実証
まず間違いなく、この異常はスキルによるものだろう。
そしてこの天声(天から聞こえてくる謎の声じゃ味気ないし長いから、こうやって呼ぶことにした)の言うことには、俺のレベルは1から2へとアップした。
レベルがアップするスキル。
だからそのまま『レベルアップ』というわけだ。
じゃあこの『レベルアップ』が、具体的にどういうスキルなのか。
まずわかったことその1。
レベルがアップすると、俺のHPとMPが回復する。
HPというのはヒットポイント、つまりは体力。
MPというのはマジックポイント、つまりは魔力。
俺はレベルが上がれば、これらを全回復できる。
条件付きだが、回復手段が手に入ったというのは大きい。
そしてわかったことその2。
レベルがアップすると、俺の能力値が上昇する。
上がるステータスは攻撃、防御、素早さ、HP、MPの5つ。
この能力値というのは、俺の現状の身体能力と考えてよさそうだ。
攻撃は腕力、防御は攻撃を受けたときにどれくらいダメージを受けるか、そして素早さは俊敏性。
比較対象がいないので、俺の値が高いのかどうかはわからない。
ただこのレベルアップによるステータス上昇の効果があれば、俺はもっと強くなれる。
俺は変われるんだと、このスキルのすごさを実感する理由があったおかげで、そう強く思うことができた。
「こうやって魔法が使えるようになるとはな……」
目の前にふよふよと浮かんでいる光の球。
ライトと呼ばれる、初級光魔法だ。
以前ナルに出すまでのやり方は教わっていたのだが、実際に使ったのはこれが初めてだ。
だって俺には、魔力がなかったから。
魔力がない人間には、魔法は使えない。
それは三歳児でも知っているこの世の真理で、貴族が今でも魔法を独占している理由の一つである。
けど今の俺は、レベルが上がったことによってMPが1増えた。
0と1はまったく違う。
魔法使いと非魔法使いを隔てるその分厚い壁を、俺はこの『レベルアップ』で乗り越えることができた。
俺は……まだMPが1しかないとはいえ、これで魔法使いになることができたのである。
MP以外のステータスの上昇で、実感できたものはない。
素早さも上がってはいるが、『まあ言われてみればちょっと速くなったか……?』ってくらいだ。
そもそも盾とメイスを持っているせいで、全力ダッシュとかしてこなかったからな。
このあたりはいまいちピンとこない。
とにかく、こうして俺は自分のスキルの力を使うことができるようになった。
この力があれば……厳しいかと思っていた冒険者生活も、案外なんとかなるかもしれない。
というか、レベルが上がった時の音とか天声とか、いきなり始まる回復とかは……あんまり人に見聞きされたくはないかな。
そもそも俺以外に聞こえるのかも謎だが、もし聞こえたらめっちゃ不気味がられるだろうし、それに手の内を明かすことになってしまう。
自分が何のスキルを持っているかは、基本信じられる奴ら以外には隠しておくものだ。
俺のスキルは色々と派手だし、浮かび上がったステータスとか見られたら俺の力も丸バレになるし……信頼できる仲間ができるまでは、ソロで行こう。
今はとにかく……色々と試してみるべきだな、うん。
まずはオークを狩って、レベルを上げていってみようか。
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