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ランブル


 俺がホームに選んだのは、ランブルという街だ。

 アングレイからほどほどに離れていて、治める領主も違う。


 街の規模はアングレイと比べたら少し小さいくらいだけど、こじんまりしている分アットホームな雰囲気がある。



「お疲れ様です、チェインバーさん!」


「いや、俺チェンバーだから。はいこれ」


 受付のニャッコは、ぴょこんと猫耳の生えた獣人の女の子だ。

 こんな猫っぽい名前なのに、猫扱いするとすぐに怒る。


 なんでも彼女は虎の獣人らしいので、我慢ならないらしい。

 文化的な違いというやつだろう。


 討伐したオークの魔石を渡す。

 既に余った肉は肉屋に卸しているので、ギルドに渡すのはこれだけだ。

 魔石の数は、合わせて八個だ。


 オークを倒せば、食料は現地調達ができる。

 食料の問題はないのだからもう一匹、もう少しでレベルが上がるかもしれないからもう一匹だけ……と粘っているうちに、丸二日以上の時間が経過してしまっていた。


「ソロで八匹は、結構凄いですよっ!」


「ありがとう。まあ無理しない程度に頑張るよ」


「そうです、冒険者は身体が資本ですから。下手なことをして死んだらもったいないですよ。ソロの野営は無謀すぎるので、仲間と組まないのなら日帰りをおすすめしますよ」


「アドバイス助かる、じゃあな」


 俺は報酬を袋に入れてギルドを後にする。

 これだけの稼ぎがあれば、贅沢しなければ一週間くらいなら暮らせるはずだ。


 けど装備の更新をするには大分……いやかなり足りないな。

 今後もやっていくなら、少しやり方を考える必要があるかもしれない。





 あまり無駄金を使っている余裕はないが、今日ばかりはさすがに個室の宿屋を使わせてもらうことにした。

 色々と確認しなくちゃいけないこともあるからな。


 宿を借り、ベッドへ飛び込み、そして天井を見上げる。


「ステータス」


 そう呟くと、レベルが上がった時に現れたあの光の板が現れる。

 結局二日間頑張ってオークを狩ったおかげで、レベルは3に上がっていた。

 現状は、こんな感じだ。



ステータス


チェンバー レベル3


HP58/58

MP1/1

攻撃14

防御17

素早さ8


魔法

ライト



 今回はHPが5も上がってくれた。

 HPは上がっても、いまいち実感がしづらい。

 今度余裕が出てきたら、ダメージを受けて実験してみる必要があるな。


 レベルが上がって一番効果が実感できたのは、素早さの上昇に伴うスピードの上がり具合である。


 レベルが上がる前の俺の素早さが5で、今は8。

 要は8/5倍になってるわけだ。

 前と比べたら五割以上値が上がっている計算になる。


 さすがにそこまで値が上がると、明らかに速度が違った。

 身体がいつもより、ずっと機敏に動くようになったのだ。


 攻撃も、最初と比べると14/8倍に上がっている。

 数値的にはざっくり倍って感じだが、実感はそこまでじゃない。


 数値そのまま腕力が2倍に……とはいかないみたいだ。


 それでもメイスを振るうことが、かなり楽になった。

 今までは鉄の塊を遮二無二振ってる感じだったが、今は振り下ろしを途中で止めたりすることも、割と余裕を持ってできる。

 鋼鉄製のメイスを、木槌くらいの感覚で振り回せるようになった感じだ。


 最後の方なんか、オークをスピードで押し切れるようになっていたからな。

 レベル3でここまで変わってくるとなると……果たしてもっとレベルを上げたらどうなってしまうのか。


 ワクワクしてくるな。

 溢れる期待に胸を膨らませながら、俺は眠りについた……。





 メイスを振る。

 まるで自分の身体と一体になったかのように、軽々と振るう。


 カウンター気味に、隙を縫って即座に放った一撃に反応できず、オークは横っ面を思い切り叩かれた。


「プギイイイイッ!」


 そしてそのまま崩れ落ち、顔を押さえて転げ回る。

 地面に倒れてもがいているその顔面にもう一度メイスをぶちあててやると、オークはそのまま沈黙した。


 手に持った小型のナイフで魔石をほじくる俺の眉間に皺が寄っているのが、自分でもわかる。

 稼ぎとしては悪くないんだが……思っていたのと、少し様子が違う。


(おかしい……レベルアップする気配がないぞ)


 次の日、十匹目のオークを倒しても一向にレベルアップをする気配がなかった。

 レベルが上がる前よりも、そしてレベルが上がって自分の身体の動きに慣れる前よりも、今は身体がずっとスムーズに動いている。


 だからまだ日も落ちていない時間なのに、既に十匹目を倒せているわけだが……これはどういうことだろう。


 とりあえずオーク狩りを切り上げ、ギルドへ帰ることにした。



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