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遭遇


 俺が森でいつものように戦っていてまず感じたのは、違和感だった。


 森の植生が変わったりしたわけじゃない。

 ゴブリンの数が減ったりしたわけでもない。


 けれど何かが違う。

 上手く言葉にすることはできないけれど……俺の第六感的な何かが、危険を告げていたのだ。


 そしてアイルの方も、似たような何かを感じていたようだった。


 彼女は顔を強張らせながら、今日は早めに帰りましょうと俺に言っていた。

 俺も同意見だった。






 二人で頷き合ってから、後退を開始する。

 そしてあと少しで森を出れるとこまでやってきた俺達の目の前に――一匹のゴブリンが現る。


「……」


 そのゴブリンは、異様だった。


 まず全身が黒い。

 そしてその黒い身体を覆うように、緑色の刺青のようなものが走っている。


 その歯並びも普通のゴブリンのような乱杭歯ではなく、綺麗にぴっちりと揃った人に似た歯並びをしている。

 爛々と輝く目を見なければ、夜中であれば人間と見間違えたかもしれない。


 その体躯は、それほど大きくない。

 普通のゴブリンよりは大きいが、ゴブリンソードマンほどの大きさはない。

 それくらいのサイズ感だ。


 背中には、自分の背丈と変わらぬほどの丈のある長剣を抱えている。


「アイル、出し惜しみはナシだっ!」

「ライトジャベリン!」


 俺は前に出て、そのゴブリンへと軽い一撃を放つ。

 するとそいつは――俺のメイスを、手で受け止めた。


 続いてアイルが放つライトジャベリンが、胴体目掛けて襲いかかる。

 そのゴブリンはフッと鼻を鳴らして飛び上がり、ライトジャベリンを軽々と避けてみせた。

 マズいな、この様子だとアイルの攻撃はこいつには通らないと考えた方がいい。

 となればまともな攻撃手段は、俺のメイスだけ。

 俺が気張らなければ死ぬ。

 俺も……そしてアイルも。


 間違いない、こいつが――ゴブリン達の親玉、ゴブリンキングだ。


「……」


 ゴブリンキングがスッと音もなく剣を抜く。

 そして正眼に構え、前に出た。


 一瞬で俺の目の前にっ!?


 なんとかしてメイスを振る。

 得物の重量差で、なんとか攻撃を弾けた。


 けどとんでもない速さだ。

 一瞬でも気を抜けば――やられるっ!


 メイスを振る、するとゴブリンキングがそれに剣を合わせてくる。


 重量差があるおかげで、俺の攻撃の方が遅い。

 そのせいでゴブリンキングに、俺の後の先を取られてしまう。


 結果として俺とやつの真ん中のあたりで攻撃がぶつかり合い、再度弾かれ合う。


 相手の攻撃の勢いを受けて、俺とゴブリンキングがズザザッと後ろへ下がる形になった。


 こりゃ……今までの速度じゃダメだ。

 たとえ数発でへばることになったとしても、全力中の全力。

 気力を振り絞った一撃を連続で打たなくちゃ、やられる。


「――うおおおおおおおおおおっっ!」


「ガ、ギギッ!!」


 歯を食いしばりながら、右足を軸に身体を捻る。

 駒のように回転してから、裏拳の要領でメイスを叩き込む。


 それに合わせて、ゴブリンキングが剣を横に薙ぐ。

 打ち合う、さすがに今度は俺が押し勝った。


 けれど向こうの体勢を崩せるほどじゃない。

 もう一回転するのは、さすがに相手に隙を見せすぎる。

 かといって制動させてしまっては、せっかくのメイスの勢いを殺してしまう。


 俺が選んだ選択は――メイスを上げることだった。

 Uの字に弧を描くように、ゴブリンキングへとその勢いをぶつけにいく。


 剣を下段に構えていたゴブリンキングは、それを受け止めきれないと判断したのだろう。

 後の先を取るのではなく、カウンターを放ちにきた。


 狙いは俺の……首筋かっ!


 けれど、問題ないっ!

 俺は……お前と違って、一人じゃないんだよっ!


「ライトアロー!」


 動いて角度を変えたからだろう、先ほどまでとは違った角度から光の矢が放たれる。

 間違って俺にまで被害が出ないようにという配慮だろう。


 その光の矢はゴブリンキングの胸部目掛けて放たれた。

 防御しながら攻撃を放つため、ゴブリンキングの攻撃の軌道がズレる。

 胸を守りながら攻撃をするために、狙いが首筋から胴体へと変わった。


 頼むぞHP、仕事してくれよっ!


「うおらああああああああっ!」


 俺の全力の一撃が、ゴブリンキングへ衝撃を打ち付ける。

 そしてゴブリンキングの突きが、俺の胴体へと突き立った――。


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