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まだまだ


「チェ、チェンバーさんっ! これって……」


「ああ、それがアイルのステータスだ」


 初めてレベルアップをしたアイルのすぐ近くには、ふよふよと浮くステータスの書かれた光の板がある。

 どうやら俺にも普通に読めるようだ。





ステータス


アイル レベル2


HP 27/27

MP 14/14

攻撃 5

防御 11

素早さ 7


魔法

レッサーヒール

マジックバリア(小)





「なるほど……やっぱり攻撃とかは低いんだな」


 あと、HPを始めとする各種の数値も、基本的には俺より低めだ。

 HPとか、俺がレベル2の時はこの倍くらいはあった気がするし。


 ただその分、素早さが高めでMPの量が多い。

 さっき一つのレベルアップで4上がってたことを考えると、レベルが上がればガンガン増えていくはずだ。


 てことはとにかく素早く動いて戦場を駆け回って回復魔法なり結界魔法なりを使いまくる、プリーストが、彼女の力が一番引き出せる形なのかもしれない。


「ステータス……アイル、俺のはこれは見えるか?」


「ええっと……はい、見えますし普通に読むこともできます」


 なるほど、とりあえずステータスが出るようになった人間であれば見れるようにも聞こえるようにもなるってことか。

 こないだまで、彼女にステータスの光は見えてなかったし。


「チェンバーさん、あの、これってもしかして……」


「ああ、俺が手に入れた新しい能力で、アイルがレベルアップした。多分パーティーになったから、俺が倒した経験値のうちのいくらかがそっちにいったってことなんじゃないかな?」


 アイルは戦闘に参加はしていたが、オークに攻撃を一度もしていない。


 それでもレベルが上がったってことは、パーティー編成をしていれば、俺とある程度経験値を共有できるみたいだな。


 分配なのか、俺の何分の一かが自動で与えられるようになっているのかは、今後調べていこう。


「私までレベルアップ……しちゃっていいんでしょうか?」


「そりゃパーティーメンバーだし、問題ないだろ。今はまだ実感しづらいだろうけど、レベルが4くらいまで上がると明らかに身体の動きが違ってくるぞ。アイルはMPもガンガン上がってくっぽいから、魔法の練習とか今まで以上にできるようになると思う」


 俺の説明を聞いて、アイルはぽかんとしてから……何故か泣き出した。


 ――おい、どうしてそこで涙が流れてくるんだ!?


 涙を拭いてくれよ、頼むから。


「ち、違うんですっ。わ、私だけこんなに幸せでいいのかなって、お、思って……」


「し……しあわせ?」


「私使えない外れスキル持ってて! それでいらないって追放されて! でも……チェンバーさんに助けてもらえて、パーティーにまで入れてもらえてっ! そして私までレベルアップができるようになって――私、ごんなにいっばいもらっだら、もう返じぎれまぜんっ!」


 ――アイルは結構、いっぱいいっぱいになっていたのかもしれない。


 今まで一緒に頑張ってきた仲間がいて。

 でもすぐに見限られてしまって。

 せっかく一緒に頑張ろうと言った俺に置いていかれないように、必死だったのかもしれない。


 ……ダメだな、俺は。

 もっと、こう……ちゃんと寄り添わないと。


 人の気持ちを推し量るのは、昔から苦手だ。

 おかげで女の子にも、全然モテてこなかったし。


 けど今は、何をすればいいかくらいはわかる。

 俺が何をどう思ってるかを、全部、アイルに話してやればいいんだ。


「アイル。俺はお前のこと、足手まといだとか役立たずだなんて最初から思ってない。そりゃスタートは、俺と同じ境遇で追放されてから始まったわけだけど……『神託』スキルはびっくりするくらい、俺の『レベルアップ』と噛み合ってる。――おかげで俺は目標を見ながら前に進めるようになった。だから何も、アイルの持ち込み超過ってわけじゃないんだ。俺だって結構、助けてもらってる」


「チェンバーざん……」


 ソロで戦い続けるのが戦闘能力的に問題はなくなっても。

 やっぱりずっと一人っていうのは、その、こういうのを男が言うのはダサいとは思うんだが……寂しい。


 一緒に戦ったり、笑い合ったり、バカやったり。


 そういうことのできる仲間がいないで、ただ延々と魔物と戦い続けて。

 おまけにいつレベルが上がるかもわからないから、ずっとそわそわしていて。


 自分のことは、自分じゃあよくわからないことも多いけど。

 俺だってアイルがいて、救われてるんだぜ。


「アイル、泣いてる暇なんかないぞ。お前も俺と一緒に強くなれるんだから。追放した奴らを見返してやれるくらい、強くなってやろう。そしていつか、傷を負った元パーティーメンバーを、ささっとハイヒールで癒やしちまえ。追い出したことを後悔している奴らを尻目に、俺達は前を向いて走り続ければいい――」


 泣いていたアイルが、ごしごしと目を擦る。

 彼女の目は真っ赤に腫れていたけれど、その顔はひどく晴れやかだった。


「――はいっ!」


 さあ、まだまだ魔物を倒さなくちゃ。

 二人共強くなれるってわかったんだ。

 まずはランブルで地力をつけていこうぜ。


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