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氷の城①

第4章  氷の城


「パパ起きなちゃい。朝でちゅよ。起きなちゃい」

 三歳の息子・望の声で明は目覚める。

「おはよう」Yシャツのボタンを留めながら階下へ。

「おはよう」エプロンを取りながら妻の麻美子が答える。

 三人で手を合わせて、「いただきます」

 目玉焼きに明は醤油、麻美子は塩こしょう、望はソース。

「長い夢をみていた。遠い未来、俺は宇宙船に乗っていて・・」

「宇宙しぇん?すごーい」目をきらきら輝かせて望が言う。

「ふーん。相変わらず宇宙好きだねー」

 麻美子は素っ気ない。結婚5年も経つとこんなもんか。

 他愛のない話。いつもと変わらない朝。なんでもない日常。 

 目が覚める明。

 自分が泣いているのに気づく。

「あんなことがなかったら、こうなっていたかも(望は啓作の子でまだ0歳だが)」

 枕元のESPセンサーが赤く点滅している。さっきの夢は敵のESP攻撃だったという事になる。ESPを検知したらアラームを鳴らすことも出来たのだが、一晩中鳴り続けて寝てられなかったので切った。

「こんな攻撃なら大歓迎だな」

 目覚まし時計を見る。まだ早い。もうひと眠り・・・

 雨。

 土砂降り。遠くで雷が鳴っている。

「まいったな」

「家までもうちょいなのにね」

 下校中に麻美子と公園で雨宿り。高1の夏。

「やまないね」

 ふたりの制服は濡れて透けている。

 思わず明は視線をそらす。

(何やってる?目に焼き付けろよ)←荒んだ今の明の声

 どおおん! 近くで落雷。

「きゃっ!」麻美子がしがみつく。

 顔が近い。愛おしい。我慢できない!

 明は 麻美子に 口づけした。

 柔らかいくちびる(の感触)。

(ああ。いい夢だなあ。こんなこと実際にはなかった)

 目覚まし時計が鳴っている。ESPセンサーは赤く点滅。またか。

「・・いけね」飛び起きる。


 メインブリッジへのエレベーター。

 明は閉まりかけたドアをすり抜け乗り込む。

 乗っているのは美理ひとりだけ。

「おはよう」 「おはよう」

「あ、明くん。ネクタイ曲がってる・・」

 美理が直してくれる。優しい。顔が接近する。その唇、艶かしい。 

 夢が蘇る。麻美子とのキス。

 美理と目が合う。 

「何?」 

「いや、何も」 

 メインブリッジ到着。扉が開く。

 明は副操縦席に着く。まだにやけてる。 

 ショーンが「どうしたの?いい事あった?」 

「秘密・・!!」明は隣のサライを見て愕然となる。

 目が落ち込み、くまができている。ひどく疲れて見える。

「眠れてないんだよ」

 遅れて来たグレイが教えてくれた。そのまま副戦闘席に座る。

「例の大会のせいもあるんじゃないか?」

 航行班には2か月に一度操縦の腕を競うシミュレーション大会がある。ここ数回は明が優勝、二位=サライ、三位=那由他メインコンピューターというのが続いていたが、今回は優勝=明、二位=新人のアッシュ、三位=那由他、サライは四位だった。

 明は声をかけられないでいた。

 メインレーダー席のクリスが報告する。

「前方30億㎞にトスーゴ艦隊を確認。こちらには気付いていない模様です」

「先制攻撃をかけますか?」血気盛んなロイ。

「いや、回避しよう。パメラ星が近くなかったか?」

「13光年先です。同じ恒星系内第五惑星の衛星に例の”隕石”落下の記録があり、調査対象でした」

「パメラには古い知り合いがいるんだ。補給と休息を兼ねて向かおう。サライ、行けるか?」

「了解」精気が無い。


 ワープアウトした<スペースインパルス>は先に第五惑星に向かう。

 木星型のガス惑星だ。その衛星の一つに167年前”隕石”が落下していた。

 インパルスは惑星の重力を利用して減速を図る。これもスイングバイだ。

 第33衛星に接近する。直径50㎞程のいびつな星だ。

『先に進んじゃだめ!』艦内通信。医務室からだ。

 サブモニターにリインの姿が映る。麗子の制止を振り払って叫ぶ。

『逃げて!』

「制動をかけろ!」流が叫ぶ。

 サライが「逆噴射!」

 Gがかかる。

 次の瞬間。前方に眩い光が輝く。

 第33衛星が粉々に吹き飛ぶ。

 数え切れない破片がインパルスのバリアーに当たる。

「爆発した・・」

「対消滅反応があります。反物質爆弾でしょう」

「ドルメンマイヤー防御*があるとはいえ進んでいたら危なかったな」(*反物質を無効化する特殊粒子)

 サブモニターのリインは気を失っている。麗子が心配ないとジェスチャー。

 リインは直感があるのだと言っていた。これもそうなのか?

 アランが「詳しく調べます。”種”がどうなったのかも」


 <スペースインパルス>はパネラ星上空に停泊。

 メインブリッジ。

 流はパネラ国王と通信中。口髭を生やした紳士だ。

『物資の補給の件、了解した。請求は銀河連合でいいんだな?それと退艦希望者だって?』

「体調不良で退艦希望者が16名いる」

『退艦希望者は銀河連合の迎えが来るまでこちらでお預かりしよう』

「助かります。国王」

『年代物のいいワインがあるんだ。久しぶりに一杯やろう』

 通信終了。

 アランが流に「上陸の許可をいただけますか?」

「よかろう。希望者は申し出ろ」

「いえ、補充兵中心に上陸命令をお願いしたい。もちろんリインも」

「?」

「艦内からESPが発せられていた件、敵のスパイによる可能性が高い。最も疑わしいのはオリオン星雲で乗艦した彼らです。対ESPシールドの無い艦外でスパイをあぶり出します」

 補充兵たちは初期研修を終え、各部署で任務に就いている(現在メインブリッジに彼らはいない)。

「エスパーの協力が要るな」

「明とロミに声をかけています」


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