氷の城②
<パメラ星上陸班・主要キャスト> この中に犯人が・・・?(何の?)
弓月明 航行班副班長。エスパー。過去から来た男。
流美理 索敵情報班サブレーダー係。アルテカ星人?とのハーフ。
マーチン 整備班副主任。大食漢。帯電体質。
グレイ 戦闘班副班長。元情報屋。イケメン。
ショーン 通信班班長。グレイの妻。南国風美女。
ロミ 戦闘班スペースコンドル隊副隊長。エスパー。
マリアンヌ 医療班看護師長。メタボ。豪快な女性。
ボッケン 陸戦隊副長兼天文班副班長。シェプーラ星の馬様高等生物。
ピンニョ 通信班所属。人間並みの知能を持つ元実験動物。
アラン 副長。ロトス=オリ星人。沈着冷静。
アランの部下達 特殊訓練を受けた5人の対ESPエキスパート。
リイン アルテカ星の少女。直感に優れる。
(新人クルー)
山岡麗子 医療班看護師。天才美少女。美理の親友。
アッシュ 航行班。明に次ぐ操縦技術の持ち主。リーゼントはやめた。
イグニス 戦闘班第二主砲砲手。チャラい。
グエン 戦闘班第一主砲砲手。
キーク 戦闘班スペースコンドル隊。ミザールと双子。
ミザール 戦闘班スペースコンドル隊。キークと双子。
ナトウ 医療班研修医。気が弱い。
葵 生活班。元モデルの美少女。
カンナ 整備班。眼鏡っ娘。退艦希望者。
新人は他2名。
他に退艦希望者15名。
(パメラ星王家)
トランシル 移民星パメラ国王。流啓三艦長の古い友人。
バーニャ パメラ星第一王子。イケメン。
カレン パメラ星王女。絶世の美女。
アルカード パメラ星王家に仕える執事。
<スペースインパルス>からシャトルと護衛の<スペースコンドル>が降下する。
パネラ星は惑星改造された移民星だ。大気成分・気温・自転周期等は地球のそれに近い。陸:海は3:7、陸地のほとんどは平地だ。重力は0.9G。ここの売りは全天を占める銀河系の眺めだ。人口は1万人に満たない。
上陸メンバーは流艦長、アラン副長、明、ロミ、マーチン、ショーン、グレイ、マリアンヌ、ボッケン、ピンニョ、アラン配下の男たち5人、新人研修として美理(索敵情報班)、麗子(医療班)、アッシュ(航行班)、イグニス(戦闘班)、グエン(同)、キーク(コンドル隊)、ミザール(同)、葵(生活班)、ナトウ(医療班)、他2名、退艦希望者16名(うち1名は補充兵のカンナ)、そしてリイン。流艦長は挨拶のみで戻る予定だ。グレイとショーンには結婚記念の意味もある。
「おいしいもの食べられるといいわね」
マリアンヌの言葉に、マーチンが目を輝かせる。
一面緑の大地が広がる。
美理と麗子が外を指さしながら何か話している。
本当にこのふたりは仲がいい。見ていてほほえましい。
三人席の真ん中のリインが急にこちらを見る。明はあわてて視線をそらす。
「艦長はパネラ王とどういう知り合いなのですか?」マリアンヌが尋ねる。
「昔。妻を取り合った」
「まあ」
「え?」美理も驚く。知らなかった。
流とアランと配下5人と明とロミ以外はこの上陸の本当の目的が”スパイの特定”ということを知らない。
ロミが操縦するシャトルはパネラ王の私有地に着陸する。
周りは広大な緑の草原だ。ボッケンが飛び出し、草原を駆ける。インパルス内にも原っぱやトレーニングルームはあるが、本物の大地を走るのはうれしいのだろう。ピンニョも上空を飛び回る。
「おーい、行くぞー」
明に呼ばれボッケンとピンニョが(野生から)戻る。
いかにも執事といった感じの男性が一行を出迎える。
「ようこそいらしゃいました。執事のアルカードでございます。ここからは私がご案内いたします。なおこの先は武器の持ち込みは出来ません。こちらで預からせて頂きます」
明たちは銃や剣をメイドたちに預ける。
一行はパネラ王の居城へと向かう。移動手段は古風なロープウェイ。有線ではなく無線の見えないケーブルが張られている。ちょっとこわい。
真っ青な湖に浮かぶ小島。その上に西洋風の城がそびえる。
「本物のお城だ。素敵」ショーンは隣のグレイと手を繋ぐ。
「あそこに泊まるの?すごい」リインの声も弾む。
「ドイツのノイシュヴァンシュタイン城に似ている」
ぽつりとつぶやいた明を信じられない目で美理と麗子とマーチンが見る。
「昔ジグソーパズル作ったんだよ!」
近づくにつれ城は透明度を増す。太陽の光を浴びてきらきら輝く。
「ガラス?」明はアルカードに尋ねる。
「いいえ、氷で出来ております」
特殊な氷で60℃位にならないと溶けないらしい。
ロープウェイは城に到着、一行は降りる。
明は地面を触りながら「氷だ」
口髭を生やした長身の男性が一行に近づく。ちょっとQに似ている。
「流!ははは・・何年ぶりだ」
パメラ国王トランシルは流艦長と握手する。流より背が高い。シルクハットがしぶい。
「ひさしぶりだな・・少し痩せたか?」
「お前は泊まらないんだって?なぜだ?」
「すまん。軍事機密に関わるから答えられない。紹介しておこう。娘の美理だ」
いきなり紹介された美理はお辞儀をする。
「驚いた。エレーヌさんそっくりじゃないか。・・私も紹介しておこう。バーニャ第一王子だ」
現れたのはイケメンの男性だ。女子が騒いでいる。
「娘のカレン王女だ」
絶世の美女。透き通るような白い肌。今度は男子が騒ぐ。美男美女の家系か。
バーニャは美理に近づく。美理の手を取り、くちづけをする。
「!!」思わず美理は手をひっこめる。
「久しぶり、美理。僕のこと覚えていないの?」
「え?」美理は父の方を見る。
「幼い頃に遊んだことがある」流が言う。
バーニャが「いい男になったら結婚してあげると言われた」
美理は真っ赤になる。憶えていない。
明は内心穏やかでない。
「これはある意味チャンスかもしれない」
豪華な夕食の後、赤い絨毯の敷かれた廊下で麗子が美理に言う。
床も壁も天井も氷で出来ている。透過性は高いが透明ではない。
「嫉妬は恋を進展させるの」そうだろうか?
