悪夢③
メドゥサ流星系の多数の流星が軌道を変え、<スペースインパルス>へ向かっていた。
直ちに<那由他>が軌道を予測、操縦席のディスプレイに表示する。
「でかい奴は北極列島(=日本列島)本州ほどの大きさだぞ」サライが蒼ざめる。
「アラン。流星軌道変更の原因は?」
「お待ちを・・これはサイコキネシスです!敵要塞より強力なESP反応が出ています」
「!」 「サイコキネシスだって?」
「エスパーが相手か!」
「天体の軌道を変える?そんなバカな」
「ロイ。スーパーノヴァボンバー発射準備!」
銀河連合本部の許可なく艦長権限で発射できるようになったのだ。
「了解しました。エネルギー充填開始、しかし艦長、間に合いません!」
「明。全速で前方の敵艦隊へ向かえ!」
「了解。全速前進!」
ドバアアアーーン Gがかかる。
充填しながらの全速だ。充填中ウィングサーベルはレベル2までしか使えない。
<ネーガー>を引き連れ、インパルスは敵艦隊に接近する。
「艦長。流星はあらゆる方向から向かって来ます。どの流星を撃つ気ですか?」
「敵艦隊に近づけば流星は軌道を変えるとお考えですか?」
アランとサライの質問には答えず、流は前を見据える。確証はなかった。
上から巨大な流星が迫る。
明は紙一重でかわす。
流星は<ネーガー>数機を巻き込み中性子星へ落ちて行く。ひとつ。
前から<ドプラス>の攻撃。例の回転砲だ。
明は左へ逃れる。
ビームは後ろから来た流星に命中。粉砕する。ふたつ。
クリスが「左前から来ます!速い!あ当たる・・」
「お待たせ!」リックがトリガーを絞る。
第一主砲発射。
主砲弾は流星を直撃。破壊。みっつ。
リックが「修理サンキュー」礼を言う。
「何かおごれよ」
修理を終えたマーチンたち装甲兵は第四砲塔へ移る。
インパルスは敵艦隊に突入する。
敵と入り乱れているのに流星の接近は止まらない。
「予想はしてたけどな」とニコライは言う。<ドプラス>以外は無人だ。
「バリアーアタック!」
「ここでですか?艦長」ロイが驚く。
「復唱はどうした?」
「近くに友軍機なし。バリアーアタックをかけます!」
インパルスの周囲に光の波が広がる。
それに触れた敵艦はエンジンが停止、行動不能に陥る。
<ネーガー>は全速で光から逃れるが、半数が餌食になる。
<ドプラス>も例外ではない。
バリアーアタックには対ESPシールドも含まれている。攻撃を受けたエスパーは失神した可能性が高い。
「今だ!攻撃を叩き込め!」
「全砲門一斉発射!」
インパルスから数多の光とミサイルが放たれ、次々と敵艦隊に命中する。
「全機アタック!」
戻って来た<スペースコンドル>もここぞとばかりに総攻撃。
足の止まった<ネーガー>を次々と撃墜する。
予想通り流星はコントロールを失い、そのまま直進する。
インパルスは避けるが、動けないトスーゴ艦のいくつかは流星と衝突する。
流星の一つは<ドプラス>を直撃。その巨体の1/3を破壊する。
リックは<ドプラス>のブリッジを狙う。
第一主砲発射!
外れる。
「あれ?・・もう一度だ」
リックの名誉のため説明すると、サイコキネシスで弾道を逸らされたのだ。
再び主砲発射!
命中・・寸前に流星が割って入る。主砲弾は流星を粉々に粉砕するがブリッジは無傷だ。
「!」
「流星群軌道修正、再接近!」
再び流星の軌道が変わり、インパルスに迫り来る。
「(バリアーアタックから)もう回復したのか?」
「いえ、ESP反応は・本艦から出ています!」
「!!」アランの言葉に驚く明。
「なんだって?」
「どういう事だ?」流が問うが、
答えられる者はいない。
インパルスは敵艦隊を突破する。
「この宙域を離脱する。<スペースコンドル>は我につづけ」
「両舷全速!」
エンジンが吠える。
全天観測室のボッケンはその異変をいち早く捉えていた。
『後方の流星がふたつ消えた!』メインブリッジに伝える。
「!」前方の空間が歪む。
直径10km程の小流星がふたつ現れる。
「テレポーテーション?」
明は操縦桿を倒す。
減速せず斜めに船体を傾け、インパルスは流星の間をすり抜ける。
流星の一つが敵巡洋艦に衝突、艦は大破する。
バリアーアタックから回復した敵艦隊は追撃を始める。
艦内のESPの発信源を突き止めようとしていたアランだが、
「(ESPが)止んだ」
代わりに<ドプラス>のESP反応が増大する。
「後上方!流星接近!大型です」クリスが叫ぶ。
敵艦隊を追い抜いて巨大な流星が迫る。
「エンジン全開!」
「流星の方が速い。追いつかれます!」
中性子星の重力だけではない。サイコキネシスのせいもある。
「反重力ミサイル発射!」
後上方へ放たれたミサイルは反重力場を発生、流星の軌道が変わる。
しかしすぐ再び元の軌道に戻る。
「不自然な動きだ。やはりエスパーが関与している。だが時間稼ぎにはなった」
「後部主砲一斉発射!」
ロイの号令で放たれた四基の主砲弾が命中し、流星は粉々に散る。
「・・・」
サライは黙って明の操艦を見続けるしかなかった。
「あのすばしっこい奴はどこだ?」グレイは<ネーガー>を探す。
ズズーン!
被弾。前方に回り込んで来た<ネーガー>が攻撃して来る。まだ数は多い。
「応戦します!」
インパルスは全砲門を乱射しながら進む。
「ワーププログラミング完了」
シャーロットの言葉にほっとするのも束の間。
『前方!流星の集団が来る』ボッケンが警告。
中性子星を周って、無数の流星が猛烈な速さで向かって来る。




