表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/43

氷の城⑥

 明たちは氷に閉じ込められる。

 執事が60℃にならないと溶けないと言っていたが、氷から水にまた水から氷に、温度は変わらず一瞬で変化した。

 息が出来ない。それより先にこのままだと凍死してしまう!

≪シャトルまで飛ぶ≫ロミにテレパシーで通信。

 テレポーテーション。氷ごとシャトルの近くに瞬間移動する。

「はっ!」熱で氷を溶かす。

 服は濡れていない。速乾性があるのか?いや水が逃げている?

「何だこれは?」 「気色悪っ」

「液状生命体だ」アランが答える。

 テレポートで連れて来たのは30人ほど。

「リイン!」

 リインをはじめ仲間たちは全員無事だ。ロミが運んだアランたちも。噛まれた麗子たちやバーニャ王子とカレン王女ら城の連中もいる。電撃をくらった者は気絶したままだ。

 美理だけがいない!水に落ちる前にトランシル王に奪われた。ピンニョはその後を追った。

「副長。ウイルスか何かでしょうか?」明が尋ねる。

「外頸動脈に何かを注入された跡がある。出血はほとんどない。毒やウイルスの可能性はあるが正確にはわからない。さっきの液状生命体と関係があるのかもしれない。とにかく今はシャトルでこの星を脱出する」

 アランはシャトルの鍵を解除する。

「副長。彼らはどうします?」グレイが尋ねる。噛まれた仲間たちの事だ。

「調査のためひとりだけ連れ帰る。残りはここに置いていく」

 当然の答えだ。分かってはいたが辛い。

 マリアンヌが選ばれた。階級が最も上だからだが、運ぶことも考えてほしかった。(重い)

「王子と王女は交渉に使えるかもしれない。拘束して連れて行こう」

 明は「俺は残ります。美理を取り戻します」

「兄きが残るならボクも残る」とボッケン。

 マーチンも「俺も。見てよ、噛まれちゃった。発病するかもしれない」

 マーチンは噛まれてすぐ電撃を放ったため、体内に侵入した寄生体は死滅している。

 グレイも手を上げようとするが、ショーンに止められる。

 明とマーチンはシャトルにあった銃、ボッケンは自分の刀を受け取る。残りの者はシャトルに乗り込む。

 シャトルが発進する。

「副長。インパルスとの交信が回復しました」ショーンがスピーカーのスイッチを入れる。

『こちら<スペースインパルス>。その星の”水”について赤石主任から伝達事項があります』

『赤石です。その星の水は・・・』

 残った明たち三人も通信を聞く。何か違和感があったが、それが何か見当もつかない。

 敵の正体がわかった。人に寄生し操る液状生命体!?固体から液体へと(多分気体へも)自由に姿を変える”生きている水”。

 だがどうすれば寄生された人たちを元に戻せるのかは分からない。

 明は気を失っている麗子を見つめる。その顔はいつもと変わらず穏やかだ。

「(まずは美理だ。後で必ず助ける。待っててくれ)」

 それにしてもなぜトランシル王は美理をさらったのか?

 美理は母親に似ている(麻美子にも似ているが)。母親エレーヌを好きだったという王の記憶が関係しているのだろうか。

 明はボッケンの視線を感じて「何だ?」

「兄きが胸を触ったら蹴とばそうと思った」信用ゼロ。

「行こう」気を取り直してテレポート。


 ”氷の城”で最も高い建物である”北の塔”。その最上部は小型宇宙船発着場(ヘリポート)になっている。

 トランシル王は美理を抱きかかえている。美理は気を失ったままだ。まわりには20人ほどの護衛の衛兵がいて槍を構える。

 ピンニョはトランシル王の周りを飛びながら思考をめぐらす。

「(明のバリアーをすり抜けた。多分王もエスパーだ。ボクでは勝てない。明が来るまで監視する位しかできない)」

 時折トランシルは美理の首筋に噛みつこうとする。その度にピンニョは急接近して攻撃態勢をとるが、トランシルは笑いながら美理から離れる。遊ばれている。

「来た」

 ボッケンに乗った明がテレポートして来る。マーチンも一緒だ。

「雑魚はまかせろ!」

 マーチンは腕を振り回すと、電撃!

