パミィ⑧
<スペースインパルス>は再びエスザレーヌ艦隊と合流した。
エスザレーヌを招き、中央作戦室で作戦会議が開かれた。
先程のトスーゴ艦隊と暗黒星の映像が流される。
エスザレーヌは黙って眺めるだけだった。
「これからお見せするのは技術班と医療班によるトスーゴの再現図です」
立体画像が映し出される。
「昆虫型異星人。外骨格。全長2m。体重50kg。6本の肢。真ん中の2本は腕にも足にもなる。葉緑素を含み体色はグリーン」
「昆虫植物とでも言うべきか」ニコライがつぶやく。
「機動要塞内でおびただしい数のカプセルを見つけました。中身は・・複種類の異星人の死体、約3/4は昆虫人、残りは様々な星人でした。彼らは機械に繋がれていました」
「コールドスリープ?」ロイが尋ねる。
アランは首を横に振る。
「これまでのトスーゴの巡洋艦クラスは無人艦でした。推測するに、幻覚を使う暗黒星と戦うためだったのでは。そしてそれは要塞母艦よりコントロールされているのではないかと。あと我々はいまだトスーゴの基地というものを確認できていません。あのクラスの機動要塞があるならば基地は不要なのかもしれません」
エスザレーヌと流が口を開く。
「星を消滅させる暗黒星。・・暗黒星と戦うトスーゴ」
「・・敵なのか?味方なのか?」
沈黙の後、エスザレーヌはQに尋ねる。
「リインはどうしています?」
「身体はもう問題ない。ただPTSD(心的外傷後ストレス障害)の徴候が見られます」
「彼女は銀河連合の手で故郷に送り届けましょう」
流とエスザレーヌは医務室を訪れる。
美理と麗子がペコリとお辞儀。リインはふたりの傍から離れようとしない。
「好かれちゃったみたいね」エスザレーヌは微笑む。
「彼女は本艦が送り届けます。個人的にアルテカ星に興味がありますし」
流の言葉に美理と麗子は喜ぶ。
<スペースインパルス>は<エスメラルダ>艦隊と離れる。
各艦はワープに入る。
独房。
「へっくしょん!・・冷えてきたか。誰か噂してるのか」
「兄き」ボッケンが毛布を持って来る。
「おー」
「明」マーチンがお菓子を持って来る。
「おー」
「明」ヨキがエロ本を持って来る。
「おー・・お前、これをどーしろと?」
「明」リュウとリックが酒を持って来る。
「おー」
「カンパーイ!!」
どんちゃん騒ぎに。看守ロボットはマーチンが黙らせた。
二時間後。
ボッケンとヨキとマーチンは寝ている。起きているのは明とリュウとリックだけだ。
「なあ、マジでコンドル隊に来ないか?お前ならエースになれるぜ」
「・・・」
「実はお前の操艦は荒っぽいと評判が悪い。でも回避率ダントツだ。戦闘機の方が向いてるって」
「オフェンスよりディフェンスが好きなんだよ」
「美理ちゃんいるからか?」
明ギクッ。図星だ。
「確かにいい娘だよな。可愛いし性格いいし」
「何で艦長の娘なんだよー。手出せねーじゃねーか」同感だ。
「そうだ。補充兵にすっごいかわいいコがいるって。医務室勤務だって」
「麗子ちゃん、か?」
「知っているのかー!?」酔っぱらいは声がでかい。
「どんな娘?」
「美理ちゃんの親友。去年この艦に乗っていた。お前らも会ってるぞ。いい子だぜ。昨日ここにも来てくれた」
「何だよそりゃー。どこだ?どこ座った?」リュウは匂いを嗅ぐ。
「(こいつこんな変態だったのか?)お前、ロミさんは?」
「あれは・相棒だ」くんくん。
「なあ主砲とか戦闘機って、怖くないのか?」
明の問いにふたりの表情が変わる。
「自分の身は自分で守る。やられたら自分の責任だ」
「俺は歯車の一つだ。俺が倒れたらバトンを引き継いでもらえれはいい」
「・・・」ふたりの覚悟に感心する。
リュウが「そう言えば、お前らが乗って来た宇宙船ってどうなった?」
「<フロンティア号>はミクロ化格納庫の隅だよ」正しくは第二格納庫。
「あったあった。あれ飛べるのか?」
マーチンが「飛べるよ」起きてくる。
「修理は終わってる。出番がないだけ」スルメをほおばる。
「忙しくてヒマがないからなあ。マーチン、いつか・飛ぼうな」
「俺もメインブリッジ行きてえ~。主砲じゃ奴に歯が立たないと分かったからな・・スーパーノヴァボンバーを撃ちたい。俺は奴を倒すためにこの船に乗った。俺の星の太陽は奴に襲われたんだ」
「奴?」リックに尋ねる。
「暗黒星だよ。・・俺は奴を許さない!一匹残らずぶっ殺してやる」
「生物みたいな言い方だな」
「あれは生き物だよ」
「・・・」
「ところで明、通信班のピンニョさんって可愛い?」リックも完全に酔っている。
「はあ?(なに言ってんだ、こいつ)」
「俺、声しか知らねえけど、いい声してんだよなー。可愛い?」
「・・可愛いよ。ちょっと小さいけど。(鳥だけど)」
「そーかー!小柄なのか?会いてえなあ~。絶対メインブリッジ行くぞ~」
で、全員牢の中。
美理が「何やってんのよ!」
「・・・」誰も何も言えない。
美理の肩には呆れ顔のピンニョがいる。
明が「あ、リック。こちらピンニョさん」紹介する。
「え~!!」




