パミィ④
<スペースインパルス>艦内通路。
麗子と自走式車椅子に乗ったリインは医務室へ向け移動中。ピンニョはリインの膝の上。
前から旗を持った女性を先頭に十人程の集団が来る。
補充兵の艦内見学だ。麗子は乗艦歴があるので外された。懐かしい。今回配属が決まっているので勧誘はない。
よく見ると先頭の女性はショーンだ。褐色肌の南国系美人。
「(あの女だ)」
麗子はぺこりと礼をする。ショーンは敬礼で返す。
すれ違いざまイグニスがあっと指さす。無視。
「(忙しくて忘れていた・・・結婚したんだ、あの人・・)」
再び明の回想。
「次は回避じゃ。防御が完璧なら避ける必要はないが、万が一ということもある。敵がどんな強い攻撃をしてきても、当たらなければどうということはない」+
パミィはサイコキネシスでそこいらに転がっている石を空中に浮かべる。
「(デコラスが使った技だ。嫌だな~)」
「じゃあ、行くぞ。避けろよ」
明もヨキも難なく避ける。
次から次へ石の弾丸がふたりを襲う。だが上手くかわせる。
「動体視力はいいようだな。だが目だけにたよるな」
「!」明は飛び退く。
次の瞬間、ドオーン! 雷が落ちた。
明は逃れたが、ヨキが犠牲に。ぴくぴく痙攣。
「石だけとは言うとらん」
「わー!」
次から次へ落雷が明を襲う。
「お前の勘はすごいの~」
ドオ―ン!
褒められた途端、油断したのか明も雷の餌食。
いよいよサイコキネシス。ここから明とヨキは別メニューとなる。
ヨキの課題はスタミナだ。体力だけでなく、力の使い方を習得することになる。
3分という時間制限からエネルギーが切れるまでという体質に変える。
パミィは「ヨキが3分しかESP(力)を使えないと信じ切っているからだ」と言う。
こういう思い込みは”心”の鍛錬で解決できることが多い。
ピンニョは何をしていたかと言うと、やはりパミィの特訓を受けていた。
彼女はエスパーではないため、ESPではなく心技体の習得だ。
一方、明の目の前には巨大な岩があった。
「動かしてみ」
岩はざっと見ても高さ10mはある。
明は岩に手を置く。
「・・・・・」
何も起こらない。
さらに力を込める。
ぱすっ おならが出た。(スペーススーツは中から外へは空気を通す)
苦しがるパミィ。
「すみません」明が謝る。
「絶対無理だと思っとるだろ?自分にサイコキネシスが使えるのかと」
「はあ・」
「その腰の、そうその銃だ。使ってみそ」
エスパーガン。ESPをエネルギーに変換して発射する銃だ。
明は銃を抜いて岩を狙う。引き金を引く。
ドビュウ!
ボヴァ! 巨大な岩は木っ端みじんに消し飛ぶ。
「!!」
「わかったか。お前には力がある。修行に戻るぞ。あの岩を動かせ」
パミィが指し示したのはさっきの倍はある巨大な岩だ。
「でかくなってます」
「気のせいじゃ」気のせいではない。
明は岩に手を置き、力を込める。
「銃があればこんな修行いらないんじゃね?とか思ってるか?」
ギク。図星である。
「銃に頼るな。いつも銃があるわけではない。それに銃では破壊はできても動かす事は出来ん。ABSは優秀でもまずはそれを切ることから始めた方がより上達するんじゃ」+途中から何を言ってるのかさっぱり分からない。
明は目を閉じ「動け」
動きません。
「しゃあないのう」パミィが岩をトンと押す。
「え?」岩は明の方へ傾く。
パミィはニコニコしながら「なんとかせんと潰れるぞ」
明は逃げようとするが、足が動かない。パミィがサイコキネシスで邪魔している。
銃を抜こうとするが、ホルスターに銃は無い。パミィが銃を指でくるくる回している。
明は両手で岩を止めようとする。
「く そお!」髪が逆立つ。
次の瞬間。岩は粉々に砕け散る。
「やればできるじゃろ。だが砕けとは言うとらん。もう一回!」
次の岩はさらに大きかった。
物理的攻撃が出来るようになると、力のコントロールと属性の追加だ。
火・水・電・土・風・木・・ それぞれの理解と相性を学ぶ。
「こうして俺はサイコキネシスをマスターした」
「スパルタだね」美理が言う。
「そうなんだよう」明は涙目だ。
麗子たちは居住区を移動中。
「船の中に街があるの?」リインが尋ねる。
「びっくりした?」リインの膝でピンニョが答える。
「すっごく大きい船なのね。あの<船>とどっちが大きいのかな?」
<ドプラス>の事だろう。ややこしいのでミクロ化の事は言わない。
麗子は黙って後ろを歩く。空を仰ぐ。青空が歪む。
「(泣いちゃだめ。何もあの人に逢うために戻って来たんじゃないんだから)」
前から誰か来る。子供を抱いた女の人・・・
涙を拭いた麗子の目が大きく見開く。
望を抱いたシャーロットが「よっ!」
偶然会った。
「シャーロットさあん!会いたかったあ!」
「未婚の母になりました」左の薬指に指輪。
「(あの日医務室で見た奴だ)」と麗子は思った。
シャーロットは車椅子に乗ったリインを見て、
「あら、その子は?れーこちゃんも?」
「ち違いますよ。(どう見ても違うでしょ)この子は・・」
望が泣きだす。
「あらあら、人見知りしない子なのに。大丈夫よ。このお姉ちゃんはとっても優しいんだから」




