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成長


 まず最初に潰すのはゴブリンリーダーだ。

 俺は事前に振っておき、ある程度雷光を溜めた状態のトールを持って前に出る。


 以前より更に上がった速度は、レベルアップによる素早さの上昇と合わせ、圧倒的だ。

 高い速度を叩き出すことができた俺が雷剣をふりかざしたところで、ようやくゴブリンリーダーがこちらの存在に気付く。


 だが……遅い。


 俺の一撃を頭から食らったゴブリンリーダーが一撃で昏倒する。

 見ればピクピクと動いていたが、すぐに絶命した。


 今の俺はもう、ゴブリンリーダーをワンパンできるようになったのだ。

 こうして実際に前よりも簡単に勝てるようになると、自分の力がちゃんと増しているんだなとわかって気分が上がってくる。


 俺は近くにいた二匹のゴブリンリーダーめがけて駆ける。

 事前にアイルが狙うやつは決めているので、そいつじゃないの奴らだ。


「シッ!」


「グギッ――ッ!?」


 俺の掬い上げるような一撃と、ゴブリンリーダーの真横からの斬撃が横からぶつかり合う。

 以前とは違い、俺の一撃はゴブリンリーダーの剣をボキリと折り、勢いそのままその身体を強かに打ち付けた。


 レベルアップにより強化されたステータスと、その高い能力で繰り出されるトールの一撃。


 ゴブリンリーダーは、ボールのようにバウンドしながら吹っ飛んでいく。


 ここまでパワーアップしていると、さすがに自身でもちょっと引くレベルだ。


 見れば、もう一匹のゴブリンリーダーは逃走のためにこちらに背中を向けていた。


「逃がすか、よっ――」


 力みすぎないよう気を付けながら前に出る。

 既に俺の出せるスピードは、ゴブリンリーダーの背後を顧みぬ全力疾走よりもずっと速い。

 振り下ろしだとタイミングがズレかねないので、横にトールキンを振り、その背中に攻撃をヒットさせる。

 ベギンと音が鳴り、一撃でゴブリンリーダーの背骨が折れるのがわかった。


 既に三匹のゴブリンリーダーを倒すことができている。

 そして俺は未だに傷一つついていない。


 すごいな……得物が変わるだけで、戦闘自体もこれほど劇的に変化するものなのか。


 適当に周囲の敵を掃討していく。

 ゴブリンだけじゃなく、ゴブリンソードマン達であってももう相手にならない。


 若干怖いのはゴブリンメイジだが、ぶっちゃけ目みたいな回復魔法で治せない場所以外であれば攻撃を食らっても問題はない。

 一度魔法を食らえば再度撃つまでには時間がかかるから、それまでにケリはつけられる。


 俺の視界の端の方で、アイルがゴブリンリーダーを相手に戦っている。


「グガアッ!」


 ゴブリンリーダーが長剣を叩きつけようと、上段から剣を振り下ろす。

 アイルは全力で横に飛び、その一撃を避けようとした。


 当然ゴブリンリーダーの攻撃は彼女目掛けて軌道を変えるが……斬り付けの直前に抵抗があるせいで、アイルに当たらずに終わった。


 彼女が張っているマジックバリアに、その威力を殺されてしまったのだ。


 振り下ろしを行い隙ができたそのタイミングで、アイルが魔法を放つ。


「ライトジャベリン!」


 ゴブリンリーダーの腹部に光の槍が突き立つ。

 中からは血が出ていたが、ジュッと音を立てて蒸発していった。


 アイルの魔法の威力も、レベルアップの度に上がり続けている。

 今の彼女であれば、ゴブリンリーダーであっても互角以上に戦うことができそうだった。


 強くなっているのは、決して俺だけじゃない。

 俺は誰もいない荒野を一人で歩いているわけじゃなく、その隣にはアイルがいる。


 そう思うだけで、スッと胸のつっかえが取れるような気分になる。

 俺も彼女も、自分達を追放した奴らのことをさっさと見返してやるのだ。


 そのためにもあのゴブリンとの戦いで、俺達は負けるわけにはいかないのだ。


 ゴブリンリーダーの目にライトアローが突き立ち、崩れ落ちる姿を確認してから、俺は残るゴブリン達の処理を急ぐことにした――。



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