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「そうなんですか?」


「ああ、寵愛を受けたゴブリンキングともなれば、確実にランクはAになるはずだ。日がなゴブリンリーダーを倒してきたお前達と言えど、さすがにまともな戦いをすることもできずに殺されてただろう」


 たしかに、言われて思い当たる節がある。

 あの魔物は、ゴブリンリーダーと比べてもその身体は小さかった。

 体つきも、ゴブリンリーダーよりもゴブリンやゴブリンソードマンに近かったと思う。


 となるとあいつ……あの強さで、ゴブリンソードマンなのか?


 俺の人のことは言えないが……邪神の寵愛も大概めちゃくちゃだな。

 『レベルアップ』とはベクトルが違うが、ただの魔物があそこまで強くなるのかよ。


「となるとこのランブルの街も、まだ完全に終わったわけじゃなさそうだな……」


 単にゴブリンキングが率いているゴブリン達の群れであれば、大して考えることもなく全力でランブルへやってくるのが普通だとギルマスが言う。


 どうやら未だにゴブリン達がランブルにこないのは、あの黒いゴブリンの特異性に原因があるようだった。


 たしかに俺達がゴブリンを狩りまくっても一向に攻めてくる気配がないのは、少し変だとは思っていた。


 それもこれも、あの黒いゴブリンのおかげなのか。

 おかげって言葉が正しいのかはわからないけど。


「だとするとあのゴブリンを倒せば、なんとかなるってことでしょうか?」


「それはわからん……が、そうなれば残るのはゴブリンリーダー達だろう? それなら俺も含めた防衛戦力で、なんとかなるだろ」


 どうやらギルマスは元冒険者らしい。

 道理で四十には見えない肉体をしているわけだ。


 以前は結構、ブイブイ言わせていたらしい。


 その口ぶりから、なんとなく世代差を感じる。


「とりあえず自分の得物を見つけてから、なんとかしようと思います。それでは、失礼致します」


「おっ、まあそう急くな。忘れるところだったじゃねぇか」


 ディングルさんは俺についてこいとだけ言うと奥へ一人で向かってしまう。

 ススッ……と近くにシリヌイさんがやってきた。


「ごめんなさい、ギルマスはその、なんというかかなり……我が道をゆく人でして」


「全然大丈夫ですよ。冒険者は変人奇人の集まりですから、ディンギルさんのことも、ちょっと変わってる人くらいにしか思えませんし」


 ペコペコと頭を下げるシリヌイさんは、顔合わせが済んだと考えたからか、別のドアから部屋を出て行った。

 死んだような目をしていたので、多分これから別件で働くのだろう。


 大変だろうが、頑張ってほしい。

 なんとなくだけど……多分シリヌイさんがこのギルドの大部分を回しているような気がするから。


 俺とアイルは見失わぬよう、急いでディングルの後をついていく。


 彼は何やら厳重に鍵の施された部屋の前で、大量に輪っかに繋がれている鍵と戦っていた。

「ええっと、どれだったか……」


 そして俺とアイルが見守ることしばし、苦節五回目の挑戦にしてカチリと音が鳴り、南京錠が開く。


「ここで待ってろ」


 とだけ言い、ディングルさんはゆっくりと中へ入っていく。

 そしてドアを閉めるのだが、建て付けが甘いからかドアと壁の間に隙間があり、薄目にすると中がちょっとだけ見えた。


 そこにあったのは……沢山の武器だ。

 細かいところまでは見えなかったけれど、剣から防具まで、雑多な物がところせましと詰め込まれている。


 それから扉の向こうからどんがらがっしゃんと音が聞こえてくるようになる。

 俺とアイルは目を合わせて首を傾げ合うが、待っていろと言われた以上勝手に中に入るわけにもいかない。


「いったいギルドマスターは、中で何をしてるんだろうな?」


「さぁ……? まあなんとなく、予想はつきますけど」


「倉庫まで来て……することってことだよな?」


「すぐにわかると思いますし、ぼーっとしとけばいいんじゃないですか?」


「それもそうだな」


 二人でぼーっとしたり、他愛ない世間話をしたりして時間を過ごす。

 すると最後に一際大きな音を立ててから、ディングルさんがようやっと扉を開けた。


 その手に握られているのは……紫の意匠の散りばめられた、金色の槌だった。


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