「でも麗子って恋愛経験ゼロよね」
「え?・・うん」大当たり。ただの耳年増。
「じゃ」 「また明日」
それぞれの部屋に入る。さすがに扉は木だ。
天蓋付きベッドがふたつ。大きな氷のテーブルに木製の椅子が4脚。バストイレ付。3Dテレビもある。一流ホテル並みの内装だ。
アラン以外はくじ引きで決めたペアでの宿泊となる。今夜美理は葵と、麗子はカンナとだ。
「夕食うまかったよな~」マーチンは依然お気楽だ。
「そうですね」そう言うナトウは可哀そうに明と同室だ。
美理と同室の葵はすでにふとんの中にいた。
「あなたは寝るとき灯り消す派?点けとく派?」葵にきかれる。
「え?消す派」
ぱちん。消灯。
足元の灯りがあるので困らないが、強引だと感じつつ美理は自分のベッドへ。
「・・・・」
突然「流さん」
「は、はいっ」
「私のこと憶えている?」
「えーと・・会ったことがあると思うんだけど、ごめんなさい、思い出せないの」
「ルリウス星のショッピングモールで。私は朱雀という鳥に操られていた」
「え?」
デコラス四天王のひとり朱雀の正体はピンニョと同じ実験体のガルーダのクローンだった。彼が操っていた少女が葵。美理はルリウス星脱出の時に対決している。
「え~!(あの時・・確か私竹刀で突きくらわせた)」
「あの突きは痛かった」
「わーごめんなさい」
「いいえ、ありがとうを言いたかったの」
麗子にはマーチンに頼まれていた事がある。
今夜同室のカンナ(整備班)は退艦希望を出しており、話をよく聞いてできれば引き留めてほしいというのだ。
麗子は学生時代、生徒会役員していたし同級生や後輩の相談をよく受けていた。巧みに話を聞き出すはずだったが、
コンコン。
ドアをノックされ、麗子が覗くと・・
「うそ」
ドアを開ける。ショーンが立っていた。
「山岡麗子さん。あなたと話をしたかったの」ショーンが言う。「カンナちゃんは小一時間程出ててくれる?」
上官の頼みだ。仕方なくカンナは部屋を出る。
ショーンを部屋に招き入れ、麗子は紅茶を淹れる。
ティーカップを置き、「ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう。ごめんね、あなたの好きな人を取っちゃって」
「いえ・・」
麗子はショーンがなぜそれを知っているのか疑問に思ったが、あの美理にもバレる位だから仕方ないと納得する。
ショーンは紅茶を一口飲み、カップを置く。
「グレイにはね好きな女がいたの。いいえ、今も好きなのだと思う」
「え?」
「あなたのよく知っている人」
「?(誰だろう?)」
「子持ちの未亡人」
「!シャーロットさん!?」
ショーンはうなずく。
そう言えばグレイはシャーロットに優しかった気がする。
「私はその代わり」そう言うショーンはちょっと寂しそう。
「!」
「でもこの子ができたから・・」ショーンはお腹をさする。
「(赤ちゃん!)」
「彼の星は多夫多妻制だから、アタックしても構わないわよ」
「そんなこと・しません!」
「はあ」
カンナは渚のバルコニーでため息をつく。(*湖でも波打ち際を渚と言う)
銀河明かりに照らされる水面が美しい。
「どうしました?お嬢さん」声をかけられる。
カンナが見上げると、バーニャ王子がにこりと微笑む。
カンナは真っ赤になる。この子も男に免疫がない。
「眠れないのですか?」
追い出されたとは言えず黙っていると、
「じゃあ私とお話しましょう」
真夜中。
イグニスはそっと部屋を出る。今夜同室のキークはぐっすり眠っている。
ウキウキしながら廊下を進む。その手には手紙が握られている。
中庭へ出る。
噴水の所で女性が腰掛けている。イグニスに気づくと立ち上がる。
銀河明かりに顔が見える。カレン王女だ。
「こんなはしたない真似をしてごめんなさい。でも貴方をひとめ見たときから・・」
にやけるイグニス。
「来て」
手を引かれ、イグニスは近くの部屋の中へ。
バタンとドアが閉まる。
<スペースコンドル>でインパルスに戻った流艦長は技術班分室を訪れる。
通称”科捜研”。様々な調査・分析を行うセクションだ。
「どうされました?艦長」
科捜研の男・赤石。アラン副長の右腕だ。眼鏡のいかにも技術屋といった感じの中年。
どかっ。流はワインボトルを机の上に置く。パメラ国王からのプレゼントだ。
「お、差し入れですか?」
「分析をお願いしたい」
赤石の顔色が変わる。
「敵機の解析で忙しいのはわかっている。だが至急で頼む」
「危険物であれば艦内に持ち込めていないと思いますが」
赤石はボトルをつかんで照明にかざす。
「メイドインパメラの当たり年のものですか。何か引っかかりましたか?艦長」
「気のせいであってほしいが・・」




