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チャンス


 更に前に出る。

 柄を短めに持ち、手数を重視してコンボを狙う。


 横に薙ぎ、落とし、それを斜め上に引き上げてから再度落とす。

 力でこちらに分があり、かつ向こうは変身しても速度自体はそこまで高くはない。

 自然、以前と同様あちらが防戦一方になる展開になった。


 相手が後退すれば、それに合わせて大剣を押し込む。

 相手が前進するのなら、そちらにも合わせてトールで押し返す。


 繰り返しダメージを蓄積させていく。

 以前と違い、攻撃をちゃんと当てればゴブリンはのけぞる。

 そしていいところに一撃が当てられれば、しっかりと口から血を吐き出すし、切り傷をつけることもできる。


 ただ金属塊を叩いていたようだった前回とは違い、インパクトの瞬間にこちらに帰ってくる手応えもしっかりある。


 攻撃が届いているという事実を、目で見て手で感じて理解することで、己のパフォーマンスに変えていく。


 次に攻撃すべき場所が、攻撃を繋げるべきポイントが、まるで最初から知っていたみたいにわかるのだ。


 今の俺は、未だかつてないほどにノッていた。

 今なら誰を相手にしても、負ける気がしない。


「うおおおおおおっ!!」


「ガッ! ギッ! グッ!」


 しっかりとこちらを見据えるゴブリンに対し軽い一撃。

 それをいなそうとする手に対して勢いを付けた逆撃を。


 そのまま離れていく右手の付け根に対してまた軽い一撃。

 のけぞったらその間隙を利用して溜めを作り、しっかりと力を込めて攻撃を放つ。


 面白いほどに攻撃が当たり、相手の攻撃は俺にかする程度。

 HPによるダメージ軽減と適宜入るアイルの支援によって、俺はほとんど傷を作ることなく戦いを進めることができている。


「ライトジャベリン!」


 意識の隙間を狙うように、アイルも果敢に魔法で攻め立ててくれる。

 ゴブリンは苛立たしげな表情を浮かべ、彼女の下へ行こうと試みようとする。


 まあ、させないけどな。


「うおらっ!」


「ゴガッ!?」


 無防備な背中へ一撃。

 アイルの所になんて行かせるもんかよっ!

 お前は――俺と戦え!


 向き直るゴブリンが、剣を構える。


 突き。

 剣を前へと突き出し、それを引き、再度前に出す。

 そんな単純な動作を繰り返しているだけだというのに、放たれる突きには、どこか玄妙な趣があった。


 達人が磨き上げたかのような、一切の無駄のない身体の動かし方。

 いったいどれだけ突きを放てばその領域に辿り着けるのだろうかという速度と精度の連続攻撃。


 先ほどまでとは一転、こちらが防る側に回らされる。


 今の俺に盾はない。

 だからHPとこの肉体で、直に攻撃を受け続けるしかない。

 トールを横向きに構え、相手の剣をいなす。


 そして致命傷を避けながら、とにかくチャンスを探す。

 再度攻めに転じることのできるチャンスを。


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