パミィ③
パミィ師匠は地球の(宇宙暦499年の時点での)古い文献が大好き。
+ の付いているものは、文献の元ネタがあります。
翌朝。
パミィの家は万年雪を抱く山々に囲まれた盆地にあった。
「凄い風景だ(まるでヒマラヤ)」
空は雲に覆われていて太陽は見えない。山々は見えるのに。高度1万mより上に白い雲の層がある。最後まで雨は降らず晴れた日もなかった。
はるか上空を数羽の鳥が飛んでいる。
鳥?かなり距離があるのに、やけに大きい。あのフォルムは・・翼竜?
「ギャース」
振り返ると巨大な恐竜が二足歩行で駆けていく。
「・・・」
「ここでは気を抜くと食われるぞ」
こんな環境で昨日寝ていたのか。後で聞いたが家はESPバリアーで守られているらしい。
「いいか?強いエスパーに必要なのは心と技と体じゃ!」
「(どこかで聞いたような・・)」
「まずは”体”じゃ。走るぞ!」
先陣を切ってパミィが走り出す。
明とヨキがつづく。
二時間後。
「ぜーはーぜーはーぜーはー・・」
肩で息するパミィ師匠。
「・どうやら・体は・・できてる・ようじゃ・な・・ぜーはー・・」
「(リーチの差だと思うぞ)」パミィの身長は30㎝。
「ESPの力の源は”気”つまり”心”じゃ。そのコントロールはおいおい教えていく。次は”技”じゃ。え~とアギラ、テレパシーは使えるのか?」+
「アキラです。なんとか」
明はインパルスでロミから基礎としてテレパシーの使い方は教えてもらった。
「アキラはテツオより強いのか?」+
「はい?」意味不明。
「ふむ。テレパシーを通信手段と思うておるようだが、それだけではない。目であり耳であり声でもある。まあよかろう」
明がほっとしたのも束の間、
「では最初に覚えるのは防御じゃ。ESPでバリアーを張れ。やってみ」
バリアーはヨキの得意技だ。難なく出来るが、新米エスパーの明は出来ない。
「テレパシーで壁を作るイメージじゃ」
「・・・」
「防御さえ完璧ならば攻撃することはたやすい・・と地球の古い文献にある」+
「(知らないなあ。戦国時代の古文書か?もっと古い中国の兵法?)」
(注:↑パミィが読んだのは手塚治虫著「月と狼たち」です)
「目を閉じて深呼吸をしろ」
「すー・・はあ~・・・」
「自分の大切なものを思い浮かべろ」
「大切なもの?」
「恋人でも家族でも・エロ本でも、なんでもいい」
「・・・」
「やばい。エロ本が見つかるぞ!守れ!」それはいかん。
パッカーン。木の棒でどつかれる。「いってえ~」
「まだまだじゃな」
ヨキが「お前、地球でデコラスの攻撃を防いでたじゃないか」
「憶えていない」
「デコラスも<神の声>のゼーラも強かったのは防御力が高かったからじゃ」
「確かに」
明は息を深く吸い込み、ゆっくりと吐く。
「イメージ・・壁を作る」
「その壁で大切なものを守れ」
デコラスとの戦いを思い出す。先日の地球ではなく、もっと前、アクア星系で敗れた時のことを。美理を奪われた時のことを。
闇の中燃え上がる小型機。不敵に笑うデコラス。その周囲に浮かぶ無数の鉱石。
守りたいもの。それは後ろにいる美理。
無数の礫が来る。
「守り抜け!3・2・1・0!」+
ビシッ! パミィの棒が跳ね返る。
「出来たようじゃの」
ふたりは鉄格子越しに話をする。
「一度覚えたらESPバリアーを張るのは容易かった。あとはその強度と持続だ」
明は差し入れのおせんべいをかじる。
「それで?」美理が尋ねる。
「さらに七日間の修行のあと、俺たちは”防御”の試験を受けた」
崖の上に立つ明とヨキとパミィ。
「これからお前らをいろんな所に送る。ESPバリアーが張れなければ命にかかわる所もあるから絶対に切らすな。わかったか?」
明とヨキはうなずく。
「じゃあ、バリアーを張れ!」
ふたりはESPバリアーを張る。
「グッドラック!」
ドン! パミィはサイコキネシスでふたりを崖から突き落とす。
「わあ――――――――――― 」
次の瞬間テレポート。
「!」
明はひとりジャングルの様な場所にいた。
ヨキとは別ルートのようだ。同時にふたりを別の所に移動させるとは。凄い技術だ。
巨大な蛇が明を一飲みする。バチッ。バリアーが明を守る。
再びテレポート。
火山の火口の中にいた。バリアーが無ければ即死だった。
次は-60℃。猛吹雪舞う氷の世界。
光の届かない深海。深度1万m。想像を絶する水圧が襲う。
「きゃあー」女湯(残念ながら猫)の中。
宇宙空間。
ラライ星。灼熱地獄。
「はあはあはあ・・」
明は元の崖の上にいた。仰向けに横たわる。
ぱちぱちぱち・・パミィが拍手する。
「はあはあ・・ヨキは?」3分間しかESPを使えないはず。
「大合格じゃ」
Vサインして立つヨキの姿を見て、明は胸をなでおろす。
「あいつはESPバリアーで強制テレポートされるのを防いだ」
「へ?」どっと疲れが出る。
「明、お前もよくやった。合格じゃ」




