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耳なじみ


「今日は一日で帰って来れましたね、偉い偉い」


 人を子供か何かだと思っているらしいニャッコに頭を撫でられてから、報酬を手に再び宿へ。


 誰にも邪魔されずに考えることができるように、今日も借りるのは一人部屋だ。

 買ってきた飯を腹に入れて、少し落ち着く。


 レベルが変わらないままの可能性をいくつか考えた。

 そしてこれだろうという推測にも辿り着いている。


(レベルアップは……しづらくなるんだ)


 レベルアップをしなくなる正確な理由まではわからない。


 けれど常識的に考えると、やはり基本レベルというものは上がりづらくなっていくと考えた方が、自然なように思える。


 だってまったく同じペースでレベルが上がり続ければ、あまりにも簡単に強くなりすぎちゃうし。


 レベルが上がらなくなった理由として、俺が思いついたのは三つ。


1 同じ魔物を狩り続けると、レベルが上がりづらくなる。

2 自分の経験になるような強い魔物と戦わない限り、レベルは上がりづらくなる。

3 そもそもレベルというのは、上がりづらくなるもの。


 この中のどれかが、多分正解だと思う。

 できれば1だとありがたい。

 それならゴブリンとかスライムとか、戦う魔物の種類を変えれば問題なくレベルを上げられるはずだし。


 2を思いついたのは、最初の頃にオークを相手に割と苦戦していた記憶がはっきりと残っているからだ。

 戦闘時間も結構長かったし、ひやひやする場面が何度もあった。

 オークは久しぶりにソロで戦う俺にとっては、決して油断ならない相手だったからな。



 今の俺が強くなるためには、この『レベルアップ』のスキルを可能な限り有効活用し、しゃぶり尽くさなくてはならない。


 一応金になって食費も浮くから、明日もオークを狩るのは継続の方向で。

 まあそこまで切羽詰まっているわけじゃない。

 金を稼ぎながら、気楽にいこう。





「うーん……微妙だな……」


 ギルドに出されるクエストは、クエストボードと呼ばれる横長の板に貼り付けられていく。

 基本的には早い者勝ちなんで、ボード近くで待機している奴らが、割のいい依頼を持っていってしまう。


 俺はかなり寝起きが悪く、朝に弱い。

 なので依頼が貼られてからしばらく経ってからしか、ギルドに行けない。


 必然、俺に残っているのは皆が残している美味しくもないクエストばかりだ。

 こんなことを受けるのなら、常注を受けた方がマシだろう。



 クエストにはいくつかの種類がある。

 俺がソロになってから受けているのは、常注と呼ばれている、ギルドが常に受け付けているクエストがほとんどだった。


 というか、これ以外選択肢がないだけなんだけどさ。

 戦える力があるのに、今更荷運びとかをやるものな……って感じだし。


「ニャッコ、なんか美味しい常注ないか?」


「知ってますか、チェンバーさん。常注を美味しくしたら、ギルドが大損こいちゃうんですよ?」


「そんなかわいそうな子を見る目で見なくても知ってるよ!」


「フッフッフ……でも実は今、ちょっとホットな情報がありましてね」


 ものすごく仕事のできる人間感を出しながら、ニャッコは俺に告げた。


「どうやらゴブリンの数が増えてるらしくて。今なら討伐の時にもらえる報酬が、二匹ごとに銅貨一枚上乗せされますよ」


「じ、地味な上乗せだな……」


 そこは一匹で一枚にした方が計算とかもやりやすいだろうに。

 ちなみに端数切り上げらしい。

 汚いな、さすがギルド汚い。


 俺がニャッコと下らないやり取りをしていても、別に舌打ちとかは聞こえてこない。

 そもそも俺らが暮らす王国では、獣人の立場は弱い。


 なのでどれだけかわいくとも、獣耳がついているというだけで一部の物好きくらいしか付き合いたいとは思わないのだ。

 もったいないよな、猫耳かわいいのに。


「あー、また猫って言った! 私は虎です! 気高き虎です!」


「どうどう」


 怒るニャッコをなだめてから、最近ゴブリンが増えてきているらしい地域の場所を聞いておく。

 レベルを上げるためにも、大量に魔物を倒しておいて損はない……はずだしな。


 ギルドを後にしようとした、その時。


 聞いたことはない声で、耳なじみのあるフレーズが聞こえてきた。


「お前を――パーティーから追放する!」



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