 稲妻が衛兵たちを襲う。近づく衛兵に短い脚で電撃キック。

 明を乗せてボッケンは駆ける。

 衛兵の槍を避け、みねうちで片付けながら王に迫る。

 執事のアルカードが行く手を阻む。

 並行して飛ぶピンニョが羽手裏剣を放つ。アルカードに命中。吹っ飛ばす。

 馬上の明は銃を構える。王に向けてパラライザーを放つ。

 王はバリアーを張る。やはりエスパー。想定内だ。

 明は王に飛びかかる。バリアーを破り懐に飛び込む。

 王はたまらず美理を離す。

 ボッケンが美理をキャッチ。そのまま駆け抜ける。塔から飛び降りる。

 ピンニョも後を追う。ちらと後ろを振り向く。

 バビッ! 明は衝撃波で王を追いつめる。

「観念しろ!仲間を元に戻す方法を教えろ!」

 トランシル王は何も答えない。王は操られているだけ。中の寄生体は言葉の通じる相手ではない。彼らは本能で仲間を増やしているだけなのだ。

 ふいに影が明たちを覆う。

 見上げる。<スペースインパルス>が頭上に浮かぶ。

「!」

 そのインパルスの後部甲板で爆発。


 シャトルがインパルスに着艦する、寸前で甲板に衝突。炎上する。

 直ちに医療班と補修班が急行。

 シャトルの扉が開く。同時に中からバーニャ王子とカレン王女が飛び出す。

「!」

 Qたち数名は首を噛まれる。

 その少し前。

 シャトルがインパルスに近づく。

 リインは座席ベルトを外し立ち上がる。

「どうした?」そう言うアッシュを無視して、

 リインはバーニャ王子とカレン王女の許へ。二人の拘束具を外す。

「何を・」

 もう手遅れだった。

 リインが氷柱で擦りむいた傷口から水中に落ちた時に寄生体が侵入していた。脳に達した寄生体はリインを操り王子たちを解放した。

 その後は逃げ場のないシャトル内で惨劇が繰りひろげられた。

 ショーンとアッシュは噛まれる。操縦中のロミも襲われ、着艦に失敗。

 グレイとアランは抵抗し、噛まれはしなかったが衝突の衝撃で負傷した。

「は、速い!」

 ガルムら装甲兵の攻撃をかわして王子と王女はインパルス艦内に侵入する。

 インパルスは”氷の城”にさらに接近。

 メインブリッジ。

「前方の高い塔に明とマーチンがいます」

 メインパネルに活劇の模様が映し出される。

 その時だった。

「あ!」

 “氷の城“が姿を変える。氷から水へ。そして巨大な“怪物“の姿に。

 

「クラーケン?」サライがつぶやく。

 それは近世ノルウェーに伝わる海の怪物。船舶を襲い海に沈める魔物。ダイオウイカという説もあるが、いま目の前に現れた”それ”は全長555mのインパルスより巨大な”怪物”だった。イカに見えなくはない。無数の触手が蠢く。

「群体のようなものか。いやあれで一つの生命体なのだ」

 後部甲板で傷口を押さえながらアランがつぶやく。

 その背後に寄生されたQたちが近づく。

 美理を乗せたボッケンはツインブレードを翼のように駆使し滑空する。

 草原に着地。刀をしまう。美理が目を覚ます。

「ボッケンちゃん・・何あれ?」

「黙ってて。舌を嚙む」

 ボッケンは全力疾走で”怪物”から離れる。

 地面から次々と氷柱が上がる。それはボッケンたちの行く手を阻む。

 ピンニョが先行し羽手裏剣で粉砕。だが数が多い。

 ボッケンは避けつつ、再度ツインブレードを伸ばして氷柱を斬る。

 美理は後ろを振り返り「明くんは?」

 明とマーチンは”怪物”の体内に閉じ込まれていた。トランシル王はわからない。

 その体は氷でも水でもなく、その中間の様な濃密な液体で出来ていた。

 その中を明は泳いでマーチンに近づく。

 マーチンに触れる。そのままテレポートで脱出する。

 インパルスの前に”怪物”が立ち塞がる。

 ”怪物”から何かが発射される。巨大な氷のミサイルだ。

「奴の体内に乗員はいないのだな。よし主砲発射!」流が命令する。

「発射!」ロイが復唱。

 八つの光弾がミサイルを粉砕、そのまま”怪物”に命中する。

 ”怪物”は断末魔の叫びを上げながら飛散、消滅していく。

「やった」喜ぶリック。「ざまあみろ」

 その第一砲塔にカレン王女が現れる。

「え?」

 女性に弱いリックはあっという間に餌食になる。

 メインブリッジ。

「後方にエネルギー反応!」クリスが叫ぶ。

「気圧が急激に下がっています。980hPa・970・950・920・895・・」

 離れた場所に移動した明たちも見た。

 インパルス後方に巨大な雲の渦が巻く。どんどん上に横に大きくなっていく。

「台風か?」

 それは先程の”怪物”よりはるかに大きく・・・幾つもの稲妻がきらめく。

 メインブリッジの扉が開く。

 バーニャ王子を先頭に”敵”がなだれ込む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