」
「脱出限界まであと30分です」美理の声は震える。
作業用重宇宙服を着たヨキとロミが艦底B4ブロックに到着。
目前に突き刺さったアンカーがある。整備班の装甲兵はお手上げのようだ。
ふたりは手を前にかざす。
「・・・」
無言で超能力を込める。ここの対ESPシールドは切ってある。
ズズズ・・ アンカーが動き出す。
「もう少し・今だ!」
アンカーが消える。テレポートさせた。
濃密な星間物質が入る前に自動シャッターが下りる。
あと一つ。
ロイが「艦長!スーパーノヴァボンバーでブラックホールを破壊しましょう」
「ダメだ!星団の中心を壊せばどんな影響が出るかわからん。やむを得ない。ロイ、ホーミングアローでアンカーを破壊しろ!」
「バリアーを一時切る必要があります」
「やれ」
「艦首星間物質吸入ダクト付近の乗員は避難しろ!・・発射!」
放たれたホーミングアローは放物線を描いて星間物質吸入ダクトに命中。アンカーを破壊するが、船体に大きな穴が開く。
自由になったインパルスはブラックホールから離れる。
<ドプラス>は再びアンカーを発射。数は十を超える。
迎撃。数個を撃破。
明は避ける。だが1つが艦尾に命中する。
再びインパルスは<ドプラス>の虜となり、重力に引かれる。
「脱出限界まであと15分」
「機関室、全速を出す。準備しろ」ニコライが命令。
『いつでもいけます』マーチンの声。もう復帰している。
「エンジン最大出力!全速前進!」
全エンジンの咆哮。
インパルスは巨大な<ドプラス>を引きずってブラックホールから遠ざかる。
回転砲塔からのビームが来る。
明は操縦桿を操作し避ける。
ブラックホールのためビームは遅く、威力も落ちている。
「後方へ弾幕!反重力ミサイル・爆雷、一斉発射!」
反重力爆発。ブラックホールの強烈な重力を反転、アンカーが抜ける。
メドゥサ流星系で助けた敵艦を同じ武器で地獄へ突き落とす。
「後方へ向け一斉発射!吹き飛ばせ!」
再度攻撃に曝された<ドプラス>は奈落の底へ落ちて行く。途中何かを発射する。
それはインパルスを追い越し、はるか上方で四方八方に飛散する。
「花火じゃないよね」
「調査します」
「エンジンフルパワー!重力遮断シールドも使え!」
インパルスはブラックホールからの脱出に成功する。
メインパネルに<ドプラス>の断末魔が映る。爆発。その光すらブラックホールに吸い込まれて消える。
ガタン。
音に振り向くとクリスが倒れていた。
「クリスさん!」美理が駆け寄る。
「医療班!」誰かが叫ぶ。
隣接する医務室分室より医師が駆けつける。クリスは反重力ストレッチャーで運ばれて行く。




