パミィ⑦
卒業祝いの酒盛り(飲めるのは明とパミィだけだったが)。
「この三か月間本当によくがんばった。普通なら三年はかかる内容じゃ。
特に・明!お前らのレベルではもうAAA級か。今後の努力次第でS級も夢ではない。正直人には過ぎた力じゃ。今やお前は神にも悪魔にもなれる」+
「・・・」
「願わくば、正義の心を忘れないでくれ」
「わ、わかりました」
「ヨキ。地味だがお前も成長した。全力でのESPは依然3分しかもたんが、力をセーブしESPの”充電”を併用すれば数時間の使用も可能になっている。黄金龍との実戦で体験済みか」
ヨキはうなずきつつ聞いている。
「あ、会得した透視能力だが、邪な目的で使うとお腹が痛くなる暗示をかけておいたからな」*
「!!」その時のヨキの顔ときたら・・
「ピンニョ。エスパーじゃないお前には退屈だったかな。でも心技体の鍛錬にはなったと思う。勘と言うか直感力はもはやエスパー並じゃ。修行をよく支えてくれた。ありがとう」
「そんな事ないです。ボクにも有意義な三か月でした」
「帰る前にキキイ星に行ってハット&ラーに会って来い。心配しとったぞ」
「え?でも俺たちは・・(お尋ね者)」
「ネコの連中じゃ。三日も経てば忘れとる」
殺人以外の罪は三日逃げ切れば無罪になるらしい。+
「・・そうなの?」
明とヨキとピンニョは顔を見合わせて、
「師匠」
「なんじゃ、あらたまって・・そうだ、言い忘れとった。流啓三に伝えてくれ」
「何です?」
「トスーゴとは戦うな」
「!!」
「なぜです!?」
パミィは何も答えない。それどころか・・
「師匠?」
そこにいたのは「ラライ星人の等身大ぬいぐるみ」だった。
「?どういうこと?」美理が尋ねる。
「わからない。本物のラライ星人でも精巧なロボットでもない、ただのぬいぐるみだった。確かにパミィは動いて喋ってめしを食っていた。夢を見ていたわけじゃない。俺たちは体中に傷が残っているし、テントにはもともと生活の跡があった。ぬいぐるみに魂が宿っていたのか?誰か(本物のパミィ?)がどこか別の場所から遠隔操作でぬいぐるみを動かしていたのか?それとも?」
「・・・」美理は無言。
「俺たちはろくにお礼もできなかった。さよならを言う事さえ」
明の目に涙が光る。
「それ父さんに伝えたの」
「ああ、伝えたよ。『そうか』としか言われなかった」
「・・あ、(トスーゴと)戦っちゃったよ。私たち」
「そーなんだよ」
警報が鳴る。
『18光年先に<暗黒星>を発見した。これより本艦はワープしその宙域に向かう。総員第一級戦闘態勢!』
「暗黒星!」それは恒星を喰いつくす謎の存在だ。
「明くんごめん。私、行くね」
一年半前、太陽系で遭遇して以来だ。
その時明はデコラスと戦っていて暗黒星を見ていない。VTRは何度も観たが。
「くそっ!」一目見たかった。
美理を見送った明はひとり悔しがる。
美理がメインブリッジへ駆け込んで来る。サブレーダー席へ。
グレイが「明、元気だったか?」
「はい。・・あ・(しまった)」
不機嫌そうな父・流啓三艦長。
吹き出すシャーロット。
「ワープします」
軽いショックの後、<スペースインパルス>は単身18光年先にワープアウトした。
赤色矮星と5つの惑星から成る小さな恒星系だ。
その第一惑星に”巨大隕石”落下の記録があり、”巨大植物”捜索の対象となっていた。
自動警報が鳴る。
「前方にトスーゴ艦隊です!45隻。その向こうに・・」
「!!」
暗黒星!
一年半前に太陽系に現れた謎の球体。今回の直径は約7000㎞とその時のものより小さい。
「艦長。スーパーノヴァボンバーで両方狙えます!」
「いえ、前回の戦闘によるダメージはまだ残っています。戦闘は避けるべきです」
ロイとアランの意見は正反対だ。
「待て。・・連中は何をしている?」
トスーゴ艦隊は暗黒星を取り囲んでいる。
「!」
艦隊が一斉に発砲。艦首からプラズマ砲と思われる高エネルギー体も放たれる。
数多のビームが暗黒星に命中する。
暗黒星は縮んでいく。恒星への接近をあきらめ、方向を変える。
何度も何度もビームを受け、やがてレーダーから消える。
消滅したのか?移動したのか?は判らない。
インパルスのメインブリッジは静まり返っていた。
サライが口を開く。
「トスーゴと暗黒星は敵なのか?」
「!」
トスーゴ艦隊はこちらに気付き発砲して来る。
「迎撃します」
「いや、逃げよう」
流艦長の言葉にブリッジはざわめく。
サライが操舵する。「取り舵いっぱい!」
「メインエンジン全開!」
インパルスは敵を振り切る。




