次
二匹目のゴブリンリーダー狩りは以前と同様の手法で行うことにした。
まず最初にゴブリンリーダーを誘き出し、討伐。
そして次にやってきた群れの残りを殲滅、というやり方だ。
今回少し変えたのは、俺が一回目ほど無理をしなくなったところである。
俺は以前、まだ『暁』に居た頃のように、タンクのような戦い方をしてみた。
相手側が焦れるように攻撃を捌いたり、ヒヤリとさせるために時折重たい一撃を挟む形で、時間稼ぎ……それほど時間が経ったわけでもないのに、もうずいぶんと昔のことのように感じてしまう。
どこか懐かしさすら感じさせる攻防を行いながら、無理のない範囲で攻撃を繰り返す。
一回目のように、強引な制動をして怪我覚悟の無理攻めはしない。
あくまでも小さな攻撃を積み重ねていくことを意識した。
そんな攻防を繰り返し、攻めあぐねるゴブリンリーダーに打撲痕をいくつかつけたところで、待望の声が聞こえてくる。
「ライトアロー!」
周囲に居たゴブリン達を処理したアイルが、戦闘に参加したのだ。
前回はアイルが下手に狙われぬよう短期決戦を狙ったが、今回は二人で確実にゴブリンリーダーを倒していく。
事前の取り決め通り、しっかりと適切なタイミングで攻撃を入れてもらえた。
「ギィアアアアッ!!」
アイルの放ったライトアローが、完全にこちらに意識を向けていたゴブリンリーダーの背中に突き立つ。
苦悶の声を上げ、突如やって来た痛みに不意を突かれたその隙を見逃しはしない。
これだけの名アシストを受けて、ミスるわけにはいかない。
「シッ!」
足を払うようにはなった一撃を、後ろに注意が向いたゴブリンリーダーは予測することができなかった。
インパクトの瞬間、持ち手に強い力が掛かる。
そのまま振り抜くと、ゴブリンリーダーの足が叩かれた方へ飛んでいく。
「グギャッ!?」
バランスを失い、ゴブリンリーダーが後方に飛びながら地面に倒れていく。
そのまま身体を捻り、回転しながら受け身をとろうという動きだった。
大した知恵もないくせに、こと戦闘に関しては武芸者のような体捌きだ。
けれどその回避軌道ならば、問題ない。
「ライトアロー!」
再度放たれる光の矢は、地面に倒れゆこうとするゴブリンリーダーに刺さる。
俺の方へ向けていた意識を、ライトアローでアイルへ向ける。
不意打ちを食らった背中側へ注意を向けたところに、再度の一撃。
次撃を食らわぬように受け身を取ろうとするその意識すら利用して、アイルの魔法を入れる。
そしてこれでっ――。
「――らああっ!」
頭部へ一撃を放ち、ヒットさせる。
人型魔物の構造は、人体とさほど変わらない。
強靱になっているとはいえ、あくまでも脳は頭の中にある。
これ一撃でやられずとも、衝撃を通せば一瞬であれば意識を刈り取れることは、前回の戦いを経たおかげでわかっている。
ゴブリンリーダーの身体がよろめく。
そこに攻撃を加えていく。
俺を邪魔しないようにか、頻度は低いが、しっかりとしたコントロールでライトアローが時たま飛んでくる。
攻撃、攻撃、間髪入れずに攻撃。
相手に一切の抵抗の芽を与えることなく、今回はアイルの分も増えた手数でより効率的に衝撃を通して動きを鈍らせ、ダメージを入れていく。
「グ……ギィ……」
以前と違ってヒヤリとするような場面もなく、ゴブリンリーダーを潰すことができた。
二対一でやれば、わりと余裕を持って戦えるんだな。
ただこの調子だと……さすがにまだ、ゴブリンリーダー二匹以上の群れとの戦いは厳しいか。
次の目標は、ゴブリンリーダー二匹を相手取って戦えるようにすること……だな。
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